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第25話 重秀

感想、評価、ブックマーク登録、いいね!を頂きありがとうございます。


誤字報告ありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します


第24話の題名について、貴重なご意見を頂きました。ありがとうございました。

ご意見のおっしゃるとおりなのでございますが、本文で堀秀政が「本日を持って小姓の役を解く」と言っているので、それに合わせて題名を書いております。なので、題名の変更はございません。

ご理解の程、よろしくお願い致します。


 荷物をまとめた大松は、先輩である万見仙千代や長谷川竹、長島の戦いでお世話になった毛利長秀に挨拶をして回った。皆一様に驚き、そして大松が小姓を辞めることを惜しんでいた。

 世話になった池田勝九郎元助は、この頃には池田恒興の元で領地経営のノウハウを学んでいて、岐阜城にはいなかった。なので挨拶はできなかった。また、たまに岐阜城にやってきては目をかけてくれた蒲生忠三郎賦秀も、この日は日野城に居たので彼にも挨拶はできなかった。

 挨拶が終わり、少ない荷物を持って岐阜城を出るときには、犬千代や梅千代、仕事の手が空いていた仙千代といった他の小姓達に見送られて岐阜城の城門をくぐり出ていった。





「兄貴!」


 城門を出た大松に、大声が聞こえてきた。そちらの方を見ると、そこには二人の若者が立っていた。


「・・・市松?市松か!?夜叉丸もいるのか!?」


「おう!兄貴!元気そうで何よりです!」


「長兄、小姓としてのお勤め、お疲れ様でございました」


 三人が近寄って嬉しそうに手を取り合った。


「いやー、見ないうちにでかくなったな〜」


「兄貴もだよ。もう殿さんの背を超えてるんじゃないのか?」


「市松もそれがしもでかくなりましたが、若も負けてませんよ」


 そんな話をしながら、三人は歩き出した。


「ああ、兄貴。荷物持つよ」


 市松が気を利かせて大松の荷物を持とうとするが、大松が遠慮する。


「え?いいよ、別に。荷物なんて大したこと無いんだから」


「長兄、それは不味いですよ。長兄は羽柴家の御曹司で、俺達は殿様の小姓。君臣の秩序は守らないと」


「そうそう、岐阜のお城では兄貴も小姓だったかも知れないけど、城の外では羽柴のご嫡男様なんだから」


 そう言いながら、市松と夜叉丸は大松から荷物を取ってしまった。


 そんなやり取りをしながら大松らは羽柴屋敷に到着。久々に屋敷の門をくぐると、玄関の前で秀吉と竹中重治が並んで立っていた。


「おお!大松!よう戻ってきたのう!」


「大松殿、城でのお勤めご苦労さまでした」


 秀吉が手を上げて、重治が軽く頭を下げながら大松を迎えた。大松は恐縮しながら言った。


「父上、竹中様、何も玄関先にまで出てこられなくても・・・」


「いや、儂も半兵衛にはそう言ったんだがな・・・。半兵衛がどうしてもと言っていてな」


「大松殿が立派になったと聞きまして。早く見たかったんですよ、大松殿を」


 秀吉が答えている横で、重治がニコニコしながら言うと、大松の側に寄ってきた。


「大松殿、大きくなられましたな。見違えましたぞ」


「有り難きお言葉。竹中様の教え、岐阜城内にて大変役に立ちました」


 大松は重治にそう言うと、深々と頭を下げた。


「さあ、中で御祖母(おばば)様が飯を作って待っておるぞ。早う居間へ参ろうぞ」


 秀吉がそう言うと、皆が玄関へと上がっていった。




 居間で御祖母様が作る晩飯は、麦飯と魚の干物と野菜が入った味噌汁(豆味噌使用)であった。秀吉と大松、重治と市松と夜叉丸、そして御祖母様が囲炉裏を囲んで晩飯を食べていた。


