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異世界の女の子だからって絶対に素直でいい子ってわけじゃないからな!

気がつくと僕は、大きな城壁の前にいた。


なんとかモンスターを振り払い逃げ切れたものの、がむしゃらに逃げていたためどのようにここにきたのかは全然覚えていない。


(ここは、街?なのか??)


城壁の周りを歩き入口を探してみるが、かなり大きい街なのだろう、入り口が見当たらない。


(なんか人の気配がするってだけで、大分安心できるなあ。こっちきてからずっと逃げ回ってたし、この安心感が心地いい。)


「おい!そこのお前!止まれ!」

「ひゃいんっ」


急に後ろから声をかけられた僕は、驚きのあまり変な声がでてしまった。


「こちらを向くのだ。その服装といい、貴様なにものだ?」


僕はゆっくりと指示に従い振り返る。

声をかけた人間は女性兵士であった。


髪の毛は黒髪ショート、目の色は赤色、身長は僕より少し小さく165センチといったところか。


(なんとまぁ身なりからして異世界らしいんだ。そしてなんといってもかわいい。こんな嫌いな人は元の世界にはいなかったぞ?)


「その下劣な目はなんだ?なぜそんな目を私に向ける!さては貴様…変態だな?」


「…??って、ちちちがいますってぇえええ!あまりに可愛いんで見惚れてただけでってあ!いや変態じゃないです!ただの転生者です!」


(まずい、急に変態呼ばわりされ焦ったせいで、転生者となのってしまった。確かに元の世界の服装のままだから、不審者がられるよな。)


「か、かわいいだと?そそそそ、そんなはずはなかろう!わ、わわたしはずっと兵として修行を重ねてきたのだ!仲間からも女として見られない私がか、かかかわいいわけなかろう!」


(あれ、なんか思ってた反応とちがうぞぉ。

ここは普通転生者様なのですか!?とか、転生者とはなんだが普通の反応だと思うが…。まぁいいなんか都合よく照れてくれている!敵ではないことを示すチャンスか!)


「あ、あぁ!あなたはめちゃくちにかわいい!はちゃめちゃだ!だからこそ友好関係を築きたいと思ってるのだがどうだろうか?」

「そそそそ、それは私を伴侶にしたいということなのか!?」

「言ってない。伴侶にしたいとは言っていない。」

「じゃ、じゃあどうしたいというのだ!ま、まさか、わわわ私に辱めを????」


(あぁぁぁどうしよう、こいつめんどくさい奴だ。)


「いや、普通にあの、仲良くなりたいのでここの街を案内して欲しいんですが…。」


頬を赤らめていた騎士の顔が、徐々に元の色に戻っていった。


「…あ、あぁそういうことか。うむ最初からわかっていたぞ。ところで貴様この辺で見ない顔だが名前はなんというのだ?」


「あ、僕は鈴木一人っていいます。」

「そうか、この辺では聞かぬ名だが、どこから来たのだ?」

「あぁ、えっと、複雑な事情から別の世界から転生してきました。」


転生してきたことを初対面の人に言っていいのか分からなかったが、嘘をついても面倒そうなので本当のことを僕は口走っていた。


「転生…。まさかあなたがきた別の世界とはニホンというとこなのか!?」


僕は日本という言葉を聞き驚きが隠せなかった。


「に、日本を知っているんですか!?」

「知っているも何もニホンからここにやってきた勇者が魔王を倒し、この世界に平和を呼び戻すという言い伝えがあるのだ!ま、まさか貴方様がその…。」


女騎士は光り輝く目を僕に向けてきた。


(なんとまぁコテコテな異世界設定なんだ。ラノベ作者もびっくりするぐらいありきたりだな。)


僕は、内心ではそう思っていたが自分が勇者である可能性を示唆されまんざらでもなかった。


「貴方様が勇者ということは、伝承にある通り手から龍を召喚したり、その龍と一体化した龍装を使用することができるというわけですね!」


(ん?)


僕の頭の中には、?の波が押し寄せていた。


「龍装意外にも、聖剣エクシストや神魔アポリスを使用できる勇逸の存在とお聞きしております!」


(ん???)


「それからそれから、どんなビーストもテイマーしてしまうことができたり、ある程度の敵であれば咆哮で薙ぎ倒すことができたりですとか!」


(あ…やばい、これ勘違いされてるやつだ)


僕が抱いた勇者の可能性という希望なんてものはすぐに跡形もなく潰された。

それもそうだ、りゅうそうだのせいけんだのしんまだのあのクソ女神には何も聞かされていない。

唯一自分のことで知ってるのは、少し足が速い程度のことなのだから。


「あ、多分それ僕のことじゃ…。」

「あ!あぁ!申し遅れてしまい大変申し訳ございません。私の名前はアイリス・スカイと申します。どうぞスカイとお呼びください。

それと先ほどは大変申し訳ございませんでした。

どうか無礼な私をお許しいただきたく思います。ところで勇者様…。」


(あーだめだ、この人話が通じなさすぎるぞー。このまま、この街に入ったら勇者様がどうとか囃し立てられた挙句、いつか僕の本当の力がバレて偽勇者として処刑されるに違いない。)


僕はその場を穏便に離れようと、語り続けるスカイさんから少しずつ距離を置く。

スカイさんは全く気づく様子はなく、僕はすでに2-3mは離れていた。


(よし、これだけ距離が取れればギフトで逃げられるはず。こんな目の前の街に入れないのは残念だが、逃げ切ったら別の街を探そう。)


「ごめんなさいスカイさん!僕は多分勇者でもなんでもないのでおさらばさせていただきますー!」


勝手にいなくなるのは申し訳ないと、ひと言かけ僕は全力で街と逆側に走り出した。

ただ、計算外だった。そう僕はもともと運動神経はやくない。

そんな運動神経がよくない僕が、少し能力で足が早くなったところで運動神経抜群な人間に勝てるわけはないのだ。


「ん?勇者ではないとはどういうことでしょうか?」


2-3m離れ充分離れていたはずのスカイさんはスタートダッシュとともにすぐに僕の横を並走していた。


「あ、あのどうしてそんなに足がお早いのでしょうか?」

「毎朝20キロの全力ダッシュの鍛錬をしているからでしょうかね?ところで私の質問に答えてください。あなたは勇者でないというのならなんなのですか?」


あぁ、どうして僕の異世界ライフはこうもうまくいかないのだ。

だから言ったのだ。


僕は異世界転生なんてしたくないと言ったはずなのだが!!!!!!


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