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僕と君の図太さ

シリアスすぎて、、、つかれたあ

私達は警察で事情聴取を受ける事になった。もっともな事だが

どうもここは居心地が良いとは言えない場所だ。



「男はどんな風にあなたを脅したのですか?」


何度目かの同じ質問をした。

何度しても同じ答えしか返せないのに。


「刃物をつきつけられ首を腕で固定され脅されました。」


まるで裁判でないのだから。


「具体的にどんな風に。」


「刃物が頬をなでていた感じです。」


と手の指で動作を確かめる為再現する。


「ではあなたはその時犯人に何と言われたのですか?」


多賀さんに話をふる。このやりとりも何度目か繰り返される。


先程のおじさんを「犯人」と呼ぶのか。



「隣の従業員呼んでこい、と言われました。」


「あなたが俳優である事を犯人は気づいていましたか?」


警察に行った時、彼が多賀瞬である事がバブリックに露にされ、

その事で多賀瞬がいたせいで起こった事件では、という見方もされている。


「いえ、僕がその時通りかかったからではないでしょうか。他に本屋の前を

誰も通っていなかったですし。」


「通っていなかったのですか?」


私に聞く、勿論だ。朝早くお店が開店してすぐは店先の通りは人さえも少ない。


「はい。」


多賀さんだからではないだろう。本当にもっと衝動的な事件ではないのか。


それからもまた質疑応答は続き


帰る許可が出たのは来てから3時間後だった。


簡単に終わるんじゃないかと思っていたがそんな簡単なものじゃなかったらしい。


隣の部屋に入っていた隣接のビルの従業員も同じ頃部屋から出てきた。


その顔には私なんかよりもよっぽど疲労の色が見えた。


いや、ホントにお互いお疲れさまですよ。


私は多賀さんの時間をとらせた事が申し訳なくて、警察の質問攻めによる疲れよりも

その事が気になりへこんでしまう。


「すみません、お時間いただいてしまって。ホントに申し訳ないです!」


ええ、もうここで話しかけずにいたら逆にダメでしょ、潔く謝る事にした。すると


「そんなのいいんです。それよりこちらこそ、すみません!助けることできなくて。」


逆に潔く謝られ、私は慌てた。


「そんな、偶然私が段差ある事忘れててころんでセーフ。みたいな事なんですから。それに事故で勃発して事故で終わったんだから関係ないですよ。それよりホントお時間大丈夫ですか?」


「気にしなくて、大丈夫です。」



そんな訳には絶対行かないんですよ。多賀さん。


私なんかの平々凡々の一般庶民とは違う職業じゃないですか。


って言うのか、私。言ってしまえよ私!!ホント、この人の時間を私なんかに使わせて

いいのか?!




そういう思っているのが顔に出ていたのか、多賀さんは苦笑し、


「俺がなにやってても関係ありません。だって大変な事だったじゃ、ないですか。いつもお伺いしてる本屋のかたですよね。俺はあなたを知らない訳じゃ、ないんです。」



ーう、うわあ、どこまでカッコいいんだこの人。



多賀さんの言葉がどんなに響いたか。さすが多賀さんだ。


「あ、ありがとうございます。本当に。そんな事まで言っていただけるなんて思わなかったです。」


ついつい嬉しくて言葉が飛び出し本音を語る。


胸に響く、彼の生の声。こんな言葉が言えるからこの人は美しいのか。


この人のファンになって正解だった。と心から思った。


その喜びの思いに思わず口元がゆるむのが抑えきれない。

その喜びはハイテンションにもつながっていくのだが。


多賀さんがまた口を開く



「あの本屋が好きなんです。だから、また取り寄せとりにいかしてもらいます。」


なんだよ、この愛の告白。こんな事言える人がこの世にどのくらいいるのか

ぜひ知りたい。



そして多賀さんの今の行動がいつか見た最初のように丁寧にお願いする姿を更に思い起こさせて、頬と

テンションはゆるみを極めた。




「…いつもご利用ありがとうございます。またご利用お待ちしています。あと

すみません




サインいただけないですか?」


そう素直に言えたのだ。

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