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転生少女リリアの魔法の旅  作者: amya
2章

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第10話 光の導きと、封じられた部屋

第10話 光の導きと、封じられた部屋


 遺跡の奥の通路を抜けると、急に視界がぱっと開けた。

広い石の部屋。天井は高く、ほとんど光が差し込まない。

冷たい空気が肌を刺す。


「うわっ……広っ! しかも外より寒い!

これ、冷蔵庫……いや、冷凍庫寄りじゃない!?」


「……どっちにしても寒いのは確かだな。」


ユリオは落ち着いた様子で部屋を観察している。

淡い光が彼の髪を照らし、そよ風が吹いたみたいにゆれる。


(あ、この角度ちょっとかっこ……いやいやいや今は危険地帯!)


リリアは両腕を抱えながら、部屋の中央を恐る恐る見渡す。

とはいえ――


「絶対罠ある。ここ絶対罠あるって……! 私、こーゆうの知ってるの!」


「ただの広間に見えるが。床も天井も怪しいところは――」


ゴォォォォ……

再び、低い唸りのような音。


「きゃああああ!?」

「落ち着け。……風だ。」


「いやいやいや、あれ絶対風じゃないよね!?生き物だよね!? ムリムリムリ!」

ユリオは溜息をつきながらも、剣の柄に手を添え、そっと前に出る。


「……何が出ても、俺が前に立つ。」

「……ありがとう。頼りにしてる。」


「言っただろ。そう見せているだけだ。」

そう言うのに、リリアの前に立つ背中は揺らがない。

(見せてるだけって言うけど……絶対優しいじゃん。)


そして視線の先、部屋の中心に、ふわりと光が浮かんでいた。


直径20センチほどの球体、まるでガラス玉のように透明で、内部には複雑な魔法陣が立体的に回転している。


「なにこれ……!? 回ってる……!ファンタジーの重要アイテムじゃん!?」

「おかしい。いつもは何もない部屋だったはず」

ユリオが小さく呟く。この遺跡にこんなのがあるって聞いたことないけどと思いながら。


「あれは古代の魔道具……導き手かもしれない。」

リリアの目がキラッと光る。

「導き手!? チュートリアル的なアレ!?やっと説明書キター!?」

「いや、たぶん違う。」

「違うんかーーい!」


思わず突っ込みを入れつつ、そろそろと近づく。

魔道具は2人の接近を察したように、淡い光をふわっと強め、石台の上でやわらかく揺れた。


「あれ……光った!?」


ユリオもそばに立ち、そっと手を伸ばす。

しかし――

「……俺には反応しない。」

「えっ、じゃあ……」


「お前にだけ反応している。」

「特別扱い!? やば、主人公ムーブ出た!?」


「主人公……?」

「えーと……選ばれし者的な!」


「お前、言葉の例えが独特だな……」


困惑しつつも、ユリオは剣を握り直し、リリアのそばから動かない。


「油断するな。古代の魔道具は、何を引き起こすかわからない。」

「油断しない! しないけど……でも光が……呼んでる気がするんだよね!」


そう言った瞬間、ふわり、と金色の光の粒が再び現れた。

ゆらゆらと漂い、魔道具の周囲を回る。


「やっぱり導いてるよ! 確定じゃん!」

「落ち着け。興奮すると足を滑らせるぞ。」


「滑らないもん!」

「……今の言い方は滑る前触れだ。」


恐る恐る、リリアは手を伸ばす。

指先が魔道具の光に触れた瞬間、内部の魔法陣が急に明るく回転を速めた。


「うわっ、光った!? 私、ホントに選ばれた!?」

ユリオは静かに見守りながら、少しだけ眉をひそめる。

「……お前、本当に何者なんだよ。」


その問いに、リリアは返す言葉が出てこない。

生まれ変わった理由もわからない。

でも、導かれてここに来たことだけは確かだと思った。


やがて球体の魔道具の光はおさまり、内部の回転もゆっくりに戻った。リリアはこの魔道具をもらって帰ることにした。


「ちょっと取ってみようと思ったら取れました。」

とリリアは球体を両手で持ちながら言っている。

ユリオはいろいろな出来事に驚いて、掛ける言葉が出てこなかった。


その時。


じっ~っと、奥の通路の先の影から、黒い大きな影がこちらを見ていた。

まるで石像のようだが、赤い目だけがぼうっと光り、不自然なほど静止している。


「ユ、ユリオ……あれ、絶対……生きてるよね……?」


ユリオはさっと前に出た。

剣を抜く寸前の構え。


「……落ち着け。どんな相手でも、俺が前に立つ。」

「うぅ……頼りにしてる……!」


思わず、リリアの手がユリオの腕に触れる。

ユリオが一瞬ビクリとし、しかしすぐに小さく息を整えた。


「……だから、離れるな。」

「離れない……絶対!」


金色の光の粒がふわりと二人の周りを漂う。

不気味なのに、どこかあたたかいような、守られているような感覚。


「……ここからだな。」

ユリオは低く言った。


「うん……絶対、面白いことが待ってる気がする!」

「……今は面白いより危険のほうが濃い気がするが。」


「え、でもワクワクしてきた!」

「はぁ……本当に落ち着きのないやつだ……」


その声は呆れながらも、どこか優しい。

リリアとユリオは、導きの光に背中を押されるように、部屋の奥へと踏み出した。


未知の影、古代の魔道具、そして導かれる理由。

ユリオがいれば、怖くない。

物語は、静かに次の扉を開いた。


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