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ときめきと一瞬と

ぬはは、こっちの方が書きやすい、、笑

 

「ありがとう」


ですって、奥さん。


このありがとうは普通のごくごく流れ作業なありがとうといった一般的な受け答えである。

私の存在を確認して言ったのではない事はちゃんと認識できている。


しかしそう思っていても反芻してしまう。



むは、あの声はもうやばい。


もうこの事はお墓にもっていける。むしろ幸せすぎて死ぬのか?


大げさだと言われてもしょうがない


だってファンなんですよ、ファンファン!



一生お目にかけれないと思ってた訳で


だって彼らのような仕事をしたいと思った事などないし



平凡無事に過ごせればいい、平凡さいこう。刺激なんて毒だ、刺激なんて怖い


春になればこれからの1年に少しの期待をよせて


夏になればゆらめく暑さの中かき氷を食べて


秋になれば旬の食べ物を食べる楽しみをおもい


冬はさむい外を横目にこたつでぬくもるのがいい




そんな風に日々を過ごせたらそれでいい。



そう思えども今はよろこびを噛み締めながら在庫整理をはじめた。



ー私ったら幸せもの


会えて幸せ。まるで本の世界みたいな展開を妄想してしまう。ぬはは。


そうなのだ、


私は本を読む事と映画を見る事が大好きである。




 本を読むというのは他者の経験を知る という事だ。と誰かがいっていた。


誰が言っていたかは覚えていないが、自分を後押しさせてくれる言葉だと思った。


小さい頃から本を読む事と映画をみる事が好きでその世界に没頭すると

ご飯を食べるのもどうでもよくなる、、みたいな事はありえなく


適度に好きである。



しかしこの適度が心地いいのは事実だ。







「春ちゃん、交代。おつかれさま。」


後ろで店長が買い物から帰ってきたのか少し汗をかきながらレジ台の後ろから

私に言った。


「あ、はい。上がります。あれ? 店長この時間一人ですか?」



「いや、青木くんが来るよもう少しで」


青木は男子大学生だ。いつも眠そうで本人曰く全ての時間を本当は睡眠に使いたいらしい。


いやいや青木の紹介なんてともかくそれよりもこの馴染みの店長に私は先程の興奮を伝える事にした。



「あおきか、早く来てほしい。あ、それより店長いまね、芸能人がきたんですよ!」


「え! 今まで芸能人なんか開店以来来た事ないけどねえ、だれだれ?」



こんな辺鄙な場所に来る芸能人なんてそうそういないだろう、なんだってぎりぎりここが東京

である事が自慢なこの地域に。


「ええー店長、この前話していた映画のほら、町の便利屋さんの、ほら。あの人ですよ!」


「え、あー! 多賀瞬!うそ、すごいねー! 春ちゃん好きだったんじゃないの?!」


さすがわが店長、4年の付き合いだよ、わかってらっしゃる


「ええ、もう私幸せを一生分使いましたよ、今日買おうと思っていた雑誌買うのやめてもいいと

思っているのは間違いないです。」



こんな会話を出来る事も私はとても幸せに感じる。




しがない町の本屋だ、本の紹介やおすすめなども全部手作りだし、毎月出版社が提示した日ときっちり同じ日に

店頭に出す。そんな普通の本屋なのだ。そこで働くのは


人が良すぎる店長とあとその娘のギャルの女子大学生、家から一番近かったからという理由で

働く青木くん、そして私の4人。案外人足りなさすぎて毎日朝から晩まで入れられるという腹が立つ事実も

あるけど、


中々ここも心地良い。






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