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転生少女リリアの魔法の旅  作者: amya
2章

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第11話 黒い影と、動き出す試練の部屋

第11話 黒い影と、動き出す試練の部屋


 通路を抜けると、あの赤い目の光のようなものは無くなっていた。

静かすぎる。こんな遺跡の奥で静寂なんて、嫌な予感しかしない。


ギギ……ギギギ……。


「い、いやぁぁぁぁぁぁあ!? 絶対なんか動いたよね!? ね!?」


背中がゾっとしたが、心臓は、勝手にドラムソロを始めた。


奥の壁の影が、ゆっくり赤い目を灯す。

あれ、石像じゃなかったの……? 動いてる。絶対動いてる。

それは2メートルくらいの高さのあるゴリラのような石像だった。


「……魔像だ。遺跡の守護者か」


ユリオが落ち着いた声で言う。

(落ち着きすぎじゃない!? なんでそんな平常心なの!?)


「ま、魔像!? なんで私たちファンタジーボス部屋みたいなとこにいるの!?」


必死に叫んでも、ユリオは眉ひとつ動かさない。


「落ち着け。まだ攻撃してこない」

「いやいやいや、まだって言い方が一番怖いからね!?」


その瞬間、私の足元から光が四方に走った。


ビィィィン……。


その光が天井に走り、部屋中に光の粒子が舞いキラキラした状況のなか、幾本かの光の柱が出現した。


「うわっ、出た! 謎の光エフェクト! これは絶対イベント開始の合図だよ!」


でも、胸の中にはワクワクも混じってくる。

怖いけど……この世界、やっぱり刺激強すぎ。


光の柱から床の1点に向けて光が落ち、魔法陣が広がる。

魔像がゆっくりと動き出し、その上にドンと足を踏み出した瞬間、リリアはびっくりして膝がガクガクと笑ったようになった。


「ひえっ!! やっぱり来るじゃん!」

「まだ動きを試しているだけだ」


ユリオは軽く私の腕を引き寄せてくれる。

その手が温かくて、少しだけ安心する。

(いやいや、安心してる場合じゃない!)


その時、壁に文字のようなものが光って浮かび上がってきた。


「……なんか読めそうな読めなさそうな……って、あれ? ん?私わかるよコレ?」


自分の口からわかるなんて言葉が出るのも驚きだった。

見たことがあるわけじゃない。

でも、文字が心に直接流れ込んでくるみたい。


「……光の柱を順番通りにふれてって書いてある?」


自分で言いながら、背筋がひんやりした。

(なんで……なんでこんなことがわかるの?)


ユリオが不思議そうに私を見る。

その視線が少し怖い。

(私、変に思われてない……よね?)


でも、今は考えてる余裕はない。


近くの光の柱に近づきながら手を伸ばすと——

魔像もついてきた。


「ひぃぃぃ! ついてくる!!」

心臓がひっくり返る勢いで跳ねる。


「慎重に行け」

ユリオの声は落ち着いてる。でも私は限界。


「そんな冷静に言わないでよ~!?」

震える指で触れると、


ポウン。


触った光の柱の光が消える。

この音がやけに優しくて、胸の緊張が少しだけほぐれる。


二つ目。

次にリリアは右隣の光柱に近づいた。そこには十字の形に彫られている部分と丸い形に彫られている部分があって、ゆっくりと点滅している。


「なんか……これ、“上”“上”“下”“下”って順番に触ったら良いような気がするんだよね」


言いながら、自分でも何を根拠に言ってるのかわからない。

でも、体の奥で何かが、そうだと確信してる。


ポウン。


キレイな音。触った光柱の光が消える。


ユリオがじっと私を見てるのがわかる。

(そんなに見ないで! 私だって混乱してるんだから!)


三つ目。

リリアはさらに右隣の光柱に近づいた。そこにも同じ形に彫られている部分があって、ゆっくりと点滅している。


「これ……さっきの続きかな、“左”“左”“左”“右”って——」

順番に触ってみた。胸がざわざわする。

嫌な予感。


ゴォッ!!

魔像が急ぎ足で飛び出して来た。


「きゃああああああああああっっ!!!!」

足がすくんだ瞬間、腰を強く引かれた。


「リリア!」

ユリオの背中が、視界いっぱいに広がる。


ドガァァァン!


石の拳が床を砕く。

衝撃で風が頬を打つ。


「こ、殺す気なの!? 魔像だから生かす気ゼロなの!?」

「落ち着け!」


ユリオの声は震えてない。

でも、引き寄せられた腰のあたりは……少し震えていた。

(ユリオも怖かったんだ……)


魔像はその場で直立の姿勢に戻って動きは止まっているが、目は薄赤く光っている。

待ちの状態なのかリリアは気持ちを落ち着ける。


「す~は~す~は~!」


自分で聞いても情けない呼吸。

でも、光が呼んでる気がする。


胸の奥に、あついものが走る。


直感が導くまま“左”“右”“左”“右”と十字の形に彫られている部分に手を伸ばすと、


ポウン。

触った光の柱の光が消える。


そして、リリアはさらに右隣の光柱に近づいて触った。


パアアアアア……。

光の柱がすべて消え、魔法陣が収束する。


魔像はゆっくりと元の場所へ向かって離れていった。


「……は、はぁぁ……し、死ぬかと思った……!」


足がガクガクして、立っているのもやっと。


「よくやった」


ユリオの手が肩に置かれた瞬間、

ふにゃっと体から力が抜けた。

(……守られたって思って、安心したんだ)


奥の大扉がゆっくり開く。

そこから淡い光の粒が流れ出す。


奥の部屋の真ん中に浮かんでいる石版を見た瞬間、胸が締めつけられた。


「……呼んでる……」


言葉が勝手にこぼれた。


「お前、本当に何者なんだよ」


ユリオの声が少しだけ不安げなのに気づく。

(……私だって不安だよ。でも……)


「わ、私だって分からないよ。でも……この場所、懐かしい気がして……」


そう言った自分に、一番驚いていた。

懐かしいなんて、ありえないのに。

でも胸が熱くなる。


奥の部屋へ繋がる数段の階段が光を灯す。


「……行くのか?」


私は、大きく息を吸う。

「うん。だって、面白そうだもん」


怖いけど……ワクワクする。

不安より、そっちの方がずっと強い。


ユリオがわずかに微笑む。

「……そうか。なら、俺もついていく」


二人は光の階段へ足を踏み入れた。


未知の奥へ。

自分でも知らない何かが待つ場所へ——。


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