期末試験1
短いですがUP
「ああー、だるかった!!これでテスト生活から解放される!!」
そう今日は前期期末試験の最終日。
最終日は筆記試験ではなく能力試験だ。人によっては見せ場と感じたり、億劫に感じたり様々だが。
試験方法は自分の引き出せる力の量、使いこなせる技の数、強さ、精密さや速度等様々な部分を配慮して6角形のグラフで表わされる。
内容としては4人ほどの技能担当教員が見ている中で自分の使える力を見せるという簡単なものだ。
1年で5個、2年で10個、3年で15個ほどの技を覚えれば、技の数だけで言うと満点に近い数字を貰えるらしい。
例えば、ファイヤーボールとファイヤーウォールを使えれば技は2個あることになり、引き出せる力の量、強さ以外は熟練度の違いで片づけられる。
「筆記は苦手でも能力試験なら自信ある!」
俺は背もたれに背中を預け背筋をのばした。
「筆記も勉強すれば簡単に点取れるんだけどな?」
チクリと嫌味を言ってくる。
クロ自身は歳の功のおかげか成績が良い。これはカンニングと同等なのではないのかと思うのだが、本来受けなくても良いもの何だよ?と言われてしまった。まったくもってその通り!
この調子で能力試験まで受けたら学年一位の成績を取りかねない。それを見越した学校からクロの成績は目立ちすぎるので校内ランクから外させてくれ、と言う連絡がきた。むろんSLAでだ。
「はぁ、緊張する!!」
「なに言ってんだ。昨日は『5種類なんて余裕よ!』てタカをくくっていたくせに。そうそう特殊クラスの試験官6人だったぞ。一般属性は3人って言ってたな」
先ほど後ろからの順番で試験を受けてきた湯沢が試験についてリークし始めた。
今、俺とクロの周りにはハルカと湯沢がいる。昨日は3人でクロのしごきに堪えながら能力試験で見せる技を練習していた。
ハルカと湯沢は俺達の訓練にたまに混ざっていたのでクロの正体については知っている。
知っていてもちょっと珍しい龍くらいの感覚で、世界のために頑張っている龍がいる事なんて皆忘れてしまった過去の話のようだ。
「ああーなんで特殊クラスは試験官多いのよー!!」
「そりゃあ、特殊な能力の加護者が多いからだろ。」
俺はハルカに当たり前のことを言い聞かせる。
「特殊って言っても主に雷系や精神系や強化系じゃない。そりゃあ、クロちゃんや雄輝みたいなのもいるけどさー」
「緊張しているなら良い話をしてあげよう」
「今日雄輝がはいているパンツはピンク色だ!そしてハルカのも!!」
「え!!ちょ……!!クロ何言ってんの!!つかなんで知ってんだよ!!!」
一瞬で俺とハルカの顔が赤くなった。
「クロちゃん!そーゆ恥ずかしい事言わないの!!」
ハルカは、キャーと言いながら教科書を使い顔に風を送っている。
「雄輝、ピンクはないと思うぞ」
湯沢は呆れた顔で俺を見る。俺の名誉にかけて言うが俺の趣味じゃない!!
お母さんが買ってくるパンツの趣味が悪いのだ!!
これが幸樹なら、可愛いーだのおしゃれだののたまう女共がいるんだぜ。世の中って不公平だ。
「おーい、ハルカーお前の番だってよー」
ハルカは前からの順番が回ってきたのか、クラス番号がひとつ前の男子に名前を呼ばれた。
「ううー、緊張は解けたけど、まだ顔が赤い気がする。失敗したら雄輝のせいだからね!!」
俺がクロのせいだろ、と訂正する前にハルカは教室を出て行った。
短いですがあげました。
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