少女とスライム
ゴブリン達から一人の少女を救助してから、一日がたった。彼女は未だ起きる気配がない。
「大丈夫かな? 呼吸は安定してるから、命の危険はないと思いたいけど」
怪我もなく呼吸も安定しているため、大丈夫だとは思うが、一日たっても起きないとやはり不安になってくる。
ペル達三人も不安そうに震えている。
はい。実は、朝起きたときもう一人ベビーが増えていました。ベビー達はステータスが共通らしい。
ペル(ハイスライム) LV7
HP 480/480
MP 480/480
攻撃力 48
守備力 48
素早さ 48
賢さ 48
ペルベビー(ハイスライム)×2 LV7
HP 430/430
MP 430/430
攻撃力 43
守備力 43
素早さ 43
賢さ 43
言葉が出ないとはこういう事なのだろう。
レベルアップが速いため、ステータスの上昇も速い。ちょっと前まで俺の方が強かったのに、今では完璧にお荷物となっている。
ちなみに俺は、2レベルアップしていた。
出現条件は不明だが、生活魔法なるものを習得した。初の魔法という事で興奮して即習得したが、レベル3まで上げて出来ることが、飲水を出す「ウォーター」、ライター位の火を出す「ファイアー」、体や服等を綺麗にする「クリーン」だった。
洗濯や水浴びの必要が無くなったのはありがたい。今までは、タオルなんて持ってないから自然乾燥を待つため、数時間使っていたのだ。その時間が無くなるのは非常に大きい。
しかし、生活魔法の字面から分かるが、攻撃的な魔法は覚えられ無いのだろう。
ちなみに、ステータスはこんな感じ。
名前 シュウ LV8
職業 テイマー
HP 380/380
MP 190/190
攻撃力 31
守備力 33
素早さ 33
賢さ 31
スキル
鑑定LV4 言語理解LV- 守備力上昇LV1 素早さ上昇LV1 体術LV2 ⬛⬛LV1 生活魔法LV3
SP 3
うん。しょぼい。
せっかく異世界に来たのにチートも貰えず、スライムにすら劣るステータスしか持ってないのは、どうなんでしょうか。
せめて、攻撃魔法が欲しい。条件は何なのだろう?
覚えられるなら雷魔法がいい。昔、子供先生が雷魔法をメインで使う漫画が好きだったから、俺もずっと使ってみたかった。もしくは、幼女吸血鬼の氷魔法でもいい。これ以上ヤバイので止めよう。
そんな事を考えていると、ベッドの方から声が聞こえた。どうやら目が覚めたらしい。
「・・・・・・うぅん? ここは?」
「おはよう。気分はどう?」
「だれ? スライム? まさか、魔人!?」
俺とペル達を見て驚いている。それに、魔人とは何だろうか。
「私をこんな所に連れてきて、何のつもり?」
「いや、何のつもりも何も、ゴブリンに襲われてたから助けただけなんだが」
「ゴブリン? そういえば急にゴブリンに襲われて・・・・・・そうだ、アレンとジークはどこ!?」
「それは、一緒にいた二人か?」
「そうよ!」
「そうか。すまない。俺が助けに入った時はすでに二人は殺されていた」
「そんな・・・・・・」
相当ショックなのだろう。さっきまでの勢いが無くなっている。
「それで? これから私はどうなるの?」
「君はどうしたいんだ?」
「分からない。今までずっと三人で冒険者やってかたから」
「家族は?」
「いない。孤児院で育ったから」
「そっか。ごめん。悪い事聞いた」
「いいですよ、別に」
気まずい。命の軽いこの世界では、孤児は少なくないのだろう。しかし、日本育ちの俺は、親がいないと聞くとどうしても申し訳なく思う。
それにしても冒険者か、やはり魔物のいる世界ならいるよな。
「もしよかったら、森の外まで送ろうか? といっても何処に行けばいいのか分からないけど」
「あれ? ここって森の中なんですか? 立派な小屋だったから森の外かと思ってました」
「残念ながら森の中です。近くには廃村もあるし」
「外への行き方が分からないって、何時からここに居るんですか?」
「十日くらいかな」
「なら、その前はどこに居たんですか?」
「信じて貰えるか分からないけど、こことは違う世界にいたんだ」
「違う世界・・・・・・あなたは勇者様なのですか?」
「勇者じゃないよ。ただのテイマーさ」
「テイマー?」
「あれ? テイマー知らないの? 魔物使いの事だよ」
「魔物を使役出来るのですか? そういえばスライムが居ましたね」
「大きいのがペルで少し小さいのがペルベビー。仲良くしてやって」
「は、はい。よろしくお願いします」
律儀にお辞儀をしている。最初は混乱していただけで、素直な子なのだろう。
「そういえば、自己紹介がまだだった。俺の名前はシュウ、さっき言った通りテイマーさ」
「私はアリシアです。魔法使いしてます」
「これからどうするにせよ、取り敢えずよろしく、アリシア」
「はいっ! よろしくお願いします!」
これからに不安はあるものの、俺たちは固く握手を交わした。
ペル達も触手を伸ばし、手に重ねてきた。かわいい。
読んでいただき、有難うございます。
初の会話らしい会話がありました。今後は会話も増えていきます。