「ところで竹中様は、わざわざ私めに会いに岐阜まで来られたのですか?」


 大松の質問に、重治は笑いながら首を横に振った。


「いえいえ。一つは御屋形様に越前の様子について報告を。もう一つは、屋敷の引っ越しについて妻と相談しに来ました」


「引っ越しですか?」


「ええ、そろそろ本格的に今浜へ居を移そうかと」


 そう言うと重治は味噌汁を口に運んだ。


「半兵衛だけじゃない。弥兵衛(浅野長吉)、孫兵衛(木下家定)、弥七郎(杉原家次)はもちろん、小六(蜂須賀正勝)や将右衛門(前野長康)、伊右衛門(山内一豊)や権兵衛(仙石秀久)も今浜へ引っ越しじゃ。しかも、与力ではなく、儂の家臣としてな」


「えっ・・・!?皆様よく父上にお仕えする気になりましたね」


 大松が驚くのも無理はない。秀吉が言った人たちは元々織田家の家臣だったのを秀吉の与力として信長がつけたものであった。それが秀吉の家臣になるのだ。百姓上がりの秀吉の臣下によく収まったものだと大松は思った。


「いや、実は我等の知行地が近江に移転することになりましてな。その際に御屋形様ではなく藤吉郎殿から頂くことになりました。まあ、知行は増えますので文句はありませんし、元々藤吉郎殿の下で働いておりましたから、家臣になることに抵抗は無いのですよ。ま、そういうことで名実ともに羽柴藤吉郎様の家臣になった、ということです」


 重治がそう言うと、秀吉が言葉を続けた。


「おかげで儂の知行は思ったより減ってしもうたがのう・・・。小一郎が『収入が少なくなる!』と怒っておったわ」


「その割に、一番多く知行を貰ってるのは小一郎殿ですがね」


 重治の言葉に、秀吉と重治は笑い出した。笑うのが終わると、秀吉は何かに気がついたような顔をした。


「おお、そうじゃ。大松には小谷城に入る前に色々言っておかなければならぬことがあるのう」


「なんでしょう?父上」


 大松が首を傾げる。


「まず、孫兵衛だが、杉原ではなく木下の名を継ぐこととなった。今後は木下孫兵衛家定となる。これはまあ、儂が羽柴の名になってしまったことで、木下が無くなることがもったいない、と言うかなんと言うか・・・」


 秀吉はなぜか言葉を濁してしまったが、大松が首を傾げたのを見て話を進めた。


「・・・それと、大松が知らない与力や家臣が出来た。向こうについたら紹介するぞ」


「殿さんの小姓も増えたんだ。色々面白いのがいるぞ。一名ムカつく奴がいるけど」


「長兄にも早く会わせたいものです。一名会わせたくはありませんが」


 秀吉に続いて市松と夜叉丸が大松に言った。大松はその一名が気になったが、秀吉が次に言ったことが衝撃的であり、すぐに気にしなくなった。


「それと、()()と副田甚兵衛が祝言を上げた。甚兵衛は我が一門よ」


「ええっ!?甚兵衛殿が叔母上を娶ったんですか?あの、辛気臭くて側にいるだけで呪い殺してきそうなあの叔母上を!?甚兵衛殿はまともな人だと思ったのに・・・」


 何気に酷いことを言う大松。


「自分の叔母をそういう風に言うもんじゃないぞ。まあ、長く側にいたんじゃ。情が湧くのも仕方なかろうて。それに、羽柴の一門が増えることは良いことじゃ」


 秀吉が苦笑しながらそう言うと、今度は御祖母様に顔を向けた。


「と、言うわけじゃ。おっ母、()()の祝言を見に、今浜に来てもらえんかのう。城にはおっ母の部屋も作っとるし、畑も作ったぞ。一緒に暮らそうぞ」


「えっ!?御祖母様と暮らせるのですか!?」


 大松が驚いて御祖母様に顔を向ける。しかし、御祖母様は首を横に振った。


「んにゃあ、儂はいかん。中村に残した田畑が心配だで」


「そう言わずによ、おっ母。せっかく城持ち大名になったんじゃ。散々迷惑をかけたおっ母に、楽をさせてやりたいんじゃ」


「御祖母様、御祖母様が中村に残れば我らは心配でございまする。また、羽柴は他国に敵がおりますれば、その敵が御祖母様のお命を狙うやも知れませぬ。そうなれば、父上や叔父上、おば上達が悲しみまする」


