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TW-7 旅の終わりは休憩時間、異世界の終わりは何時間?

TWはあと数話で終わります。ブックマークしてくれた方、この小説?が気になって開いてくれた方。本当にありがとうございました。

この小説?の完結の仕方は特に決めていないのですが、きっと恐らく多分完結するでしょう。これに関しては私にもわかりません。

投稿ペースはこれからも変わらず不定期です。私の財布は不景気です。文字数は増えるかも知れませんし、減るかも知れません。


では。


2021/06/14 前書きを編集しました。








 眩い光で目がぼやける中、うっすらと視界に入った空はすでに橙色だった。瞼を強く瞑り、再び目を開けると橙色の空を美しく反射させた海が目下に広がっていた。


「お、終わったあぁ…」


 ようやく異世界から異世界へと戻って来たという実感があふれ、視界の端っこがぼやけて来た。おかしいな、光のがまだ治ってなかったようだ。



 両手を高く掲げ、そのまま背中から倒れる。

 だがしかし、背中に背負っていたバッグが感動の邪魔をする。

 底板が腰に突き刺さり、べギィッ!という初めて聞くような音を鳴らした。


 無論激痛。

 顔面ハイキックされた後にエルボードロップがクリーンヒットしたような痛みだ。 いや、もっと痛いかも。折れてそう。


 腰を抑えながら、陸にあげられた魚のように体が跳ねる。私は前世が魚だったのかというレベルの見事な跳ねっぷり。

 打ち上げられた魚のモノマネランキングがあれば堂々の1位だろう。



 

 


 涙が溢れた眼元をゴシゴシと腕で擦り、痛む腰を左手で抑えながらふらふらと立ち上がる。着ていた白色のロングTシャツは草と砂で汚れてしまった。お気に入りだった為にさらに涙が溢れてくる。私はとめどなく溢れてくるその涙が情けなく思い、涙がさらに溢れてくる。もう私の涙腺はズタボロだ。きっと私の涙腺は大穴が空いているだろう。家は声の聞こえる方向だ、腰を抑え、涙を流し、汚れた服を着てヨタヨタ歩く。事案でしかない。やったね。



 帰路の途中、通りを歩いていると「わぁ…」やら「うわっ…」っと言い私を見てくる。今の私にはその憐憫の眼差しが心に突き刺さる。帽子を深く被って火照る顔を隠し、早歩きでこの場を去ろうとする。ぼやけた視界の中、小石に躓いてビタンと顔面から倒れた。街の喧騒が止まった。無言で体を起こし、しゃがみ込んでぷるぷるしていると肩を叩かれ、知らないおじさんに焼き鳥を渡された。後光と涙でぼやけた視界にその顔は写らなかったがおそらく神様だろう。眼元に手を当て天を仰ぎ、震えた声で「頑張え」と言われた。私も震えたか細い声でお礼を言い、再び帰路に就く。名も知らない神様から貰った焼き鳥に元気をもらい、少しは上を見上げて歩こうと考えた矢先、3歩でビニール袋を踏み、また顔面から転んだ。街の喧騒が再び消え去った。私は号泣しながら全力で走った。身体の痛みより心が痛かった。そしてなによりも焼き鳥を落としたのが辛かった。







 住宅街から遠く離れた海の近くの崖にぽつんと私の家は建っている。というか建てた。1週間で建てたんだよ凄くない?街からはかなり離れているがぼっちの私には都だ。まさに住めば都。一軒家しかなくても都。誰が何と言おうとここは私の都だ。不揃いな木で壁を作り、丸太をぽんぽんと乗っけただけの愛しの豆腐ハウスだ。まさに木面豆腐。ドアなどという文明の最先端の物はないが、窓の付いていない歪な窓枠はある。よって、カビとかの心配が一切ない究極の換気ハウスだ。夏場は涼しく冬場は極寒。雨漏りの心配はあると思いますが、もちろんします。まったく、なんて暮らしやすい豆腐なのだろうか。広さは5畳程度で、1人で暮らしている私からしたら広すぎるぐらいだ。


 設備なども意外としっかりとしている。お風呂などは外にちゃんとあるし、まず人は来ないが念のために仕切りは設置してあるから覗き対策もバッチリだ。そしてなによりも、毎晩美しい星空を眺めながら入れる露天風呂だ。ここは他の人に自慢できる唯一の場所だ。お湯は何故か自動で張られているし、バスタブも洗わないでもぴかぴかだ。いったいどんな不思議パワーが働いているのかは私には分からない。取り敢えず便利だから私的に満点だ。

 キッチンは家中でやると火事しか起きないのでこれも外に設置してある。家事はできないが火事はできる。そして雨の日以外は毎日バーベキューを楽しめるのだ。そして私の主食はもやしをタレで焼き、もやしでタレもやしを食べるというもやし三昧だ。






