表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/7

2話 一体いつから食糧があると錯覚していた?

アクセス解析使ってみたら読んでくれている人がいてマジで泣きそう。

ブクマしてくれてる人もいる……!!え、しんどい。ありがとうございます!!


引き続きお付き合いください!!

 バカ王子が光の速さで逃走した。

 わたくしの血管はぶち切れそう!!


 残された民の瞳に映るのは、絢爛たる玉座に残されたボロボロの囚人服に安物のコートを羽織った裸足の女と、気の小さいメイドだけ。


 というか、なんで逃げるときまで偉そうなのよ!!


 理解不能な王子の行動に思考停止していた彼らは――数秒後、戸惑いと怒りを爆発させた。


「おい、アレなんなんだ?」「わからん!」「とりあえず殺せ!」「落ち着け!」「飯をよこせ!!」



 掴みかかろうとする者、泣き崩れる者、留めようとする者、立ち尽くす者。



 ――なによ、この状況。



 戸惑いが、じわじわと怒りに変化する。


 おかしい。

 わたくしを生贄にして生き延びようとするバカ王子が。怒れる民の罵声が。


 何より、それがこのわたくしに浴びせられることが!……すべてが、おかしい!!



 ダァン!!!!!!



 わたくしは、手に持った鉄パイプを傷一つない大理石の床に思い切り叩きつけた!!!


 玉座に深く深く沈み込み、シンと静まり返った広間を睨みつける。



「――誰に向かって言っている」



 ダァン!――白と黒の滑らかな床に、朱い錆が散る。



「お前たちが苦しいのはわかっているわ……でもね」



 ダァン!!――削れ、抉れる。



「今!!一番怒ってるのはわたくしだ!!!王家の奴らをぶっ潰す!!お前たち全員の命を背負ってあげるわ……付いてきなさい!!」



 肺腑に溜まった重たい空気を思い切り吐き出し、玉座から立ち上がった。



 さあ。とびきりの、女神のような慈愛に満ちた笑みを浮かべてあげる!


「――とはいえ、お腹が空いていたら戦はできないわね。食糧庫を開放いたしますわ!!女性も、子供も、お年寄りも!大切な人をここに連れていらっしゃい!」




 瞬間、曇天に一筋の光が差し込む。



 怒号が、歓声に変わった。




 ――とりあえず、生き延びた。


 呼吸を整え、鉄パイプをきつくきつく握り締める。


 待っていなさいバカ王子!

 必ず、鉄槌をくだしてやるわ……!!



 ――



 極限状態から解放されたのは、彼らも同じのようだった。


 下座を見おろすと、極度の不安と怒りから解放され、喜びや安堵に沸いているのがよくわかる。



(気を緩めるのはまだ早いわ。……ここからよ)



 配給と聞き、家族を呼びにいく者やお互いに肩を組む者たち。その中に、一人。



「ミュウ、()ていたわね?」

「はっはい、おおおしっこ、ちびりそうでしたけどっ!ちゃんと視てました!()()()です!!」


 膝を笑わせるミュウの頭を軽く撫でる。


 答え合わせを終えたわたくしは、周りの者の背を叩く大柄な男に向かって声を放った。



「そこの緑の服の男性……ええ、褐色の髪のあなたよ。こちらにいらっしゃい」


 男は訝しげに、のっそりと近づく。



 無精ひげの朴訥とした印象の中年らしき男。

 その黒い瞳は警戒の色を乗せわたくしを真っすぐに見据えた。……怯えた熊のようで可愛らしいこと。



 わたくしは屈託なく微笑んで優しく手を取った。


「ありがとう。おかげで死なずに済んだわ」

「……なんのことでしょうか?」


 一瞬そらした目に、確信する。


「あなた、この群衆の頭でしょう?」

「な……!いや、何の話でしょうか?学がない俺には何がなんだか」

「そう。扇動罪は絞首刑ですものね――ああ、気になさらないで、ささやかな雑談ですわ。それでね?」



 わたくしは唇に指をあて、可愛らしく首をかしげてみせた。男の喉仏が小さく動く。


「これから食糧庫を開けるのだけれど、この城はさきほどから全く人気が無いの。気づいている?」

「……まぁ、はい。それが、どうしましたか」

「恐らく、あなた達を恐れて逃げ出したのよ。……どさくさ紛れに食糧もどれだけ盗まれたでしょうね?」

「なっ!?あんたさっき「静かに」」


 背後に視線を送り、一段声を落とす。



「『食糧庫に食べ物があって当然』そんな思い込みは誰でもするものでしょう?」

「……クソ、どの口が」

「困りましたわ。もし当てが外れて麦の一粒も残っていない、なんてことが起きたら、わたくしは次こそなぶり殺しでしょう」

「……」


「期待を裏切られた彼らはどれほど怒り狂うかしら?城を焼き、貴族街を破壊し、その次は……」

「もういい。……要求を言え」


 男は小さく吐き捨てた。


「わたくしは言葉を偽りにするつもりはないわ。でも、|真実にするには工夫が必要なのよ。あなたの仲間で、信頼できる料理人と狩人をできるだけ連れてきて」

「……かしこまりました、お嬢さん」


 両手を小さく挙げ「……くそ、だから暴動なんて反対したんだ」と毒づく男に微笑む。


「お疲れ様。これからはわたくしが背負って差し上げましょう。……あぁ、そうだわ。もう一つ、聞きたいことがあるの」

「はいはい、なんなりとどーぞ!」


 やけくそ気味に吠える熊。



 追い詰められても女子供に手をあげない、人望のある平和主義者――理想的だわ。



わたくしは優雅に微笑んだ。



「あなたの名前を、教えてちょうだい?」

お読みくださった方ありがとうございました!

アドバイス、誤字脱字など教えていただけるとめちゃくちゃ喜びます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