「おお、大松の言うとおりじゃ。この通りじゃ!おっ母が近くにいないと皆が心配する!儂も、これ以上親不孝なことはしとう無いんじゃ!この通りじゃ!頼む!」


 その後、秀吉の土下座と大松の説得が続いた。そしてついに御祖母様は今浜行きを同意した。


「分かったよ。そこまで言うなら今浜に移ろうかねぇ」


「おっ母!感謝する!中村の田畑については儂に任せろ!」


 そう言うと秀吉は笑って胸を叩いた。






 次の日、岐阜城に上がった秀吉と大松は書院にて織田信長、信忠親子に拝謁した。上座に信長、信忠が並んで座っており、側にはお馴染みの堀秀政が座っていた。


「この度はそれがしの願いをお聞きいただき真に恐悦至極。より一層、御屋形様への忠勤を励みたく存じまする」


 下座に座っていた秀吉が頭を下げ、斜め後ろに座っていた大松もつられるように頭を下げた。


「・・・儂としては大松を手放しとうなかったのだがな」


 あからさまに不満気な声で言う信忠。そんな信忠に信長が嗜めるように言った。


「勘九郎。先も言ったでおろう。猿めは人手が足りぬ。大松も持っていかなければ羽柴が落ち着かぬと」


「父上・・・」


 すがるような目をする信忠を無視して、信長は秀吉に言った。


「とは言え、大松は小姓としては中々の働きぶりであった。その小姓を引き抜いたのだ。猿、北近江と越前、手抜かりあれば・・・、分かっておろうのう」


 低い声を作りながらそういう信長に、秀吉は「ははぁ!万事お任せあれ」と自信たっぷりに言いながら頭を下げた。


「大松よ」


 信忠が大松に声を掛けると、大松は平伏しながら「はっ」と答えた。


「此度は筑前がどうしても、ということで父上に従うが・・・。いづれ、そちを呼び戻す。それまで筑前のもとで大いに励むと良い」


 信忠の言葉に大松は「ははぁ!」と声を上げた。秀吉が真面目な顔つきで信忠に言う。


「若殿様、大松めを近江にて鍛え上げてご覧に入れまする。必ずや、若殿様のお役に立てるように致しまする故、しばしのご辛抱を」


 秀吉の言葉に信忠は頷くと、再び大松に声を掛けた。


「大松よ。今までの忠勤の褒美と餞別をやろうと思う。過日の李牧の問題、覚えておるな?」


「はい」


 信忠の質問に大松がはっきりと答える。信忠がさらに話しかける。


「あの時は『重』の字を与えたが、『忠』の字を改めて与えようと思う。どうじゃ」


 信忠がそう質問した時、秀吉が複雑そうな声で言った。


「若殿様、一字を頂けるのは恐悦至極に存じまするが、『重』の字を頂いている、というのは・・・?」


「ああ、儂が信重だった時に『重』の字を与えておったのよ。のう、大松?」


 信忠がそう言うと、秀吉は大松の方を見た。大松は何かを思い出したかのように答えた。


「は、はい。すでに一字書出(偏諱授与を証した書面のこと)も頂いておりまする・・・」


「お、大松!?儂は聞いておらんぞ!?それいつ貰った!?」


 一字書出しのことを聞いていなかった秀吉が思わず大松の両肩に掴みかかって聞いてきた。大松が答えようとしたが、実際に答えたのは信忠であった。


「今年の一月だったな。ちょうど信重から信忠への移行時期だったから覚えているぞ」


 そう答える信忠に、一旦は視線を向けた秀吉だったが、大松に視線を戻すと、大松の頭に拳骨を食らわせた。


「この阿呆!そんな大事なことをなぜ報せぬ!いくら忙しくて文を出せなかったとは言え、その様な重大事を何故報せなかった!?このたわけ!」」


