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第218話 天正九年の正月

感想、評価、ブックマーク登録、いいね!を頂きありがとうございます。大変励みとなっています。


誤字脱字報告及び西暦のご指摘ありがとうございました。お手数をおかけしました。


ちょっとだけ余裕ができたため、今週は2回更新できそうです。

 天正九年(1581年)一月二日。兵庫城天主にある広間には、重秀の家臣、与力が集結していた。重秀に新年の挨拶のために集まったのである。


「殿の、おな〜り〜っ」


 小姓の木下大蔵(のちの木下勝俊)の声が広間に流れると、下段の間に座っていた者達が一斉に平伏した。と同時に、上段の間に重秀とゆかりが入ってきた。

 重秀と縁が上段の間に座り、太刀持ちの大蔵がその背後に座ると、重秀に一番近いところに座っていた山内一豊が大声を上げる。


「若殿様、御方様。新年明けましておめでとうございまする!」


 一豊が新年の挨拶を述べると、広間中に「おめでとうございまする!」と言う声が鳴り響いた。

 その声に負けじと重秀も応える。


「皆の者、おめでとう!昨年は皆のお陰で八部郡と有馬郡は平穏な一年であった!今年も、我が領民にとって安寧な一年となるよう、皆の働きに期待する!」


 重秀の凛とした声に、皆が一斉に「ははぁ!」と言って頭を深く下げた。


「・・・なぁ、虎。去年って、平穏な一年だったか?」


「・・・こういうのは定型文、っていうのがあるんだよ、市」


 福島正則と加藤清正が小声で囁きあっていたが、当然重秀には聞こえていなかった。重秀の言葉が続く。


「さて、実は年末に父上より書状が来た。その内容を話そうと思う。八郎!松寿!前へ!」


 重秀がそう言うと、呼ばれた宇喜多八郎(のちの宇喜多秀家)と黒田松寿丸(のちの黒田長政)が困惑しながらも「は、ははっ!」と返事した後、立ち上がって重秀の前まで歩いてきた。

 八郎と松寿丸が座って平伏すると、重秀が口を開く。


「・・・父上からの書状によれば、二人は早急に石山城と姫路城に戻れとのことだ」


 重秀からそう言われた二人は思わず「ええっ!?」と顔を上げて叫んだ。


「・・・何か我等が羽柴にとって粗相を致しましたでしょうか?」


 松寿丸が恐る恐る尋ねると、重秀が苦笑しながら首を横に振る。


「いや、そういう訳ではない。松寿は今年で元服だ。父上が烏帽子親となるゆえ、姫路に戻れとのことだ」


 重秀がそう言うと、皆から「おおっ!」と言う声が上がった。重秀の話は続く。


「八郎は元々羽柴への人質。しかし、宇喜多和泉守(宇喜多直家のこと)の忠節が上様を始め織田家中に広まった。もう人質を預かる必要がない故、石山城に戻すと書状に書いてあった」


 重秀は知らなかったが、実はこの時宇喜多直家は重い病に罹っていた。秀吉の計らいで、宇喜多の跡取りである八郎を備前石山城に移し、万が一に備えようとしていたのだった。


「父上からの書状では、二人は早めに戻すよう書かれていた。新年早々申し訳ないが、それぞれ出立の準備を行い、準備でき次第出立するように」


 重秀がそう言うと、八郎と松寿丸は「承知いたしました」と言って平伏した。その直後、下段の間から声が上がる。


「恐れながら兄貴・・・、いや若殿に申し上げる。二人いなくなったら、若殿の小姓が足りないと思うが・・・」


 福島正則がそう言うと、重秀でなく前野長康が答える。


「その件なのだが、それがしの嫡男、小次郎(前野景定のこと)が今年より若殿の小姓となる」


「小次郎が?もうそんな歳なのか・・・」


 正則が感慨深そうに言うと、重秀が笑いながら言う。


「何を年寄り臭いこと言ってんだよ。まあそれはともかく、今宵の新年の宴は松寿と八郎の送別の宴も兼ねて大規模に行うから、酒と肴は期待していてくれ」


 重秀がそう言うと、正則は「ぃよっしゃぁ!」と拳を突き上げた。その様子を見ていた重秀達は一斉に笑うのであった。





 天正九年(1581年)一月十日。安土に来た重秀は、羽柴屋敷に着くとすぐに向かいの前田屋敷を訪問した。そこには、前田利勝が待っていた。


「おお、藤十。久しぶりだな」


孫四まごよも元気そうで何よりだ」


 そう挨拶を交わした利勝と重秀。二人は客間に入ると対面になって座った。そして話に花を咲かせた。


藤吉とうきちおじさんは今年も安土に来ていないんだな?」


 利勝の言葉に重秀が応える。


「来てないというか、上様から来るなと言われているんだよ。鳥取城を落とすまでは。それに、前田の父上も安土に来てないよね?」


「父上は今は能登国だよ。孝恩寺殿(のちの長連龍)が能登国で大暴れしてさ。父上と菅谷様(菅屋長頼のこと)が急遽能登国に入って能登を鎮撫していたら、雪で能登国から出られなくなったのさ」


