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幕間

多賀瞬からの目線。

最近近くに引っ越す事にした。近くって言っても遠いじゃないかと言われる事も多いけど


都心から電車に乗って急行に乗って45分かかる東京の端に。


生まれてから俺は10年間は親の都合でイギリスのアビーロードの近くに住んでいた。

そこにいた時住んでた家を俺は気に入っていていつかあの家に戻ろうと最期に決心して

日本に帰ってきた。



それから日本の東京に住んで、大好きな映画役者になってすごく恵まれていると思う。


だけど恵まれすぎて東京の毎日が刺激的すぎて日に日にその刺激が毒になりどんどん

精神を蝕んでいるように感じた。


この仕事をやめる事を迷うが考えきれない。


けれどここにいると、この世界に浸かりすぎると、しんどいと感じる。


もうちょっと刺激が少ない所に住みたい。そう思い始めたのは少し前からか。


そう思って映画のスタッフさんに話したりすると東京の端は他の県と変わらない雑踏としていない雰囲気があると聞いて

時間があるときさっそく下見をしようと訪れた。


ここ、いいかも。


と気に入った駅に降りる


駅は朝10時くらいだからか閑散とし、駅にはマクドナルドとミスタードーナツが隣接されている。


とりあえず観光マップのような案内板が駅の近くにあったのでそれを見て、由緒ある街並とかいてある

場所に行く事にした。



道を歩いていると周りは空き地だの幼稚園だの畑だの、好き勝手各々の土地にたっている。


大手マーケットが遠目に見えてきて、そこまでこの道を真っすぐいこうと考える。


マーケットが近づいてきた所で一つの本屋があった。町の本屋にしては少し大きい。


両横はちょっとしたビルだ。



本が並ぶ本屋が好きで地域の本屋には必ず立ち寄ろうと決めている。


新しくきた不安な土地で唯一安心できる場所だと思う。


むしろ安心する為に入る。


自動ドアから本屋に入ると人気の小説や雑誌が手前にない。多くの本屋が手前に人気の雑誌や新作の小説をおくにも

関わらず。


他の本にも気づいてもらう為なんだろうか?


一つ一つ本を見ていく。好きな作家も読んでみたい本があるかどうかじっくりみていく。


すると一つのポップが目に入る


ー隠れた名作!

巧みな言葉で読者を魅了するがこの本は実体験に基づき

率直にそげおとされずに描かれる人物達のあどけなさが作家の本当の意図が

示されているストーリー。人間の二面性に気づける作品です。


その的確なポップに思わず感嘆を漏らしそうになった。


うーん、いや吹き出しそうになったといった方がいいのかもしれない。


この本をおすすめだという変人がいるのか。



しかしその本はまた確かに大学の頃の自分に出会いをもたらした一作品であったし、

今でもその小説を読み返す事がある作品だ。


驚きはその程度ではなかった。


新書も本も漫画もメジャーなものだけでなくこれはマイナーすぎるだろ。

というものも同じ位置に並べられている。


おもしろい、と感じる。


雑誌コーナーまで行き着き映画雑誌を見ようとすると、なんと映画雑誌の数が5種類もあり、


代々木の大きな書店にしか置いてない文芸誌まで置いてあった。


これはもう、ここの店長の趣味だろ。


苦笑がこぼれる。


映画雑誌をパラパラと捲ろうと思っていたがその事をやめもっとよくこの本屋をみてみようと

思った。


一冊の本が目に入る。


欲しかった戯曲の文庫本化されたものだ。


すかさず嬉しくなって手にとりレジに向かった。


レジの女の人が気づいたのか顔をみて目をみはっていた。


しかし何も言わずにレジでお金を受け取っている。


すっかりその頃にはこの本屋が気に入っていて、出会えた事が嬉しくて


ありがとう、と本を受け取った時に気持ちをこめた。



この町に引っ越すしかない、そう決めた。



この町に引っ越して一番最初に本の取り寄せをお願いしにいく。


大きな本屋に行かなくてもここで手に入るならそれが一番ラクでしょ、勿論そんな理由だ。


それからは、本の取り寄せで週に1回程行くようになっていっている。


遠くに引っ越した為、開店の朝早くにいかないと仕事が間に合わない。


映画で遠くにいく時は勿論家を開ける事にもなるし、何かととりにいけないけど。


けれどなるべく好きな場所には行きたいから。


そう思いロケから帰ってきた次の日の朝にはしんどくても本を取りに行く事にする。


家から5分で着くそこには歩いていっている。




その日は雑誌の仕事があるから急がないと間に合わないなと思って本屋への足取りをはやくしたときだ。


本屋の入り口で目をみはった。


いつも本を渡してくれる女の人が刃物を突きつけられている。


「お前隣の従業員呼んでこい」


男は落ち着きがなく興奮している。なぜ急にこんな場面になったのか?


事態は一刻を争うのだ。とわかってはいるが、女の人を助けるべきか、


素直に呼ぶべきか、どちらが最善か必死に考えるしかない。


男が俺をせかす。こんな事してなにになるのかと今聞く必要もない事を口に出してしまう。


そんな会話をしていると女の人が抵抗し、段差を利用して男を後ろに倒した。


この人すげえ!


そう思ったのもつかのま一緒になって倒れた女の人を起こし警察に一緒に行く事にした。



警察には思った通り長い間滞在し、警察に行く前に仕事場に報告した事もあり

今日の仕事はなくなった。


一緒に行った本屋の女の人は誰だか気づいていて、今も仕事に行けと気を使う。


あれはただ転んで倒せただけだって話す


自分も大変な目にあったのに、ここまで気を使えるなんてたいした人だと思った。


ああ、でも関係ない。だって他人な訳じゃないし、あんな状況だったし、


そして何よりお気に入りになったあの場所を守りたかったから、別に何の問題もないんだから


そう告げると女の人は笑い、思いきって最期にサインを頼まれた。


むしろこのタイミングでサインかよ


そう突っ込まずにはいられないおかしさがこみ上げてくる。


ポップを書いたのはこの人じゃねえの。


直感的にそう思ったが俺の勘はいつも当たらないのでわかりやしないのだ結局



気づいていたのかもしれないこの時にはどこかで、




春と自分がもの凄く仲良くなることが





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