救出作戦 その5
《九月 十四日 PM3:05》
エナ、ペンデ、エクシの三人は三棟の中を走っていた。
「外は教師の数が多いから渡り廊下を使ってデュオ達のもとまで戻るよ」
「オーケイ」
「…………わかった」
教師たちはもうすでに他の生徒は退避させたらしく、どこの棟にも生徒はいなかった。
たまに教師と会うこともあったがエクシがすぐさま沈めていく。
「案外もろいな。なんで教師たちは編隊を組んで歩いてないんだ?」
「たぶん、戦線の内側に敵がいることに気付いてないんだよ」
「そりゃラッキー、おっと」
先頭を進んでいたペンデが立ち止まる。
エナ達がいる少し先――――一棟と二棟をつなぐ渡り廊下に大量の教師達がいた。
渡り廊下で生徒と教師で戦闘を繰り広げているのだ。
この学校の渡り廊下の幅は2メートル弱で、人が横に4、5人並ぶともう一杯となる。
「(どうすんだエナ。このままじゃ通れない)」
「(外に出よう。外には教師が多いけど。密集していない。ここよりはチャンスがあるはずだよ)」
「(教頭から聴きだした情報を早くデュオ達に伝えなくちゃならないしな)」
結局ペンデがやったのはただのくすぐりだった。
(本来なら裸にひんむいてケータイで写真を撮ってそれをネタに脅すとこだがエクシはともかくエナには教育上よろしくなさそうだし。命拾いしたな、教頭)
「? どうしたの、ペンデ」
同年齢のペンデに教育上の心配をされているとは知らずエナが質問する。
「なんでもない」
ペンデは適当に切り上げ黙する。
だがペンデのくすぐりは相当うまいらしく教頭はすぐに情報をこぼした。
「じゃあ戻ろう、デュオ達の待つところへ」
そう言ってエナ達は二棟の一階についた。