救出作戦 その6
《九月 十四日 PM3:20》
その頃、デュオ達は攻めあぐねていた、というよりも押され気味だった。
「やっぱり数で負けているっていうのは結構なディスアドバンテージだねー」
バリケードのおかげもあり、一棟前は何とか守れているが校舎の中ではそうもいかない。
防衛点が校舎全体と広いせいで戦域が拡大され数の多い教師側が有利となっている。
今のところは何とか二階にある渡り廊下の位置でせめぎ合い、一棟に残っていた教師達からも入口から階段、渡り廊下までの道を守れているが、どこかが破れると全滅する。
「このままじゃ……」
デュオがぼやいた時バリケードの向こう側が騒がしくなった。
そしてデュオの耳はその中からよく聞きなれた声を聞き分けていた。
「バリケードの向こうを総攻撃、教師達を散らせて!」
気付いたらデュオは叫んでいた。
そしてバリケードをよじ登るとそこにはよく見知った顔があった。
「デュオ!」
「やっと帰ってきたね。待ちわびたよ」
デュオはバリケードの向こうから来たエナの手を取り、こちら側に引っ張り上げる。
その後ろから、ペンデとエクシがバリケードを越えてきた。
「よし、帰還成功」
「…………まさか本当に帰って来れるとは思わなかった」
「デュオ、戦況は?」
その問いにデュオは少し翳りを見せる。
「……押され気味だねー。一棟前は大丈夫そうだけれど一棟の中を守りきるのはきつそう」
「そう、じゃあ当初の予定通りデュオはペンデと体育館に戻って。体育館にいる生徒達が協力してくれるように説得して」
「分かった、ペンデ、行くよ」
「了解」
デュオとペンデは一応周りを警戒しながら体育館へと走って行った。
「エクシにはこれからしてもらうことに協力してもらうよ。いい?」
「…………別にかまわないが。何をすればいい?」
その言葉にエナは微笑みをこぼしながら言った。
「ちょっと罠を張りに」