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黒い竜と白い竜  作者: タカチ
第2章
16/24

単純な勝負が一番

初バトルシーンです。




「次の角を曲がると第三訓練場が見えてくると思う」

「おう」


放課後になり第三訓練場へと向かう。もちろん行ったことのない場所なのでSLAのナビ機能を使った。今はクロにも操作を覚えてもらうためにSLAはクロが持ち、ナビの使い方を覚えている最中だ。


ここの学校は敷地が馬鹿みたいに広く、主に校舎の施設と訓練場に分かれている。


特に迷うほど広いのが訓練場だ。様々な地形で訓練出来るように水辺はもちろんのこと、森林やコンクリートブロックで作られた街もどきなんかもある。今日俺達が使うのは、更地のエリア:第三訓練場だ。




「遅かったな。もう少し遅かったら校内放送で呼び出しをかける所だったぞ」


アーサーさんは若干不機嫌そうにしながらそう言った。

一応ぺこりと頭を下げておく。クロがSLAで遊ぶのに夢中になっていたなんて言い訳はしない。


「遅れてすみませんでした。校内放送は何があっても止めてください。直接SLAで通信をお願いします」


校内放送なんてされたら、ハルカと湯沢にからかわれてしまうので、丁重にお断りをしておいた。


「所で梗夜は?」


クロは梗夜がいるのが当たり前と思っていたのか不思議そうにアーサーさんに話しかけた。


「ええーと、あいつはおやつを作ってからこっちに来ると言っていました。なので後1~2時間したら来ると思いますよ」


「ああーなるほど、相変わらず細かい気配りが出来ているな。私はずぼらなのに誰に似たんだか」


きっと、クロがずぼらだから梗夜さんは頑張っているんだよ。とは言えない!

言ったら特訓の前にボロボロにされてしまう。




「ふむ、では早速初めて貰いたいんだが、今日はお互いの力量を比べたいので体術はなしのそれぞれの属性能力だけでぶつけ合ってくれ。やり方はお互い向き合って波動でもオーラでもぶつけ合いで、ちなみにフェイントなんかは入れなくていい」


ふむ、そんな漠然と言われたってな、今俺が出来る事って言ったら障壁を張るのと只の力の放出だけなんだが。


「分かりました。とりあえず全力で力だけをぶつけていきます」


アーサーは何をクロが求めているのか分かった様で、俺を促しクロから少し離れた所で向き合うように態勢を変えた。


「全力でやってくれ。危険が伴いそうになったら私が止めに入る」


もちろんそうして貰わないと困ってしまう。俺もまだ死にたくないし。


「OK、そうしてくれ」


「では雄輝から仕掛けてくれ、俺は後からでいい」


こんなところでも紳士的なんですね。


「分かりました。アーサーさんよろしくお願いします」


そういって俺は頭を下げた。



そこから深呼吸し気持ちを落ち着ける。今から使う力は俺が使う力で、クロの力ではないと心に刻む。そうしないとクロの力に引きずりこまれてしまうからだ。


肩幅に足を開き両手を重ね胸の前に出す。クロから借りて俺が使っている黒い力を手のひらに集中させる。


(俺の攻撃はきっと防がれる。それでも最初の一撃だけは自分がもてる最大の力でアーサーさんに挑む!)


俺は何も工夫をしない力の塊を放った。下手な属性を付けて力を落とすくらいなら単純にむき出しの力でアーサーに挑みたかったからだ。





(なんていう力だ。荒削りで無駄にしている力も多いのにこんなに集める事が出来るなんて!さすがは黒龍に気に入れられる事だけの事はある。これは気を抜いて入れれないな)



雄輝が放った一撃は空気を歪め黒い軌跡を残しながらアーサーに襲いかかった。


バチバチバチ!!!

辺りには電流が流れた様な音が響き一瞬視界が真っ白になる。


(これは障壁に防がれた音!くっそやっぱり通らないか!!)


雄輝は力をためる事をあきらめ、手数でアーサーの障壁を破る事にした。最初の攻撃が通らなくても障壁に多大なダメージを与えた事は音で分かっている。



バチバチ……!

シュパン!!


(これは障壁にふれた音ではない!!直接攻撃をぶつけて相殺したんだ!)



雄輝は咄嗟に自分が持てる最大の力を使って障壁を作り出した。イメージするのは半球の形をしたコンクリと鉛の壁。


もちろんイメージだけだが、強力な障壁は空気を歪め薄黄色がかった色をしている。

そこに風の刃が襲いかかった。


「くうぅ……!」

ギリッと雄輝は歯を食いしばった。




「おー、やってますね」


クロの隣に腰をおろしながら梗夜が語りかけた。


「ああ、遅かったね。どのタイミングで休憩を言えば良いか分からなくて」


クロは梗夜に目を向けることなく目の前の二人を見つめている。


「雄輝が意外と粘ってさ。ココで中途半端に停めてしまうともったいない気がするんだ」





防戦一方だがまだ雄輝の障壁は破られていない。徐々に赤く染まり限界を伝えている。


(もう持たない、次の攻撃の合間に障壁を解いて残った力すべてをぶつける。これで駄目なら打つ手なし!)


一瞬のために牙をとぐように気を高めて……、雄輝は耐える。



アーサーの攻撃に一瞬の間が生じた。


「い!ま!だ!!」

バリン!!


雄輝を包んでいた障壁が一瞬にして崩れ、雄輝は力を放とうとした。


「え?」



目の前に迫っていたのは風の刃



スローで自分に迫ってくる様子がうかがえた。


(違う、はめられた!アーサーさんは障壁を解く事を予想してワザと攻撃の合間を作っていたんだ!!)


現に風の向こうのアーサーは不敵な笑みを浮かべていた。


「くっそぉぉぉ!!」


雄輝は手にしていた力の塊を襲い来る風にぶつけ、少しでもアーサーに己が刃を叩き込もうとする。



バ――――ン!!!


雄輝の目論見は外れ、またアーサーの目論見も外れた。

雄輝の力は相殺とまではいかず、何とか殺傷能力をそぎ落としただけにとどめた。


しかし反動はそれでも大きく、雄輝は後方に吹き飛ばされる。

咄嗟に雄輝は身体を強張らせてしまい、受け身も取れずそのまま地面にぶつかる……!?


ドス!!




「ゴホゴッホ、間に合ったか」



え……、それほど痛くない?

雄輝は恐る恐る閉じていた目を開けると吹っ飛んでいた俺を自分の身体で受け止めたクロがいた。



「あれ?なんでクロがここに?」

クロがいたところからは遠く離れていて一瞬で移動できる距離ではない。

「危なくなったら助けると言っていたでしょ。信じてなかったの?」

「とにかく、戻る。このまま抱えていけばいいかしら?」

「抱えて?」


雄輝は属に言うお姫様だっこ状態だったのだ。


「離して!歩けるから!!」


雄輝は顔を真っ赤にして身をよじりクロの手から逃れる。男があんな抱えられ方をして恥ずかしくないわけがないのだ。





初バトルシーンです。


バトルつらい!



今までで一番長いページだったかもしれません。




2/8誤字訂正

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