プロローグ
初投稿です。
憧れの職業、探偵ものです。
読みやすく書くつもりでいます。読みにくい感想でもいいのでいただけたら幸いです。
―― あと二年と決めた。うん、二年弱。
「それでいくら欲しいの?」
「えーどうしようかなぁ」
20代前半において女子高生とこんなやり取りを行うとは思わなかった。
「別にお金目的じゃないし、好きにしていいよ」
シチュによっては地上2cm浮き上がるほどのお言葉なのだが…
…うん、説明しようね。
コンっドン!!
どこで習った作法なのだろう、聞いたことのないノックのリズムに
「えっ?はい!!」
つい似たようなリズムで返してしまった。
カチャ。コツコツ。
ドアを開き事務所に入ってきた人間にかける言葉はいくつも持っていない。
「…ご依頼でしょうか?」
「違うわ」
コツコツの正体はローファーである。
そしてそのローファーはセーラー服にコーディネイトされている。
梅の丘高校。通称梅高。そこに通うこれまた通称うめっこ。
この辺りでは二番目くらいの進学校である。…今は知らないけどね。
「では今日は?」
こちらの問いにドアから二歩入った地点より「コツコツ」がさらに近づく。
近づきしなになにやらスクールバッグへと手をゴソゴソ。
「面接をおねがい」
という言葉とともに机に置かれた履歴書。
うん、なんとなくわかった。
僕、探偵だからね。
ホームページだろうか口コミだろうか?この娘はわが探偵事務所を知り、働きに来た。
横柄かつ簡単すぎる態度、言葉に本気さは微塵も感じられなく
「罰ゲームかい?」
モテない男子が言いそうな事を口走った二秒後
「私は本気でアルバイトをしに来ているの。面接をおねがい。面接を」
まぁアルバイトの時点で本気の人は元来少ないものだけどね。いいだろう。乗るさ。暇だし。
女性には強く言えないのが俺だしな。
よく見れば…訂正。よく見なくても振り返るレベルのかわいさを持ったこのボブヘアーの話に付き合うのも悪くない。
夕食までの軽い運動くらいの気持ちで
「じゃ、どうぞ」
と、応接用の茶色い革のソファに。テーブルを挟んで彼女と向き合うことにした。
これが最初の出会い。ノックのリズムとともに忘れはしない。