終戦の時 その3
《九月 十六日 AM6:40》
時はデュオの脱出時に戻る。
エナがデュオに連絡を入れる。そのとたんに爆発音がした。
(体育館の入り口の方からだ!)
そのとたんデュオが屋上の上でこちら側に走ってきた。
デュオは手すりに二つに折りたたんだ長いロープの折り目の部分を手すりに掛け、そのロープにつかまり下りてきた。
下りきると持っていたロープの両端の内、片方を離しロープを巻きとって回収するとこちらに走って来る。
「なんでまだいるのー?」
「逃げ出すときは一緒だよ」
エナ達がいるのは体育館の裏にあるマンホールにいた。
「ロケット弾撃ってきたー。狂った連中ー」
「どこに?」
「入口に一つ、建物に一つ」
マンホールから降りると残りの三人がいた。
「これで終わったな、リーダー」
「そうですね」
「…………これで俺達の勝ちだ」
これが、学生戦争が終結した瞬間だった。
《九月 十六日 AM6:50》
五人はマンホールを通り、ボイラー室に着くとゴミ捨て場にある壁の穴から外に出た。
そして全員が帰路に着く。
皆が学校から離れている中、エナは皆の後ろを少し遅れて歩いていた。
妖艶な笑みを浮かべて。
「そう、これで僕達の勝ちだ」
そのつぶやきはやっと来た秋の風にかき消され、誰の耳に残ることもなかった。