第164話 三木城にて(前編)
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天正七年(1579年)十一月中旬。秀吉達は重治の葬儀を終わらせ、次の戦いへ向けて涙を拭いて歩みだそうとしていた。
三木城の本丸御殿の広間では、秀吉を中心に小一郎や重秀、蜂須賀正勝等羽柴の諸将が集まって軍議を始めようとしていた。
そんな中、小一郎が秀吉に話しかける。
「・・・兄者。本当に半兵衛殿の墓はここで良かったのか?故郷の美濃菩堤山城でなくて良かったのか?」
「・・・お主も遺書を読んだであろう?三木城が見える場所に埋めて欲しいと。それ故、この地に埋葬したのじゃ。まあ、落ち着いたら故郷に還すのも悪くはないと思うが、今は半兵衛の想いを叶えてやりたいのじゃ・・・」
そう言うと、秀吉は溜息をついた。もう涙を流すことはなくなったが、それでもやつれている秀吉の姿を見れば、重治を失った悲しみを今だに抱いていることは明らかであった。
小一郎は視線を秀吉から重秀に移した。こちらはいつもどおりの表情で座っていた。しかし、それがかえって小一郎には心配であった。
「・・・藤十郎。体調はもう良いのか?もう少し休んでいても良いのだぞ?」
「さすがに何日も寝込んでいては父上や叔父上、皆様にご迷惑が掛かるというもの。私はもう大事無い故、案じられますな」
重治が亡くなった直後は気丈に振る舞っていた重秀であったが、葬式の途中で高熱を出して倒れた時には周囲が騒然となった。
すぐに医者が呼ばれ、診察を受けた結果、重秀は悲しみのあまり体調を崩したものと判断された。という訳で、数日は寝込む羽目になったのだった。
「まったく。食事も取らずに寝込むもんじゃから、儂ゃ藤十郎も失うのではないかと気が気でなかったぞ」
秀吉が言う通り、重秀が眠り込んでいる間は秀吉は落ち着きがなかった。重治に続いて重秀も失うのではないかと恐れたからだ。小一郎が落ち着かせなければ、秀吉は狂乱状態となっていたかも知れなかった。
「ま、今は元気になってくれたのはありがたい。藤十郎、半兵衛を失った悲しみの中にいると思うが、それは皆も同じ気持ちじゃ。お主だけが悲しい訳では無い」
実際、重治の葬儀中は蜂須賀正勝が大泣きし、浅野長吉や仙石秀久も大粒の涙を零しながら弔っていたのだ。いや、羽柴の将兵全てが悲しみの底に沈み、それはまるで戦に勝った軍勢とは思えぬ有様であった。
秀吉は重秀だけでなく、軍議に参加した皆に聞こえるかのように声を上げる。
「・・・皆の者、半兵衛を失った悲しみを抱くんは昨日までじゃ!今日からは役目を果さんとのう!儂等には播磨の平定という大仕事があるんじゃ!ほれ!もっとシャキっとせんか!」
秀吉が明るい声でそう言うと、小一郎も「そうだな」と声を上げた。
「半兵衛殿が我等が気落ちしているのを見れば、草葉の陰で嘆かれるかも知れぬ。ここは播磨を平定し、その勝利を半兵衛殿の墓前に報せよう!」
小一郎の言葉に、重秀等諸将が「応っ!」と声を上げた。そんな時だった。石田三成が広間に入ってきた。
「申し上げます。兵庫の兄上より、殿に文が届いております」
「兵庫の弥三郎(石田正澄のこと)からだって?しかも父上に?」
三成の言葉に反応した重秀は、首を傾げた。小一郎も首を傾げる。
「・・・兵庫城、いや、兵庫のことは藤十郎に任せてある。兵庫の事を報せるならば、兄者ではなく藤十郎に報せるべきであろう・・・?」
そんな小一郎の呟きを聞きながら、秀吉は三成から受け取った手紙を広げた。読み進める秀吉の表情が、みるみるうちに驚きの表情となった。
「・・・兄者?どうした?」
そう尋ねた小一郎を無視し、秀吉は両目をまん丸く開きながら視線を重秀に向けた。重秀が疑問を感じている表情を顔に浮かべている中、秀吉は重秀に聞く。
「藤十郎よ・・・。一つ聞きたい。『須磨殿』って、誰だ?」
「『須磨殿』・・・?」
急に尋ねられた重秀は首を傾げたが、阿閇城にいた時の事を思い出した。その事を秀吉に話す。
「ああ、縁のことです。先日、乳母の夏から文を貰った際に書かれていました。何でも、『兵庫殿』と呼ばれるのが嫌らしく、侍女や弥三郎に『須磨殿』と呼ぶように命じたとか。まあ、近くに須磨もありますし、あそこは源氏の物語の場所ですから」
