TW-6 異世界の料理は素晴らしいと思いますよ
ぼーっと窓の外を見ること早20日、私は暇で死にそうです。
私は窓辺の監禁系美少女。
立てばもやし、座ればセクシー大根、歩く姿はエビピラフ。みんな大好き星空彗です☆ ウインクすると星が出るよ☆
私、なんと生きていたのだ。
あの塔の中で死んでも外でリスポーンするようで気がついたら外で寝ていた。なんというご都合主義だろうか、やはり私は主人公。
死んでも生き返るとわかったので、とりあえず30回ほど死にに…ごほんっ、探索しに行った。結果としては収穫0で、普通にHを探索しておいた方が良かった気がする。
だが、1日を無駄にするというのも中々に新鮮な体験だった。この世界にきてからは忙しい毎日であったからたまにはこんな風に過ごすのも良いと思えた。20日前までは。
唐突だが、私は監禁されている。どちらかと言えば軟禁の方だろう。
発端は30回死んだあの日である。
30回死んだタイミングでお姉ちゃん(あの日はお姉様だった)がきて、強制的にお家の部屋に送還されたのだ。
たしか、「これ以上私の仕事を増やさないでくれポンコツ」と言われたのだが、あれはどういう意味だったのだろうか。いや、仕事という意味はわかる。だがポンコツとはなんだ?
まあ、そんなわけで軟禁されている。暇といえば本を貸してくれるし(8割はR18の百合)、運動したいといえばストレッチや筋トレを手伝ってくれるので特に不満はない。
だが如何せん暇なのだ。変わらない風景というのは中々に心にくる。本に書かれていた内容をお姉ちゃんに聞くと、「彗にはまだ早いよ、良いこは寝なさい」と言われるだけ。やる事がないのだ。
余談だが、腕立て伏せは5回、腹筋は3回、背筋は5回、スクワットは20回しかできなかった。前世はもうちょっとできた気がするのだが、それは気のせいだったようだ。
だが不思議なことに走っても疲れる事があまりないのだ。本気で無酸素運動をしたら流石に息切れするが。しかし、ランニング程度では息切れはしない。肺活量がすごいのだろう(小並感)
言っていなかったが、軟禁されているのは部屋というわけでなく家だ。外に出れないだけで何かと自由度は高い。束縛しないお姉ちゃん好き。
てわけで、最近はよく料理をしている。私は暇を潰せるし、お姉ちゃんはお腹を満たせる。win-winの関係というわけだ。
最近作ったのは、もやしの醤油炒め。油の引いた中華鍋にもやしを入れて醤油を入れると完成する。その前回はもやしの照り焼きソース炒め。醤油と酒とみりんと砂糖の照り焼きソースを自作してから作ったのだ、もちろん自信作である。さて、回想も終わった事だし本日作る料理を考えよう。昨日お姉ちゃんは「明日は、もやし以外が良いなあ」と言っていたのでもやしとプラスで一品作る。料理人の端くれなのでちゃんと意見は取り入れる、それが私だ。焼きそばでも作ろうか。うん、決まった。味は無難にソースで行こうか、塩でもいいし海鮮でも良いかもしれない。 よし、和風にしよう。
準備するのは、メインの麺と野菜は、キャベツ、にんじん、エリンギ、ピーマンで良いだろう。栄養バッチリだ。和風醤油味にしようと思うから、調味料は醤油と鰹節とその他いろいろで良いよね。料理とかあんまりわからないけどなんとかなると思う。
というわけで彗ちゃんの適当クッキングはっじま〜るよ〜。
まずは野菜を適当にざくざく切ります。洗うのは忘れずにやりましょう。あと人参は太すぎると味が濃くなっちゃうから半分だけ使います。残った半分はラップでもして野菜庫にぶち込んでおきましょう。エリンギは………確か全部食べれたと思う。うん、縦に適当でいいや、死ななければ問題ない。ピーマンは中の種を全部とっておこうね、切り方はこれも適当だよ。キャベツは適当にちぎればOK。ね、簡単でしょ?けど和風焼きそばの作り方なんてわからない、とりあえず油を引いた中華鍋に野菜を全部入れて、少しだけ焦げ目が出たら麺を入れる、この時に水を少しだけ入れて……やべ、入れすぎた。ま、まあ大丈夫だよね。んで、解すように混ぜながら焦げないように気をつける。ここだけ見たら私はすごい料理人だ。最後にもやしを一袋丸ごと入れて、醤油と鰹節を入れたら蓋をして味を馴染ませる。少しだけ経ったら鍋の中を確認する。はい、和風醤油焼きそば味のもやし炒めが完成!今回もなぜか麺とかが消えた、本当になんでだろう。
まあ、味は確かに焼きそばの味するし大丈夫でしょ。お姉ちゃんの要望通りにもう一品作ろうとしたらなぜかもやしの一品になったけどね。本当になんでだろうね!(ヤケクソ)
あとは丸皿に盛り付けて、完成っと。お姉ちゃん読んでこよっと。
「ポンコツ?」
「ん?」
「これ、なに?」
「和風醤油味の焼きそばの味がするもやし炒め」
「????」
なんだか、お姉ちゃんの呼び方が変だった気がするが気のせいだろう。文句を言い顔を引きつかせながら「なんで、これがこんなに美味いんだちくしょう」と言いながら完食してくれるお姉ちゃんはやっぱり優しい。作った方からすると美味しいと言ってくれるのは嬉しいね。明日は何味のもやしを作ろうかな?