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転生少女リリアの魔法の旅  作者: amya
2章

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第12話 石版の声と、わたし

第12話 石版の声と、わたし


 階段を上りきった先は、またしても広い空間だった。

でも、今までの薄暗い遺跡感はどこへやら、ここは妙に明るい。

空気がふわっとしていて、まるでテーマパークの次のエリアみたいな雰囲気だった。


「このファンタジー感すごい。……なんか、空気が甘い。ポワッとしてる……」

「広間ごとに雰囲気が変わるのは不思議だが、香りは気のせいだろう」


「いや、絶対香りつけてるって! ほら、テーマパークってエリアごとに匂い違うじゃん!」

「……テーマパーク? そのテーマパークはちょっと分からないけど、遺跡に香りをつけるって」


ユリオはあきれた顔でため息をつく。

でも、その表情は少し柔らかかった。


部屋の中央には、ぽつんと浮かぶ石版。

近づくと、表面に古代文字のような紋様がうねうねと光っている。


「うわ……なんか、絶対触ったらイベント始まるやつって感じの石版だ……」

「いや、わかるが……イベントとは何だ」


「説明したら三日三晩かかるので割愛します!」


そう言いながらも、胸の奥がじわじわ熱くなる。

怖くもあるけど、たまらないワクワク感が混ざる。


ユリオが静かに私を見た。

「……楽しそうだな。怖くはないか?」

「え? いや、怖いけど……なんか、進まなきゃいけない気がするんだよね」


「そうか。無理はするなよ」

「無理してるけどね!」


いや、言うな自分!

でも止まらない。


石版に手を伸ばす。

指先が触れた瞬間——


パアンッ!


軽い破裂音とともに光が広がり、右手にピリッとした衝撃が走った。


「ひゃあっ!? 今の絶対なんかのスイッチ! ねぇユリオ、押しちゃった!?」

「いや、押したというより……反応したんだろう」


右手を見ると、一瞬だけ金色の紋様が浮かび、すぐに消える。

まるで光のタトゥーみたいだった。


(……今の、何?)


胸の真ん中がぎゅっと温かくなり、じわじわ広がっていく。

どこか懐かしいような、泣きたいような、不思議な気持ち。


その時——、


——聞こえているか、継承者よ。


耳じゃなくて、心に直接声が響いた。


ヒィッ!?


「ゆ、ユリオ、今なんか声が! 心に直で! ダイレクトアタック!」

「どういうことだ?」


「だから! 脳内に! 声がぁ!」

「……落ち着いて話せ」


えぇ~!、落ち着けないよぉぉぉぉぉ!!!!


でもユリオが肩をつかんでくれると、少しだけ呼吸が整った。


試練は終わった。汝は扉を開く資格を持つ。


(終わったって言った……試練……さっきの魔像のこと?)

(ていうか汝って……めっちゃ格式高いじゃん!?)


石版の光が弱まり、そこに新たな紋様が浮かび上がる。

それを見た瞬間、なぜか「あ、これ読める」と直感した。


「……光の継承者へ……?」

小さくつぶやくとユリオの表情が変わった。


「リリア、読めるのか?」

「えっ、い、今のは、なんか……なんとなく!?」


「なんとなくで古代文字が読めるのかよ」

若干のあきれが入っているような返答だった。

「いや、私だって読みたくて読んでるわけじゃないの! 勝手に脳に入るの!」


「怖いことを言うな」

小さくそう言いながらも、ユリオの声が少し震えているように聞こえた。

不安……なのかな。

私の何かが、わからないから。


(……言わなきゃ)

「ユリオ……私も怖いよ。自分が何者か分からないの、めっちゃ怖いよ」


ゆっくり顔を上げると、ユリオが驚いたように目を見開く。


「でも……怖いけど……それ以上に、知りたいんだ。何が待ってるのか、この力が何なのか。だって、ここまで来たんだし……」

「……リリア」


短く私の名前を呼んだ声は、少し優しかった。


その瞬間、石版から柔らかい風が吹き出す。

まるで「よく言った」とでも言うように。


奥にある扉に、ぽうっと灯りが点く。


「これ、行けって言ってるやつだよね?」

「そうだな。……行くか?」

「行く!」


即答すると、ユリオが小さく笑った。


「……怖くはないか?」

「怖いよ? でも、面白そうだもん!」


言ったら自分でも笑えてきた。

怖さよりワクワクが勝ってる時点で、自分でもちょっと変って思う。


でも、それが私だ。


右手がじんわり温かい。

さっき光った紋様の名残が、まだ皮膚の奥に残っている気がした。


「よし! 未知の世界へ、レッツゴー!」


ユリオの肩が一瞬ビクッとした。


「……その掛け声は何だ」

「勇気100%の出るやつ」


「意味がわからんが……まあいい」


二人は並んで歩き出した。

扉の向こうは、また新しい空間が待っている。


ふわっと風が吹き抜ける。


まるで、誰かが「ようこそ」と言っているみたいに。


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