重秀の話を聞いた秀吉は、しばらく固まっていたものの、次の瞬間、秀吉が奇声を上げて手紙を放り出し、重秀に突進して抱きついた。
「藤十郎っ!お主、お主という奴はっ!」
そう叫びながら、重秀の背中を思いっきり叩き続ける秀吉に、正勝等諸将は驚いた。長吉が秀吉を羽交い締めにして重秀から引き剥がす。
「義兄貴っ、落ち着け、落ち着けって!何があったんだ!?」
「離せ弥兵衛!このド阿呆を、儂は褒めねばならん!」
泣き笑いながらそう言う秀吉の言葉に、長吉は「はあぁ!?」と声を上げた。そんな長吉や、秀吉に突進されて混乱中の重秀、そして唖然としている羽柴の諸将に向けて、秀吉が放り投げた手紙を持った小一郎が大声を上げる。
「・・・羽柴筑前守様のご嫡男、羽柴藤十郎君が御方様、須磨殿!ご懐妊でござる!」
小一郎の大声が広間中に響いた後、一瞬の沈黙があった。直後、喜びと驚きの声が広間中に鳴り響いたのだった。
次の日、秀吉達は重秀と縁の間に子ができた事を喜び、次の戦いへ向けて歩みだそうとしていた。
三木城の本丸御殿の広間では、秀吉を中心に小一郎や重秀、蜂須賀正勝等羽柴の諸将が集まって軍議を始めようとしていた。
そんな中、小一郎が秀吉に話しかける。
「兄者・・・。昨日はあんだけ飲んでよくそんな平気そうな顔をしておるのう。儂など、頭が割れそうじゃ」
「・・・小一郎。お主は酒に弱い。あまり無理して飲むなと申しておろう」
ケロリとした顔でそう言う秀吉に対し、青い顔の小一郎は「そうも言ってられぬであろう」と反論した。
「皆があれだけ楽しそうに飲んでいる中、儂だけ飲まないというわけにはいかないじゃろう」
昨日、兵庫からの報せを聞いた秀吉達は軍議をほっぽって酒宴へと雪崩込んだ。その宴は夜遅くまで続いたのだった。
「藤十郎。お主はどうだ?まだ寝てなくて平気か?」
そう言いながら秀吉は、青い顔をしている小一郎から視線を重秀に移した。重秀はいつも通りの表情で座っていた。
「はい。というか、気がついたら寝ておりました。まさか宴の場で寝るとは思いもしませんでした」
普段は酒の量を抑えている重秀であったが、さすがに周囲から祝いの酒を勧められては飲まないわけにも行かず、全部飲んでいた。結果、限界が来たらしくそのままひっくり返ってしまった。しかし、次の日の朝に目を覚ますと、酔いはどこかに行ってしまったかのように気分は良くなっていた。
「ふーむ、上様も酒を飲んで寝てしまうと聞いたことがある。藤十郎もその類いなのかも知れぬなぁ」
秀吉がそんなことを言ったときであった。広間に三成が書状を持ってやってきた。
「殿。安土の堀様より文が届きました。それと、若君に阿閇城から文が届いております」
そう言うと三成は書状をそれぞれ秀吉と重秀に渡した。
「・・・藤十郎、まずはそちらから開け。恐らく縁の妊娠のことではないのか?」
秀吉に促されるままに重秀が書状を開いて読んだ。確かに、それは兵庫の石田正澄からの書状で、中身は縁が妊娠したことを報せる内容であった。
「・・・父上のおっしゃるとおりです。どうやら甚右衛門(尾藤知宣のこと)がこちら回してくれたようです」
「向こうは文の内容を知っておらぬのではないか?お主から知らせてやるが良い」
「・・・三木城が落ち着けば、次は英賀城でございましょう?どうせ阿閇城へ行くのですから、その時に報せれば・・・」
重秀がそう言うと、秀吉は「阿呆」と呆れたような口調で言った。
「ひょっとしたら羽柴に新たな世継ぎが生まれるのやも知れぬのだぞ。こう言う慶事は、早めに報せぬといかん。それに、阿閇城だけ報せが遅れたとなれば、阿閇城の者達は自分達が蔑ろにされていると思うではないか」
秀吉がそう注意すると、重秀は「迂闊でした。早速報せたいと思います」と言って立ち上がろうとした。しかし、秀吉がそれを止める。
「それは佐吉(石田三成のこと)に命じれば良い。佐吉、良いな?」
秀吉がそう言うと、三成が「承りました」と言って広間から出ていった。秀吉がその様子を見た後、今度は自分が受け取った書状を開いた。そして、一読した秀吉が「おお!」と感嘆の声を上げた。
「どうした、兄者?」
小一郎が尋ねると、秀吉が嬉しそうな表情で答える。
「石山本願寺との和議が成ったようじゃ。顕如上人は十二月中に紀州にお移りになられるそうじゃ。それに従い、雑賀衆も石山本願寺から退去するようじゃな。また、雑賀衆の頭目である鈴木孫一なる者が上様に従う旨の意思を表明しているそうじゃ。これで石山方面の戦は終わるのう」