 天正八年(1580年)七月。偵察と諜報によって加賀に教如がいないことを確認した柴田勝家は越前にいる織田軍の総力を上げて加賀へ侵攻した。

 越前にいた織田軍は長年佐久間信盛によって抑えられていた感情と、信盛によって蓄えられていた武器兵糧を大量に吐き出しながら加賀を北上、一月ひとつきで加賀一向一揆勢の本拠地である尾山御坊を陥落させた。

 この織田軍の加賀侵攻に合わせるかのように、天正五年(1577年)に七尾城にて一族を皆殺しされた孝恩寺宗顒(のちの長連龍)が潜伏先の能登国で蜂起。散り散りになった旧家臣を集めて穴水城を奪取。その後同じ織田派であった神保氏張等と共に仇である遊佐続光などと戦い、ついには遊佐続光とその一族の首を討ち取ることに成功したのであった。

 その後、同じ仇である温井景隆が織田に降伏したのにも関わらず殺そうとしたため、利家と長頼が軍を率いて能登に入ると、仲裁に入ることとなった。

 そして仲裁が終わった時には、能登は雪によって閉ざされてしまったのだった。


「しかし、その功績によって前田の父上には能登国が加増されるというもっぱらの噂。しかも越前府中城と旧領三万三千石は孫四まごよが継ぐって聞いたけど?」


「・・・耳が早いじゃないか。まだ正式に決まってないんだけど?」


「去年の十二月に上様が兵庫にいらしただろ?その時に上様について来ていた奉行衆の堀様(堀秀政のこと)が教えてくれたんだ」


 重秀の言葉に、利勝は思いっきり渋い顔をした。


「・・・こう言っては何だが、堀様は羽柴に対して甘くないか?柴田様や前田の取次をしてくれる菅谷様(菅屋長頼のこと)は安土のことなんて全く喋ってくれないぞ?」


「ほら、堀様は上様に引き抜かれる前は父上に仕えていたから」


 そう言って苦笑する重秀。そんな重秀に利勝が溜息をつきながら話す。


「・・・まあ、父の旧領を継げるのは有り難いほどの栄誉だけど、此度の加賀平定では名のある武将の首級を獲ることができなかった。一応、兜首は十近く取ったが、周りはもっと取っている者が多いからな。そういった者達がいる中で、城持ち大名になれるとは正直思わなかった。真に城持ち大名になってよいのだろうか?と思ってな」


「・・・今回、前田家は国替えではなく加増として能登国を与えられたんだ。旧領は誰かに治めさせる必要がある。前田の嫡男たる孫四が治めるのが一番しっくり来ると思うんだけど」


「それ言ったら長浜城と北近江十三万石は藤十が治めるんじゃないのか?」


「近江は上様の一門か奉行衆の領地とするみたいだからなぁ・・・」


「・・・羽柴は一応織田の一門だろう?」


 利勝がそう言うと、重秀は「まあ、そうなんだけどさぁ・・・」と後頭部を右手で掻きながら答えた。直後、重秀の口角が上がる。


「・・・そう言えば、孫四も織田の一門になるって聞いたけど?」


 重秀の予想外な発言に、利勝が急に慌て出した。


「なっ・・・!?なんで俺と上様の永姫様(信長の四女)との婚を知っている!?それも堀様か!?」


「知っているも何も、御方様(お濃の方のこと)から通達があったぞ。どうも御方様は姫君の嫁ぎ先に報せているみたいだ。義兄あに上(蒲生賦秀のこと)も知っていたみたいだし」


 重秀の言葉に利勝が「ええっ・・・?」と困惑気味に言った。そんな利勝に、重秀が同情の視線を送りながら話を続ける。


「まあ、織田の姫君を貰うというのはそういうことだから、諦めろ」


 諦観の表情を浮かべた重秀に、利勝は頭を抱えた。そして重秀に話し始める。


「・・・実は父上と柴田様(柴田勝家のこと)との間では、俺と大姫様・・・お茶々様との婚姻についての話し合いが持たれていたんだ。実際、北ノ庄城でお茶々様と顔を合わせたんだけどな・・・。

