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148 人の盾

 ――アリアたちが第2中隊に合流した頃。


 突如、ビオリス中将が降伏を宣言したので、レイテルは大騒ぎになっていたが、それも落ち着きつつあった。

 主に、ビオリス中将が直接指揮した第7師団の部隊が反乱軍を討滅していったためである。


 しかも、その混乱に乗じて、アミーラ王国軍がレイテルへ突入したため、反乱軍は一方的に倒されてしまうだけであった。


 そんなワケで、後方に控えていた近衛騎士団の仕事は、討ち漏らした反乱軍を掃討することである。


「うわ! 見渡す限り、死体、死体、死体ですの! ここまで一方的だと、反乱軍に憐れみを覚えますわ!」


「まぁ、まさか、ビオリス中将が開門させるとは思っていなかったのでしょう。しかも、味方だと思っていた部隊に攻撃されては仕方がない気もしますね」


「ともかく良かったですわ! ワタクシ、もうクタクタですの! さっさとお風呂に入って、華麗なワタクシの赤髪を生き返らせたいですわ!」


 サラ、ステラ、エレノアは、レイテルの通りを歩きながら、反乱軍が潜んでいないかを確認している。

 自分たちの指揮する部隊には指示を出しているので、指揮官として、やることがないのが現状であった。


「それにしても良かったですね! プレミールで奮戦していた人たちも、家族に会えているでしょうし! まぁ、まだ反乱軍を全て掃討したワケではないので、油断はできませんが!」


 アリアは笑顔を浮かべ、腕をブンブン振っていた。

 遠くの方では、まだ怒号やら鉄の打ちつけ合う音が響いているが、アリアたちのいる場所は平和そのものである。

 ただ、死体が散乱していることを除いては。


 そんなこんなで、アリアたちがレイテルの通りを歩いていると、何やら騒ぎが起こっているらしい場面に遭遇した。


「おお! お前たち! 良いところに来たな! 特にエレノア! あれをなんとかしてくれ!」


「へ? ワタクシですの?」


 フェイの言葉を聞いたエレノアは、キョトンとした顔で指差された方を見る。

 なんと、そこでは、反乱軍の兵士が民間人を人質にしているようであった。


「おい、お前ら! 俺に近づくな! こいつが、どうなっても良いのか!?」


 などと言って、民間人と思われる女性の首筋に剣を当てている。

 対して、周りにいる近衛騎士は動けないようであった。

 さすがに、いくら実力が上とはいえ、反乱軍兵士だけを狙いうちにして攻撃するのは難しいようである。


「エレノア、状況は分かったか? お前の魔法で人質を傷つけずに、反乱軍兵士だけを無力化しろ! 間違っても、人質になっている民間人に魔法を当てるなよ!」


 状況を打開するため、フェイはエレノアに命令をした。

 対して、エレノアは、


「無理ですわ! いくら魔法と言っても、万能ではありませんの! こんな危険な状況で、魔法を放つのは良くないですわ! もし人質に当たったら大惨事ですの!」


 キッパリとフェイの命令をはねつける。

 魔法では、さすがにエレノアの方が詳しいため、フェイは考えこんでしまう。

 そんな状況で、突如、黒い影が反乱軍兵士の後ろに、音もなく舞い降りる。

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