秀吉がそう言うと、皆の顔から安堵の表情が顔に浮かんだ。思えば元亀元年(1570年)に始まった石山本願寺との戦は、来年で10年目になるほどの長期戦であった。間には2回ほど和平が結ばれたものの、すぐに破られては戦闘となっていた。しかし、今回は石山御坊とその周辺地域は信長に引き渡されることになるので、今度こそ戦が終わるのだろう、と皆は思った。
そんな中、重秀が複雑そうな顔をしながら秀吉に聞いてくる。
「しかし父上。顕如上人が退去したのは良いのですが、嫡男の教如上人が追放されて以降、行方が分かっておりません。どこかで反織田の一向門徒を集め、兵を起こすのではありませぬか?」
「ふむ。藤十郎の懸念も分かる。教如が行きそうなところと言えば、加賀かそれとも英賀か、はたまた毛利あたりかもしれんのう」
秀吉がそう言うと、重秀が強い口調で言う。
「英賀に入ったとの報せは入っておりません。もし入ったのであれば、その旨の宣言が英賀から発せられますでしょうし、そもそも官兵衛殿(黒田孝隆のこと)が見逃すはずがございませぬ」
「分かっておるわ。恐らく加賀あたりではないかのう。右衛門尉様(佐久間信盛のこと)が越前から動かないところを見ると、加賀に入って現地の一向門徒をまとめ上げたかもしれんのう」
右衛門尉こと佐久間信盛の名前が出たことで、重秀は思わず眉を上げた。秀吉はそれに気がついたが、特に何も言わずに話題を変える。
「ま、石山本願寺との戦が終わるのじゃ。実にめでたい。では早速酒宴を・・・」
そう言った秀吉に対し、小一郎が「兄者!」と声を荒らげた。秀吉が右手で後頭部を撫でながら笑う。
「あっはっはっ、冗談じゃ。しかし、これから軍議をやるとしても、もう話すことなぞ無いぞ?次の目標は英賀城じゃし、あそこには官兵衛がとっくに内応者を作っておる。三木城陥落の件や石山本願寺の立ち退きを伝えれば、中の一向門徒は抵抗を止めるじゃろう。儂等が全軍で英賀城を囲めば、後は内応者を寝返らせるか一向門徒を城から出せば、どうとでもなるじゃろう」
秀吉はそう言うと、今度は重秀に尋ねる。
「石山本願寺から逃れてきた雑賀の水軍はどうなっとる?」
「ほぼ阻止できております。ただ、夜間に闇に紛れて侵入する船がありました。これらを阻止しようとしたのですが、如何せん夜間での船軍は未だ慣れておらず、阻止できなかった船も二、三隻ありました。この件については責を感じております」
そう言って頭を下げる重秀に、秀吉は複雑そうな顔をした。
「・・・あまり褒められたものではないのう。まあ、経験不足ということで此度は許すが、今後は気をつけるように。もし同じようなことあらば、息子といえど軍法に従い罰するからの」
そう言われた重秀は、「こ、心得ました」と言って再び頭を下げた。
その後、軍議が開かれたが、先程秀吉が言ったようにすでに英賀城攻略の骨子はできており、後は具体的な内容を確認し合うだけの話であった。
そして、軍議が終わると、10年近く続いた石山合戦の終結を祝う酒宴が開かれたのであった。
次の日。秀吉達は長年続いた石山合戦が終結した事を喜びつつ、次の戦いへ向けて歩みだそうとしていた。
三木城の本丸御殿の広間では、秀吉を中心に小一郎や重秀、蜂須賀正勝等羽柴の諸将が集まって軍議を始めようとしていた。
そんな中、小一郎が秀吉に話しかける。
「・・・こう二日連続して酒宴が続くと、疲れるな」
「しかし、昨日はそれほど飲んでおらぬぞ?ちゃんと時を区切って終わらせたではないか」
そう言う秀吉を、小一郎はジト目で見つめた。秀吉が皆が帰った後も一人ちびちび飲んでいたのを、小一郎は知っていたからだ。
「・・・まあ、兄者が今日も身体に何事もなければそれで良いんじゃが」
そう言いながら小一郎は視線を秀吉から重秀に移した。重秀はいつも通りの表情で座っていた。
「・・・じゃあ、軍議を始めようか」
「あれ!?こっち見たのに今日は何もなしですか!?」
重秀が思わず声を上げてしまった。小一郎が落ち着いた口調で重秀に尋ねる。
「何もなし、ってどういうことじゃ?」
「いや、一昨日昨日と私の身体を案じていたように思えたので、今日もあるのかと思っておりました」
