表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

私とあなた

毎回ですが、自分の文才のなさに驚いています。


この話ちょっと長いので半分で分けますね。

ぶっとい縁のきっかけの場所は間違いもなく本屋である。

そしてぶっとい縁を作ったそのきっかけは非日常で些細なものではなかったのが

原因かもしれない。


芸能人来店事件はすぐに街に広まり、他の従業員達毎日落ち着きがない。

そして何より女性客が多賀さんの来店前より1.5倍くらいは増えた。

彼女たちのそのまた一部が売り上げに貢献してくれる。ありがたやありがたや




「多賀瞬、今日こないのかなァ〜」



猫なで声が聞こえたらそれはもう店長の娘だ




「普通に忙しいんじゃないですか?会えたらラッキーですよ。


むしろ会えたら一生分の幸運とかなんとか使って事故っちゃいますよ。」



まさにその通りだ



敬語で話す私と同じような思考回路を持つ青木が答える




本日は入荷された本が多かった為三人体制で片付けていたが

開店したらぶっちゃけ三人も絶対いらない、むしろこの時間人件費かかりすぎなんだよ感が否めない。



「みき、今日は多賀さんが来るまでがんばっちゃおうかなァー!

だっていつもおとーさんか春さんが多賀瞬の取り寄せ渡すからあたしまだあったことないしィ!」



そうなのだ多賀さんは今のところ平日の朝に来店してくれる。

二人は大学生なので朝入る事は余りない。よって朝の超絶お暇な時間には

店長かあたしが1人で店番している。



今日から大学は春休みという恩恵に預かっているらしい。平日も入れるようになったという様子である。


私はというと昨夜夜中に映画を観ていたせいで確実に寝不足だったのでかなり今眠い。なので

人件費削減の為という立派な名目で帰ろうかという考えが瞬時に頭の中で意思決定した。


思い立ったらなるべく行動



「じゃあ、みきちゃんに頼むね。私帰ります!」



そう告げ善は急げのごとくすばやく本屋のエプロンだけ外しロッカーにつっこみ、去ろうとすると

横で青木が少しこちらを睨んだ。思考回路としたら先に言いやがって俺帰れないじゃないか。

とのまあそんな感じだろう



若者は働け。ハハハハッと少しの優越感を持ち自慢げに(ええ、まさにドヤ顔で)

おつかれーなどとほざき裏口のドアから出ずにみせしめのように表のドアから出た。

ああ、ちなみに性格悪いなどのクレームは受け付けません。



ドアを開けると冬の寒さが感じられ、その空気に身体が震える。吐息が一気に白くなった。



さあ家に帰ってねよう!



そう意気込みサッと3歩程歩いた時だ。




隣のビルからか大きな声が聞こえた。怒鳴り散らしている声だ。


その声の大きさに驚き目線を向けるとかなり憤慨した中年のおじさんが

こちらに向かってくる。


イライラしている。そして落ち着きがなくどこか思い詰めた様子だ


このおじさん相当苦労してるんだなとおじさんが通り過ぎるのを待とうとすると


おじさんと目が合う。



その瞬間




後ろに回り込まれナイフを突きつけられた。








ーあまりにも一瞬過ぎて情報が上手く呑み込めない



「お前隣の従業員呼んでこい、」


あのビルのどの従業員だよ、抽象的な発言だな。とツッコミを入れたい

気持ちが心の端に出てきたがそれどころではない。


私に喋ってる訳ではなさそう声を発した。


私の方みてない?


その事に腹が立ち、人生の最期が近づいている事への諦めと自分の身が突如こういう目にあった事に

対して理不尽さを感じられる余裕がわずかに生まれる。




「ちょっと、なんですかっっ!」



何をしたいのかは勿論わからるはずもない。しかし確実に脅されている。事実だ。


声を無視し、男は私ではない人に続いて声を発する。


なんだこのおじさん、だんだん腹立ってきたな、オイ聞けよ。


「おい、はやく行け。じゃねえとコイツ、殺すからな」


刃物が今頬をすっているのにも関わらずこの男の人質の声すらも入っていない様子に呆れこの状況が

非日常すぎて返って冷静になってくる。誰に話しかけているのか気になり声の方向に私も目を向けた。



多賀さんがいた。



た、たた多賀さん!?



多賀さんは緊張した顔でこちらをみていた。怯えの色はみられない


「アンタ、そんな事してなんになるんですか」



全くその通りだ。しかし多賀さん、その前に呼んできてくれないと私死ぬから。

私今死ぬ事がわかって落ち着いてしまったくらいだからむしろ。


そんな気持ちともう一方で最期の時に目の前にいる多賀さんに迷惑をかけている自分が憎く、そんな状況に私を晒した

男が憎く、ヤケクソに危ないと分かっていたが男から逃げようと抵抗する為一歩前に出た



その瞬間、私は足場を崩した。


体制が崩れ後ろに思いっきりのけぞり

頭が犯人の顔に直撃したのだろう、男が衝撃で後ろに倒れ本屋のドアに頭をさらにぶつけている。


まさにのちに痴漢撃退法である事を教えてくれたのは多賀さんであるが。


それより

私は忘れていたのだそれはもうすっかり。表のドアには大きい段差が存在していた、ただそれだけの事を。




そしてとてつもなくついでに言うと私も勿論男と同じタイミングで後ろに倒れた。


お尻を思いっきり段差の角に強打し痛みを感じたのと同時に腕がひっぱられ立ち上あげられ強制的に起き上がり地面に足をつける。


「大丈夫か!?」


「あ、、、はい。」


多賀さんがひっぱってくれたのか、、!!


多賀さんの緊張した声に私は安堵したのと同時に申し訳なく思った。



「い、今電話しますので!」


多賀さんが片一方の手で私の手首を持ちながら携帯で警察に電話する。


私はというと未だに痛さで絶えきれないのだろう起き上がってこない男をじっと見ている。


すると本屋の中から青木が出てきて、また隣のビルからも人がでてきて

ぞろぞろと集まってきた。


「ちょっ、え、え?この人だれ?!」


犯人と多賀瞬を交互に見つめる青木、なんとも予想通りの反応をありがとう。


隣のビルから出てきた人は私に一声大丈夫でしたか!とかけるとすぐに男を起こし

取り押さえていた。


電話し終えたのか、多賀さんが


「警察に事情聴取になると思いますが勿論俺も行きますから」


これもきっと当たり前の事なのだろうが仕事大丈夫なのか考えてしまい


多賀さんの言葉に私は顔をうつむきながら頷く以外方法がなかった。











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