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T.U.S-5

ペロっと舌を出しておどけるサクラ。間違いなく消去する気はないだろう。

「ツバキはもう終わってるのかしら?」

撮ったプリントの写真を確認するサクラ。おそらく拡大させて途中式までしっかり読み解くつもりだ。

「終わってるだろうな。あいつすっげえ頭良いから」

「へ?そうだったの?」

「ああ。成績落とさないってのもうちで働く条件だからな、あいつの所。まぁテスト勉強なんてしてるの見た事ないけど」

「へー。じゃあツバキに教えてもらおうかしら」

「そうしろ。丸写しよりましだ」


部屋の調査にもどる。思えば俺はネネの顔をまだ確認していなかった。萌さんの子でうめっこ候補生だからな、期待せずにはいられない。

「よっと」

俺は机の横に掛けてあるスクールバッグを手に取る。チャックに手をつける前に、サクラのいぶかしむ視線を制する

「調査だっての」

チャックを開け、中を探る。目当ての物は簡単に見つかった。生徒手帳である。

「えーっと、うわ!似てるなぁ!」

生徒手帳の写真を確認しネネの御尊顔を拝見。写っているのはおそらく3,4ヶ月ほど前のネネだろう。確か進級する少し前に生徒手帳の写真を取り直していた記憶がある。

「やっぱり似てるわよね。ママ若いなぁ」

少し背伸びして生徒手帳を覗き込むサクラ。そうか、こいつ等はネネの顔を見たことがあるのか。しかし実際に居るんだな、姉妹みたいな親子ってのは。

「まぁいい。じゃあサクラ、クローゼットを軽く見てもらっていいか?俺はお前の冷たい視線に耐えられそうに無い」

「わかったわ」

俺は机の周りを担当する事に。まずはパソコン。メモソフトのほかに開かれているソフトはない。おそらく犯人と思われる例の写真の男が立ち上げたのだろう。そして学習机、こちらも赤プリを今さっきまで解いていたような状態。よく整理整頓された机周りには特に気になる点はない。

「そっちはどうだ」

クローゼットを物色中のサクラ

「まぁまぁお洒落さんね。何着ても似合うと思うけど」

俺は「お前もな」という言葉を飲み込みクローゼットに近づく。

「変わった所がなければそれでいい。あんまりごちゃごちゃさせるなよ。元通りに戻しておけ」

「ほーい」

気になった服を何着か姿見の前でフィッティングするサクラ。

「ところで、何か撮れたのか?」

俺は少し控えめに問う。本当はかなり気なっていたのだが、あんまり当てにしているように思われるのも癪だ。

「うーん。もう撮れまくりよ。こんな調査意味ないわ」

帽子を片っ端から被り始めるサクラ。おそらく自分で似合うと思った物で、何枚か写真を撮っている。俺には全部が似合っているように見えたが。

「早く言え。何が写ってたんだ?あの短髪の男か?」

サクラの肩に手をかけ、こちらに振り向かせる。振り向いたサクラは、ネネのハンチング帽を被りこなしていた。こいつをこのまま5cm位に縮めたら、なかなかポップなキーホルダーになるだろう。

「さて問題です。あの男は誰でしょう?」

右手の人差し指で大き目の黒ぶちメガネをくいっと持ち上げ上目遣いで出題するサクラ。今のところの登場人物といえば他に思い当たらない。

「副生徒会長か」

俺は疑問系でなく断言する。

「ご名答」

黒ぶちメガネを持ち上げていた人差し指でそのまま俺を指差すサクラ。気になった服のフィッティングはすべて済んだようで、ハンチングだけ何度も試している。よっぽど気に入ったのだろう。働きによっては全然買ってやってもかまわない。あ、ツバキとお揃いなんてのはどうだ?

「とりあえず、休憩しよう。萌さんがお茶を用意してくれている」

名残惜しそうにハンチングをクローゼットに戻すサクラの横顔に告げる。

「わかったわ。ロリママのお手並み拝見ね」

こいつ言うに事欠いてロリママって言いやがった。なんて奴だ。まぁ間違ってはいないがな、本人には言うなよな。

「よし、決めた!」

「うん?何を?」

「ネネ見つけたらあの帽子ちょうだいって言うの。もしくは交換!」

「何と?」

「このメガネ!」


「おい」


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