初心者投資家の失敗談(銀行勧誘編)第2話
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その日俺は人生で初めての投資相談のために銀行を訪れた。
俺は緊張しながら銀行の入り口をくぐると、
普段使っているのと変わらない銀行の風景が眼前を覆った。
ロビーは落ち着いた色合いで統一され、どこか冷静さを保つよう促すような雰囲気が漂っていた。
受付に近づき、予約していた投資相談のために来たことを告げた。
少し待つように言われ、ロビーのソファに座る。
周りを見渡せば、ビジネススーツを着た人や主婦の方々が日常を営んでおり、
緊張の面持ちでいる自分だけが異質な存在のように感じられた。
やがて名前を呼ばれ、投資相談のための部屋へと案内された。
部屋に入ると、俺を待っていたのは水野誠一と名乗る銀行員だった。
彼は小柄だが、その立ち姿からは自信と清潔感が感じられ、初対面ながらもなぜか心を許せそうな雰囲気を持っていた。
彼は飛び切りの笑顔で俺を迎え、さっそく投資についての話を始めた。
まず最初に投資の目的について問われた。
俺は未来への不安と資産運用に興味を持った経緯を話した。
すると、水野はさまざまな投資商品を紹介し、その中でも特に利益が見込めるという日本国内の割安株に投資する(ファンド)投資信託について強く勧めてきた。
比較対象として、インデックスファンドと呼ばれる日経平均株価等の市場平均に連動する投資信託もあるそうだが、それに比べると利益率が高く、なんと直近1年間のリターンが50%、2年間預ければ倍になるそうだ。
彼の説明は鮮やかで、直近1年間のリターンが50%という驚異的な数字に、俺は心を奪われた。
この投資信託は運用のプロが投資対象銘柄を選定しており、非常に高い利回りがあるという。
しかも、定期的に分配金という形で利益を還元する仕組みがあり、小遣い感覚で利益を受け取ることができるらしい。
「数字は嘘をつかない」その言葉が俺の頭の中を駆け巡り、心惹かれるものがあった。
確かに、投資にはリスクが伴う。
しかし、これほどの実績を前にしては、そのリスクも受け入れがたい魅力に思えてきた。
水野の説得力ある話し方と確信に満ちた表情、その信頼できそうな人柄が、俺の決断を後押しした。
リスクはあるが、2年間で倍になるのであれば、一気にお金をつぎ込んだ方がリターンも大きくなる。リターンばかりに目を奪われ、結局俺は今まで貯めてきた貯金をすべて、その投資信託につぎ込むことに決めた。
その瞬間、未来への大きな一歩を踏み出した喜びを感じた。
しかし、その時の俺は知らなかった。
この判断が、後に俺をあんな苦境に陥れることになるとは・・・
大和 翔太
年 齢:30代前半
趣 味:筋トレ・ランニング
仕 事:ITエンジニア
投資歴:完全なる初心者
家 族:独身
その他:主人公
大学時代は電気工学を専攻
真面目で勉強家で論理的な思考の持ち主。
優秀が故に一人で突っ走る事もしばしば。
良くも悪くも人間味があり、お金に関する漠然とした不安を解消するために奮闘する。
佐藤 浩司
年 齢:30代前半
趣 味:各種投資・読書
仕 事:法人向けの営業
投資歴:就職直後から貯金を投資に回しており、かれこれ10年ほど
家 族:妻、息子1人の3人家族
その他:主人公の大学時代の友人
大学時代は経済学を専攻
主人公を投資の世界に引き込んだ張本人