新学期
《七月 二十一日 PM1:40》
「おい、エナ」
「何?」
「たとえさっきのことをあいつが悔いていたとしても俺らの仲間になることって何かの償いになるのか?」
「ならないよ」
「やっぱりか……」
ペンデがあきれたような顔をする。
「どういうことですか?」
「つまりエナは関係ないことを焚きつけて、その後悔を利用して仲間に引き入れようとしたってこと」
その言葉でテセラが苦笑いする。
「まあ、完全に無関係じゃなかったようだけどな……」
《九月 十四日 PM0:15》
時間としてはお昼時。
今は昼休みの時間である。
「ふっ、ふふっ、ははっ、わっはっはっは、ついに、ついに完成した!!」
「わー、デュオが悪役っぽい」
せーの、とデュオが音頭をとる。
「「「作業終了おつかれさまでした」」」
叫んだ後、デュオは学校の体育館の床に突っ伏した。
「ほんとに疲れたよ」
「後は顧問の先生を頼むだけだからね」
「その顧問の先生だけど……エナ、どうするの? 教師側に情報が漏れると困るけど」
「大丈夫、顧問は高村先生に頼むつもりだよ」
「へえ、高村先生に」
高村先生は三年前にこの学校に就職した先生でこの学校の中では一番若い先生だ。
なんでも、この学校の卒業生らしく、生徒に理解があって生徒からの人気がある先生である。
「おいおい、いいのかよ。いくら高村先生とは言っても教師だぜ。教師陣に計画が漏れる心配が有るんじゃねえの?」
それに反論したのはペンデだった。
「高村先生はこの学校の卒業生だよ、それも七年前の事件があって世間が一番バタバタしていたころの、ね。この学校に対する不満は知っているはずだよ」
「けど何かの拍子にぽろっと漏らしちゃうかも知れないだろ」
「大丈夫だよ」
エナは力強く言い放った。
「漏らす暇もないよ。計画の準備はもうできているし」
エナの顔が引き締まる。
「計画は今日スタートするんだから」