初心者投資家の失敗談(銀行勧誘編)第4話
初投稿作品です。
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俺の投資したファンドは、市場の下落と共に価値を減少させ続け、
とうとう、俺が注ぎ込んだ金額の半分以下にまで落ち込み、俺の心は完全に凍りついた。
俺は怒りと絶望を胸に銀行へ向かった。
全ての貯金を投じた投資がこのざまだ。
銀行の扉を開け、俺は水野を求めた。
彼は俺の姿を見るなり、何かを察したように静かに俺を応接室へと案内した。
「大和さん、ご心配をおかけしています。」
水野の声は穏やかだったが、その目は真剣そのものだ。
俺の不安と怒りを静めるように、彼は今の市場の状況を丁寧に説明し始めた。
そして、挽回のための新しい投資信託を提案してくれた。
この投資信託は現在の下落相場でもプラスを維持しており、俺のマイナス分を取り戻す可能性があるという。
水野の誠実さに触れ、再び希望の光を見出したように感じた。
俺はその投資信託に乗り換える決断をした。これが俺の財産を取り戻す、最後のチャンスだと信じて。
しかし、新たに選んだ投資信託も徐々に価値を失い始める。
そして、ついに当初投資した金額の1/3の価値まで下がってしまった。
絶望の淵に立たされた俺は、友人の佐藤浩司に相談することにした。
浩司は俺の全財産を投資に回したこと、銀行員の提案をそのまま受け入れたことを厳しく咎めた。
「投資はギャンブルとは違う。一つのファンドに多額の資金を投資するのではなく、分散して長期で利益を生むことが重要だ。
銀行員の言葉を鵜呑みにはしていけない。彼らは銀行の利益を最優先に考えているのだから」と。
その言葉には重みがあった。俺は自分の軽率さを痛感し、投資信託を解約することを決めた。
長い夜を越え、浩司との会話の中で、俺は投資における自分の過ちを深く反省した。
浩司は俺に投資本を勧めたことに対する負い目を感じていたようで、「俺たちの友情に乾杯しよう」と、一杯の酒を奢ってくれた。
その夜は長く、多くの話をした。失った貯金は痛いが、借金を背負ったわけではない。
俺にはまだチャンスがある。再び立ち上がり、仕事に精を出すことを決意した。
「もう、常に市場を気にして日常生活に支障をきたす投資はまっぴらだ。」
投資は人生の一部であって、人生そのものではない。
人生には仕事、友人、趣味と、大切にすべきものが山ほどある。
翌朝、俺は新たな決意を胸に、日常へと戻った。
仕事に向かう足取りは以前よりも軽く、前向きな気持ちでいっぱいだった。
投資による苦い経験はあったものの、それが俺を成長させ、より強い人間にしてくれた。
市場の波に翻弄される日々は終わり、俺は自分の人生を自分で切り開くことの大切さを改めて認識した。
失敗は誰にでもある。だが、その失敗から何を学び取るかが重要だ。
貯金は減ってしまったが、この経験が俺にとって貴重な教訓となった。
今は失った財産を取り戻すために、一からコツコツと努力を重ねる日々。
俺は過去の過ちから学び、より良い未来を築くための一歩を踏み出す。
誰もが一度はつまずきを経験する。重要なのはその後にどのように立ち直るかだ。
失敗を乗り越え、前に進むことでしか、真の成長は得られない。
俺は今、より強く、より賢く、そしてより豊かな人生を目指して、一歩一歩前進している。
俺の人生はまだまだこれからだ!
大和 翔太
年 齢:30代前半
趣 味:筋トレ・ランニング
仕 事:ITエンジニア
投資歴:完全なる初心者
家 族:独身
その他:主人公
大学時代は電気工学を専攻
真面目で勉強家で論理的な思考の持ち主。
優秀が故に一人で突っ走る事もしばしば。
良くも悪くも人間味があり、お金に関する漠然とした
不安を解消するために奮闘する。
佐藤 浩司
年 齢:30代前半
趣 味:各種投資・読書
仕 事:法人向けの営業
投資歴:就職直後から貯金を投資に回しており、かれこれ10年ほど
家 族:妻、息子1人の3人家族
その他:主人公の大学時代の友人
大学時代は経済学を専攻
主人公を投資の世界に引き込んだ張本人