モノローグ
土曜日の朝。今日もわが街を明るく照らしてくれるだろう太陽に「すがすがしい」という言葉をプレゼントしたい。
俺は朝の8時に起床し身支度を整えコンビニでアンパンと牛乳という朝食界の名コンビを購入し事務所のある雑居ビルの狭い階段を登っていた。通勤途中のコンビニは駅に程近く、普段は通勤、通学前で人が多いのだが赤い日においては大きい荷物を両脇に抱えても誰ともぶつからないくらい空いている。
そしてこのビル、立地においては駅から徒歩5分と好条件なのだが、至るに一度狭い路地をチョイスしなければならない。そして狭い路地を抜けた先には駅前の賑やかさは見当たらない。「にぎ」も「やか」も居ない。そんな所もこのビルを地上からあやしく生やしている所以だ。
この街の駅前は結構栄えてる。内容の充実した駅ビル、各種外食産業が軒を連ね、複合レジャー施設は若者でごった返している。商店街の連中も活き活きしている。
そして広場にはなぜか間抜けなペンギンの像が建っていて待ち合わせ場所に重宝されたりしていたり。そいつはペンちゃんと呼ばれみんなから可愛がられている。いたずらなんてされた事ない。市民の目が彼を守っているんだ。
俺の通勤ルートにこいつは鎮座していて毎朝俺はなんとなくこいつを一瞥。毎朝変わりなくキュートかつ間抜けな面を、駅に背を向け南口の衆に向けるペンちゃん。ひょっとして守られてるのはこっちなのかもな。
俺は気分のいい朝、周りに人がいない時、通りしなに
「おはよう、ペン」
と鉱物のかたまりに話しかける。もちろん返事なんて期待してないぞ?
そう、通勤通学の民が居ない今朝もペンちゃんの前には俺しか居なかった。
そして俺はなんとなく気分がよかったのだ。
しかし、このビニール袋の中のアンパンと牛乳がすべて消化される前には、俺は「そんな気分」ではなくなっているのであった。
ちなみに今日も返事はもらえなかった。