「いや、昨日はさほど酒を飲んでいなかったし、もう案ずる事もなかろう」
小一郎が呆れたような表情でそう言った時であった。広間の外から複数の足音が聞こえてきた。だんだんと近づいてくる足音に、秀吉が「佐吉かな?」と呟いた。
そして、秀吉の予想通り、三成が広間に入ってきた。今回も書状を持ってきていたが、それだけではなく三成の後ろに誰かが付いてきていた。
三成が床に座って平伏しながら秀吉に言う。
「申し上げます。竹中久作様(竹中重矩のこと)、手勢を率いてお越しになられました」
「何!?久作が!?」
秀吉が驚きの声を上げると、その場から立ち上がり、三成の後ろで座って平伏している重矩に近づいた。そして重矩の両手を握りながら重矩に言う。
「おお、久作よ。よう来てくれた!・・・というか、来るのは早すぎるのではないか?半兵衛が亡くなったことは当日にお主と上様に急使を立てて報せてはいたが」
「元々、三木城の包囲のために附城番に入ることは事前に決められておりました故」
三木城包囲戦の際、兵力が足りない秀吉は、信長に頼んで援軍をローテーション方式で送ってもらっていた。重矩もそのローテーションの中に入っており、ちょうどこの時期に三木城包囲戦に参加できるように出陣していたのであった。
「ただ、三木城が開城し、兄が亡くなったのを京にて聞かされました故、少々急いで参りました」
重矩がそう言うと、秀吉は重矩から手を離した。そして、平伏しながらお悔やみを言う。
「兄である竹中半兵衛を亡くされたこと、この羽柴筑前、謹んでお悔やみ申し上げる。兄上には大変世話になるのと同時に大恩を頂き、誠に有難き幸せ。我が羽柴家は末代まで竹中家への御恩は忘れませぬ」
秀吉がそう言うと、小一郎と重秀も重矩の方へ身体を向けると、深々と平伏した。いや、それだけではない。正勝等も重矩に向かって頭を下げていた。重矩は驚いた様子で再び平伏する。
「み、皆様どうか頭をお上げくだされ!・・・いや、我が兄も生前申しておりました。『藤吉殿と会ったことで、それがしの人生は新たな道を歩むことができた。これほど嬉しいことはない』と。皆様が思っているのと同じように、我が兄も皆様に御恩を感じていたのです。それがしも、兄を大切にして頂き、恐悦至極でございました」
重矩の言葉に、皆が改めて重治のことを思い浮かべた。と同時に、胸に一抹の寂しさを感じていた。そんな寂しさを振り払うかのように秀吉が声を上げる。
「よし!久作が三木城に来たんじゃ!今から久作の歓迎と半兵衛を偲んで酒宴じゃ!」
「何言ってるんじゃ、兄者!もう十分酒宴はやったじゃろうが!」
慌てて大声を上げる小一郎に、秀吉は「そうは言うがのう」と答えた。
「今日は一体何を話し合うんじゃ。もう英賀城攻めの話は昨日したじゃろう」
「今日は三木城の今後を話し合うんじゃ!ここを対毛利攻めの拠点にするんじゃろう!?」
小一郎の言う通り、秀吉は今後の毛利対策の拠点として、この三木城を考えていた。長浜城では遠すぎるし、三田城では交通の便が悪い。そして兵庫城は交通の便は良いが如何せん狭すぎた。
そこで秀吉は規模が大きく、加古川の支流である美嚢川が近くに流れている三木城を拠点に考えていた。しかし、西国街道から離れているのが欠点であった。
「ああ、そうじゃったそうじゃった。では三木城の今後について話し合おうぞ・・・」
秀吉がそう言ったときであった。重矩の傍に控えていた三成が秀吉に「恐れながら」と言いながら話しかけてきた。
「殿、実は先程、堀様よりこの書状が届きましてございます」
そう言ってきた三成から書状を受け取る秀吉。堀秀政からの書状はやたらと分厚い書状であった。
「随分分厚いのう。これも昨日みたいに吉報であると良いのう。また酒が飲める」
そんな冗談を飛ばしながら秀吉は書状を開いて読み始めた。最初は普通に読んでいた秀吉だったが、読み進めていくうちに顔が険しくなり、最後の方は驚愕の表情が顔に張り付いていた。
「兄者、どうした?何かあったのか?」
小一郎が尋常ではないと感じながら秀吉に尋ねた。秀吉が呟くように答える。
「右衛門尉様、佐久間右衛門尉様が高野山に追放された・・・。越前を始め、全ての領地を召し上げられた・・・」
秀吉の言葉の後に、一瞬の沈黙があった。直後、重秀を除いた者達の驚きの声が広間中に鳴り響いたのだった。