「筑前殿!御屋形様と若殿様の御前ですぞ!控えられよ!」


 秀吉の暴挙に対し、秀政が片膝を立てながら大声を上げた。秀政の大声で冷静になった秀吉が、姿勢を正して信長と信忠に頭を下げた。大松もまた、秀吉にならって頭を下げた。

 微妙な空気が流れる中、おもむろに信長が口を開いた。


「勘九郎、『重』の字を与えたこと、並びに一字書出を出したこと、相違ないな?」


 低い声を出して信忠に聞く信長。その声が威厳のある声だったため、信忠が息を呑みながら「はい」と答えた。


「・・・ならば、大松への偏諱は『重』のみとし、『忠』は認めぬ」


 信長がそう言うと、秀吉は息を呑み、信忠は「な、何故です、父上・・・」と狼狽しながら聞いた。信長が再び口を開いた。


「・・・(うぬ)は偏諱授与の重みを知らん。己の諱の一字を与えるは、親子の関係になるに等しいものぞ。それを無闇にやる阿呆がいるか。汝の諱の重さ、ひいてはお主の当主としての重みが無くなるわ」


「それは、父上・・・」


 信忠が言い募ろうとするが、信長は目でそれを抑え込んだ。再び口を閉ざした信忠に信長が言う。


「そもそも信重から信忠への移行時期にむやみに偏諱授与をしたことが悪い。信忠の名がしっかり根付くまで待つべきであった。それに、偏諱授与を同じ者に二回も行うなど、聞いたこともないわ。『重』の字は既に一字書出をしている以上、取り消しては織田の面子に関わる故、許す。しかし『忠』の字は許さぬ。良いな」


 信長の言っている事に納得したのか、信忠は俯きながら「分かりました・・・」と返事をした。その後、信長は今度は秀吉に顔を向けると言い放った。


「猿、大松の諱に『重』の字を必ずつけさせよ。これは勘九郎に対する戒めよ。良いな」


 ―――若殿のお戒めのために、儂の大松を使うなよな・・・―――


 秀吉はそんな事を思いながらも、顔には一切出さずに「ははぁ」と返事をして平伏した。そして、秀吉が今度は信忠に顔を向けた。


「・・・恐れながら若殿様」


 俯いている信忠に秀吉が声を掛けた。信忠が顔を上げる。


「此度は大松に偏諱授与して頂き、まことに有難き幸せ。大松が既に頂いた『重』の字は有り難く頂戴いたしまする。そして若殿様。実はそれがしには石松丸という倅がもう一人おりますれば、もし、羽柴が勲功挙げましたる時は、その石松に偏諱拝領をお願いしとうございまする。その時は、是非『忠』の字を頂きとう存じまする」


 秀吉がそう言うと、信忠は「分かった」と頷いた。


「ほれ、お主からも御礼申し上げよ」


 秀吉がそう言うと、大松の背中を叩いた。大松は平伏しながら言った。


「若殿様。若殿様から頂いた『重』の字はこの大松にとって何物にも代えがたい喜びでございます。また、その後も目を掛けて頂き、若殿様への御恩は山よりも高く、海よりも深きものにございます。必ずや、若殿様への忠節を果たし、お役に立てますよう父上のもとで研鑽を重ねて参りまする。それまで、しばしのお暇をお許しくださいませ」


 そう言って深く頭を下げる大松に、信忠は「うむ、しかと励めよ」と、温かい声で励ましたのだった。






「それでは大松殿の名前は『重秀』にされるのですね?」


 自分の屋敷で妻と引っ越しの話し合いをした後、羽柴屋敷を訪れた重治は、居間の囲炉裏で暖を取りながら秀吉から城での話を聞いていた。側には大松や市松、夜叉丸が座っていた。