 深夜、虫たちが心地よい音を奏でる星空の真下で、私はバスタブの傍らに仁王立ちする。


 熱を帯びた体からは湯気が上がっていてなんか面白い。気分は某野菜人だ。ハァァと力を入れて声を出したら白の煙が金色になるかも知れない。先ほど食べたもやしの消化は終わっただろうか。明日のもやしはどう食べようか。もやしが家から生えてこないかな。そんな下らない事に頭を悩ませていると、シャワーヘッドの上にいつのまにか居たフクロウがホーホーと鳴いた。驚きながらも釣られて私もほーほーと声を上げる。ちらりとフクロウを見ると、フクロウがこちらを見て笑っているような気がした。


 私はさっと目を閉じて、顔を再び星空へと向ける。暫く夜風を浴びていると頭の上にもふっとした感触と、絶妙な重さがのしかかった。そのもふもふとした感触を楽しんでいるとフクロウが飛び去って行った。あっ、と小さな声が勝手に口から出てくる。ぼっちの私は寂しさに弱いのかもしれない。物寂しげに頭を触ると、暖かい液体の様な固形物が手に触れた。無言でお風呂に入る。奴は絶対に許さない。私という恐ろしい狩人を誕生させてしまったのだ。私は奴を倒す方法を必死に頭の中で計画したが、頭に乗ってくれたフクロウは私の中ではずっ友だ。便所に使われたとしても今回だけは許そうではないか。だけど次からはやめて欲しい。お願いだから。






 我が豆腐にもどり、電気をつけようとしたら顔に何かがペチっと触れた。半歩後ろに下がり、再び顔に何かが付いていないことを確認してから、パチっと電気を付ける。目の前にあったのはミノムシの蓑だ。なぜこんな所に?と訝しげに見ていると、近くの窓からイモムシがミッションスネークしているのが見えた。窓無しドア無しの家ならそりゃ虫も入るよね、そう考えたら腑に落ちた。それよりも何故木造建築に電気が通っているのかという疑問は受け付けない。異世界だもの。


 別に虫は嫌いではないため放置しようと決め、椅子に座る。パンツしか履いていないのでヒヤッとした感触とチクチクする感触で声が漏れた。入り口の近くに1個、照明の近くに1個、窓の縁に2個。家中を眺めたらなんと7個も蓑があった。いつの間に?と思っても先ほどまで別の世界に居たのだ、それなら気付かなくても無理はないだろう。


 久々に戻ってきた異世界。チュートリアル世界を終わらせたことで私にも自信が生まれた。今の私は昔の私よりも強い。そして明日の私はさらに強い。名言では?


祉買No:314

 星空ほしぞら すい

 22歳

 残金 99,880


 もやしで20円、タレが100円だったから120円無くなった。チュートリアルが終わっただけで100,000円ももらえる。太っ腹すぎて肥満か心配しちゃうね。


 そして相変わらずの祉買である。すごい気になる。

 スマホに追加されていた『女神様ショッピングぅ』を開き、『絶対に消えない油性マジックペン(擦ると消える水性タイプ)』を購入して、祉買の上に横棒をちょちょいっと引いてその上に『しゃいん』と書く。漢字は忘れたからひらがなだ。少しばかりスマホの画面が滑りやすく、みみずが張ったような字になってしまったがまあ読めるだろう。


 画面をホームに戻すと。横棒?が2本と、その上に変な絵?が書かれていた、なんだろうこれは、消えなかったら困る。



 邪魔な絵が描かれているスマホのカメラ機能を起動させ、自撮りをする。目の横にピースをしウインクをするのも忘れない☆。うん、やっぱり私はかわいい。



祉買No:314

 星空ほしぞら すい

 年齢 22歳

 性別 女性

 身長 162cm

 体重 45kg

 状態 健康


 残金 99,780


 能力

 ・星魔法 Lv:3

 ・百発一中 Lv:1

 ・気配遮断 Lv:5 new!

 ・自然回復 Lv:3 new!



 なんか増えていた。

 いつ増えたのだろうか。そういえば異世界にいた時も1回しか自撮りしてないから、後半の時には増えていたのかも知れない。もう少し自撮りしておけば良かった。



 ・気配遮断 空気薄いよね君(笑)

 ・自然回復 いじめられていました?相談にのりましょうか?



 前も思ったのだが、この説明文はなぜこうも人を煽るのだろうか。残金といい、説明といいこのシステムを作った人は性格が悪いんじゃなかろうか。絶対に陽キャだ、陽キャは滅びろ。

 それよりもレベルシステムが導入されていたのだ。あの時はなかったためアップデートでも入ったのだろうか?だがゲームっぽくて良いと思うよ。


 だが、能力が増えたことで身体能力が上がっている可能性もあるし、明日1日は身体チェックをしよう。そのためにも今日はもう寝よう。おやすみなさい。

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