 上様からの話が伝えられた途端、前田と柴田では大混乱だったよ。加賀で一向一揆勢の奇襲を食らったときですら、混乱しなかったのに」


 そう言うと利勝は重秀の顔を見ながら尋ねる。


「なあ、上様は何で今更俺に永姫様を娶せようとしているんだ?」


「・・・何で俺に聞くんだよ」


 重秀が口を尖らせながらそう言うと、利勝が答える。


「そりゃあ、『竹中半兵衛の一番弟子』だからだな」


「・・・何だそれ」


 しかめっ面でそう言う重秀に、利勝がニヤニヤしながら答える。


「藤吉おじさんから父上への文にそう書いてあったぞ」


 利勝の言葉に、重秀が「全く・・・」と言いながら右手で顔を覆う。


「・・・父上の大言壮語は止めて欲しいんだよな・・・。なんか俺の評価が過大になってるんだけど」


「とはいえ、竹中殿からは学んでいたんだろう?間違ってはいないじゃないか」


「全てを学んでいるわけじゃない。もっともっと傍で学びたかった・・・」


 そう言って悲しそうな顔をする重秀。そんな重秀の顔を見た利勝も、バツの悪そうな顔つきになった。


「・・・悪い。別にからかったわけじゃないんだ」


「分かってる」


 そう言って軽く頷く重秀。重秀は話を変えるべく、自分の考えを話し始める。


「・・・上様は俺と孫四に織田の姫を降嫁させると伝えていた。羽柴には上総介様(織田信包のこと)の大姫が上様の養女として嫁いできた。あれからだいぶ経っているからな。上様も気になされていたのだろう」


「・・・お茶々様はあのお市の方様のお子様。つまり、上様の姪。血筋的にも地位的にも織田の姫だろう?」


 利勝がそう言うと、重秀は「それは違う」と首を横に振る。


「妹の娘と実の娘では格が違う。実の娘を嫁がせるというのは、それだけ上様は前田を重視しているということだろうな」


「そんなに違うのか?」


「例えば、俺の妻は上総介様の大姫だけど、実は上様の三の姫君が来る予定だったらしい。ところが三の姫君は筒井家に嫁いでしまった。父上の話では、筒井家を織田陣営に確実に組み入れるためだったそうだ。父上が愚痴をこぼしていたよ。『実の娘をこっちに回して欲しかった』ってな。それだけ上様に近い血筋になるからな」


 重秀がそう言うと、利勝が複雑そうな表情を顔に浮かべた。重秀が話を続ける。


「上様の姫君というのはそれだけ重みがあるんだ。まあ、ゆかりは上様の男系の姪だし、ちゃんと上様の養女となった後に羽柴に嫁いできたから、羽柴は曲がりなりにも織田の一門衆となれたけど、もし孫四が柴田の大姫・・・、お茶々様をそのまま娶っていたら、血筋は上様の姪でも、織田の一門衆にはなれなかったんだぞ。それでは前田に対して上様は約束を破ったことになるんだ」


 重秀の解説に、利勝が「なるほどねぇ・・・」と頷いた。と、今度は重秀が首を傾げ始める。


「ただ・・・。お茶々様なら十分上様の養女となれるはず。もし前田に嫁がせるのであれば、養女にしてから嫁がせてもおかしくないんだよな・・・」


「それだよ。父上も疑問に思ってた。『上様の姫君が嫁いでくるのは有り難いほどの栄誉であるが、親父殿(柴田勝家のこと)の大姫を養女にして前田に嫁がせた方が、織田と柴田と前田の結びつきが強くなるのに』と言っていたな」


「上様も妹君であらせられるお市の方の娘を養女にするのに抵抗はないはずだが・・・」


 まさかお市の方とお濃の方との間で駆け引きがあった、なんてことを知らない重秀である。重秀は信長が茶々を養女にしない理由を別に求めた。


 ―――ひょっとして、上様はお茶々様の父親の血筋を問題視したのか?裏切り者の浅井の血を、織田の養女として忠臣たる前田に入れることを躊躇ためらわれたのであろうか・・・?―――


 そんな事を考えていた重秀に、利勝が声をかける。


「・・・どうした、藤十。そんな険しい顔をして」


「・・・いや、色々考えたんだが、よく分からないんだ」


 そう言って相好を崩した重秀。下手に浅井のことを話して利勝に混乱を与えるのはよくない、と考えた重秀は、あえて自分の考えを表にしなかった。

 そんな重秀に利勝が溜息をつく。


「・・・まあ、上様の姫君を貰うのはほぼ確定らしい。ただ、見たことも聞いたこともない姫と婚を結ぶってのはなぁ・・・」


「武家の婚姻てそういうものだ、って言ったのは孫四だたろ?。諦めろ」


 重秀がそう言った時だった。重秀の頭にはらりと何かが舞い降りた。重秀の口角が上がる。


「そう言えば、孫四はお茶々様と顔を合わせたと言っていたな?さては惚れたな?だったら側室もありだぞ。正室は上様の姫君。お茶々様は柴田の姫君。どう考えてもお茶々様の方が格下。側室に迎え入れることも可能だぞ?」