「うむ。若殿の『重』の字と儂の『秀』の字を組み合わせてな。本当は、大松には『秀勝』と名付けたかったんじゃが、若殿から偏諱を賜ったのじゃ。仕方ないのう」


 まったく残念と思ってないような表情をしながら言う秀吉。そんな秀吉が、何かに気がついたような顔をしながら、大松に声を掛けた。


「そう言えば、大松よ。もし、『忠』を貰ったら如何していた?」


 そう言われた大松は、少し悩んでから口を開いた。


「・・・実は、前々より元服した際に名前は、師である竹中様から一字を頂きたいと思っておりました。なので、『忠』の字を断り、『重』の字を望んだと思います」


 大松の発言に、重治は声には出さなかったが驚いた。一方、秀吉は「ふむ」と言うと、顎を右手でさすりながら考えた。そして重治の方を見ると口を開いた。


「半兵衛、すまぬが、大松の烏帽子親をやってくれぬか?」


 烏帽子親とは、元服の際に烏帽子をかぶせる儀式があるのだが、その烏帽子を乗せる役の人のことである。


「それがしが?よろしいのですか?」


 重治が聞くと秀吉が頷いた。


「本当は又左にやってもらおうかと思ったが、あいつの犬千代も来年に元服させると報せがあってのう。こちらには顔を出せぬらしい。小一郎とも考えたんだが、大松の話を聞いて考えを変えたわ」


 烏帽子親になるのは主君だったり一族の長老だったり信用できる高年齢の重臣である。これは、烏帽子親が後見役になる、という意思表示でもあった。つまり、秀吉は重治を大松の後見役としたのだ。


「承知しました。烏帽子親、確かに承りました」


 重治が頭を下げると、秀吉は隣りに座っていた大松の背中と叩きながら大松に言った。


「良かったのう!大松!ほれ、半兵衛に礼を言わんか!」


「はい!竹中様、受けて頂き有り難き幸せにございます!」


 大松が頭を下げると、重治は照れたように頬を人差し指で掻いた。


「ああ、そうじゃ。一つ言うのを忘れておった」


 秀吉が何かを思い出したかのように膝を打つと、皆に話し始めた。


「来年、今浜の名前が変わるぞ。御屋形様の『長』の字を拝領した。来年からは『長浜』じゃ」


 すでに知っている大松を除いて、その場にいた全ての者が「おお!」と感嘆の声を上げた。


「つまり、御屋形様は今浜・・・、ではなく長浜の城を重視しているということですな」


「うむ、これでより一層、羽柴が重用されるというものよ」


 重治の言葉に秀吉が上機嫌に答えた。しかし、すぐに顔を引き締めると、大松を含めた皆に真面目な話をした。


「しかし、逆に言えば御屋形様は我らにそれ相応の働きをしろ、と言っているようなものじゃ。これからは上がるも下がるも皆の働き次第じゃ。皆の者、ゆめゆめ怠るなよ」


 秀吉がそう言うと、皆が「ははぁ」と言って平伏した。





 豊臣秀重の『重』は、烏帽子親の竹中半兵衛重治の一字を拝領したと長年言われ続けていた。これは、後世の軍記物語では一貫して『秀重』と書かれていたことから、誤解が広く知れ渡ってしまったようである。

 しかし、当時の書簡や長浜時代の長浜城代としての書状の署名から、当初は『重秀』と名乗っていたことが分かると、『秀』より先に『重』の字が来ることと、羽柴秀吉と竹中重治の関係を考えた場合に説明がつかなくなってしまった。そこで、現代では『重』の時は織田信重(織田信忠)から一字拝領が行われた、と考えられている。


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― 新着の感想 ―
[一言] 名前で後世を混乱させとるwww
[良い点] 一名会わせたくないやつ…なに吉くんなんだ?
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