エルの旅立ち
リューネ姫一行は、次の日王都へ向けて村を立った。
エルは、それから今後どうするかを考える事としたのであった。
すでにザーク村の防衛設備は高水準であり、モンスターの襲撃や野党の襲撃、籠城設備などしっかり出来ており、ちょっとやそっとの事じゃ攻略する事は出来ない。
4人の長馴染みたちもすでに王都へ行き、戻ってくることは無いだろう。したがって、縁はもうないものと考えてもいいだろう。
村の生活水準も他の場所と比べても圧倒的に高レベルであり王都並みであり問題ない。
「よし。この際、僕を必要としてくれる国へ行く事にしよう。」
この考えに至ったのは、村の住人がエルにいろいろして貰っても当たり前という感覚に陥ってしまっていたのも一因であった。
エルの決心は固まったのであった。
◇◇◇◇◇◇◇◇アナザーサイド◇◇◇◇◇◇◇◇
一方のその頃、エルを捨てて王都へ行った4人のことある。
王都ギルドの次期エース候補として移籍した4人は、装備も新調し、王都ギルドからの依頼でダンジョン攻略へと向かうのであった。
腕ならしとして、王都初級ダンジョンの上位クラスを受注することした。まだ、勝手もわからないのだから無理をしないようにとカティアが提案したのであった。
バザックは、ザーク村近郊の深き森のダンジョンの中級上位まで攻略出来ていたので納得はしていなかったのだが・・・
スカウトであるマリネを先頭にバザック・カティア・リサと隊列を組み続いて行く。マリネは、トラップ等を解除したり危険を避けながら、大き目な空洞に辿りつき、そこにゴブリンの集団を確認した。その中には、ゴブリンの上位種もいるようだ。
作戦を立て戦闘を開始。
バザックが体験を構え、ゴブリンの集団に特攻開始。カティアは、弓を用い距離を取り、援護射撃を開始し、バザックやカティアの打ち漏らしたゴブリンをマリネが処理。リサは、後方で防御系の呪文と回復を担当していた。
カティアは、戦闘が始まってから違和感を感じ始めていた。殲滅速度が今までと違う事に気づいたのであった。バザックが敵の攻撃を被弾し、リサが回復で手一杯になっているようである。マリネの残敵の処理もうまくいってないようだし、自分の弓の攻撃の火力も物足りなく感じていた。
しかし、戦闘を開始してしまった以上全力を尽くし敵を殲滅するしかない。カティアは、速射スキルを使用し、下位ゴブリンを軒並み倒していく。残りは上位ゴブリン数体となった。カティアが戦況をうまく誘導し、一匹一匹きっちり処理していく。バザックの被弾が想定以上のダメージを与えた為に防具やその他の装備を修理に出す事となった。
攻略後、4人で反省会を行い、村での成功体験の印象が勝っていた事もあり、今日の攻略は慣れない場所での初戦闘であったため仕方がない。次回からは、経験もしたのでうまくいくだろうと楽観的な意見が強く、今日の所はゆっくり休もうという話に。そして、修理した防具を装備し、新たな冒険へと向かうのあった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇END◇◇◇◇◇◇◇◇
一週間経過し、リューネ姫一行がザーク村へとやって来た。また、宿屋にエルを呼び、返事を聞くこととした。
「エル、あなたの考えを聞かせて頂けますか?」
「リューネ姫さま、僕をあなたの国へと連れて行って下さい。」
エルの返事を受け、リューネは一行にエルの参加を伝え、次の日にはスティルギン王国の首都レーゼテルスに旅立つ事となった。