 重秀がニヤニヤしながらそう尋ねたが、利勝は首を横に振った。


「いや、実はここだけの話、お茶々様は勘弁して欲しかった。確かにお会いした時に、美しいお方だと思ったさ。しかし、なんか俺のことを見下してたからなぁ」


 遠くの方を見るような目でそう言う利勝に、重秀が首を傾げる。


「そうなのか?確かに長浜城でお会いしたときは背の高いお方だと思ったが・・・。それに、孫四は俺よりも背が高いじゃないか。いくらお茶々様とは言え、孫四の背より高いことはないだろう?見下されることはないんじゃないか?」


 利勝は父である利家よりは背が低いものの、重秀よりは高身長であった。十二歳で重秀よりやや身長の低い茶々に利勝が見下されるとは、重秀は思わなかった。

 そんな重秀に利勝が「そういう意味じゃない」と苦笑した。


「お茶々様は俺を格下だと思っている・・・。いや、本人は意識していないのかもしれないが、俺を見る目がそう見えるんだ」


 利勝がそう言うと、溜息をついて項垂れる。


「・・・ひょっとしたら、上様の娘も俺のことを見下すかもしれないなぁ」


「・・・そうとは限らないと思うぞ。縁はそんな事なかったし、きっとお濃の方様が孫四の妻にふさわしいお方に育ててくださっているって。それに、前田の母上がいらっしゃるではないか。前田の嫡男にそんな不遜な態度取ってみろ。前田の母上のお説教が待っているぞ」


 重秀の言葉に、利勝が思わず笑う。


「そうだな。母上は例え目上の者であっても筋を通すからな。俺も藤十もよく怒られたな」


「『そのような振る舞いは武士の振る舞いとは言えませぬ!大松は木下家の嫡男なのですよ!その名を辱めるような振る舞いをしてはいけませぬ!』・・・今でも怒った前田の母上が夢に出てくるよ」


「夢ならまだいいじゃないか。俺には未だに言ってくるんだぜ?今年で二十歳にもなるっていうのによ」


「そんな前田の母上ならば、お茶々様だろうと上様の四の姫君だろうと、お説教を躊躇わないだろうな」


「違いない。もう母上は府中城の主となっているからな」


 前田利家の正室であるまつは、この頃には前田家の奥向きだけでなく、利家や利勝が留守にしている越前府中城やその知行をもしっかりとまとめ上げていた。小さな豪族の娘だったまつも、今ではちゃんとした大名の正室であった。

 そしてこの頃には摩阿、豪、与免、又若丸(のちの前田利政)、千世を育てている母親でもあった。


「多くの妹や弟を育てているからな。箱入り娘の姫君なんぞに勝てる相手ではないな、我が母上は」


 利勝の言葉に、重秀は思わず笑ったのだった。





 次の日、重秀は安土城内にある織田信忠の屋敷にて、信忠に新年の挨拶を行った。形式通りの挨拶をし、三献の儀を行った後は軽く雑談をした。


「ときに藤十郎。一月十五日の左義長(小正月に行われる火祭り)には行くのか?」


「はい、殿様。見物して参る所存にございます」


「そうか。此度の左義長では馬揃えも行うことになっている。そして、その馬揃えを見に先関白殿下(近衛前久のこと)と内府様(近衛信基のこと)が安土へ来られるそうだ。藤十郎は知っているか?」


「伺っております」


 重秀が兵庫城でそんな話があったな、と思いつつ返事をした。信忠が重秀に言う。


「父上は先月の兵庫での鷹狩といい此度の馬揃えといい、どうも先関白殿下と内府様をお気になされておられる。朝廷の実力者とはいえ、やりすぎなのではないか?と思うのだが、藤十郎はどう思う?」


 そう言われても上様の考えなんて分かるわけないじゃん、と重秀は思った。しかし、目の前の若き主君の瞳からは何かを期待するかのような光が灯っていた。それを見た重秀が考え込むと、自分の思い付いたことを話し始める。


「・・・先関白殿下は諸大名に顔が利きまする。遠国の大名との取次を先関白殿下を通して行えば、上様の交渉は朝廷が後ろ盾になっているが如くに見えまする。それを狙っているのではないのでしょうか?

 特に、長宗我部への斡旋を先関白殿下にお頼み申し上げておりました故」


 重秀が十二月に行われた鷹狩後の酒宴で信長が言ったことを思い出しながらそう言った。

 信忠がそれを聞いて頷く。


「なるほど。これから先、ますます朝廷の権威を利用しなければならなくなるというわけか・・・」


 信忠がそう言って両腕を組んで考え込んだ。しばらく何も話さずに考え込んだ信忠を、重秀はじっと待っていた。しかし、信忠の側近である斎藤利治に「今日はもう下がって良い」と言われたため、重秀は座を辞して信忠の屋敷から出たのであった。


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