救助とスライム
後半少しだけ残酷な表現があります。
苦手な方はご注意下さい。
スライム無双過ぎて、何の役にも立ってない俺が辛い。
今まで撲殺とか絞殺とかだったのに、ハイスライムになって斬殺に変わったよ。瞬殺だよ。
「何だよこれ・・・・・・これじゃあ俺、ただの乗り物じゃん」
まあ、剣も持ってない俺が戦うより簡単に倒せるのは分かる。
すると、ペルがまた魔物だと伝えてくる。
「なんだ? 今日はやけに多いな」
今までは、一日に二匹もいればいいほうだった。しかし今日はこれで四匹目、何かあるのかと考えてしまう。
考え事をしながらも、ゴブリンに近付いていた俺は、ふと閃いた事を行動に移す。
ゴブリンにある程度近付いたところで止まる。そして、ゴブリンの頭上付近に向かって、ベビーを投げる。
ゴブリンに向かって飛んでいくベビーは、回転に従い触手を伸ばし、次の瞬間ゴブリンを真っ二つに切り裂いていた。
「おつかれー」
ベビーが嬉しそうに戻ってくる。
俺は、ベビーを抱き締め、○ツゴロウさんの様になでまわしていた。
ペルは少し拗ねた様に頭の上でぽよぽよしている。かわいい。
「四匹もゴブリン倒したし、ペル達のステータス確認が楽しみだ。その前に俺のステータスでも見てみるか」
名前 シュウ LV6
職業 テイマー
HP 300/300
MP 150/150
攻撃力 25
守備力 27
素早さ 27
賢さ 25
スキル
鑑定LV4 言語理解LV- 守備力上昇LV1 素早さ上昇LV1 体術LV2 ⬛⬛LV1
SP 3
「俺って弱すぎ? なんていってる場合じゃ無いくらい弱いな。悲しくなってきたぞ」
ペル達はふるえている。これが強者の余裕なのだろうか。
ペル(ハイスライム) LV4
HP 390/390
MP 390/390
攻撃力 39
守備力 39
素早さ 39
賢さ 39
ペルベビー(ハイスライム) LV4
HP 340/340
MP 340/340
攻撃力 34
守備力 34
素早さ 34
賢さ 34
圧倒的強者でした。
ペルどころか、ベビーにも戦ったら瞬殺される自信がある。
むしろ、この二人が協力すればホブゴブリンにも勝てるかもしれない。
ハイスライムになってもレベルアップの速度が速い。ずるくない?
「さて、まだ余裕そうだしもう少し行こうか」
20分程歩いたとき、微かな鉄の臭いと腐敗臭が漂ってきた。
ゴブリンを倒したさい、何度と嗅いできた臭い。血と臓器の臭い。
しかし、この世界の魔物は死ぬと魔石を残して消える。その時、不思議なことに血やその臭いも一緒に消えるのだ。
なのに、未だに臭いがするという事は。
「魔物以外の何かが殺されたってか」
俺は逸る気持ちを抑え、臭いの中心に向かう。
そこで見たのは、横たわる一人のローブを着た少女と二人の人間の死体、死体を食べる四匹のゴブリンと二匹のホブゴブリン。
凄まじい嫌悪感と吐き気に見舞われる。
二人の死体は、原型を留めていないため人数位しか分からないが、少女の方はまだ息があるらしい。
ラノベ等で、ゴブリンが女を生かす理由なんて一つしかない。この世界でもそうらしい。
「チッふざけやがって。ペル、ベビー、ゴブリン共を殺せ!」
ペル達に指示を出し、俺は倒れている少女に駆け寄る。
意識の無い女の子を担ぎ、ペル達の方を見て、驚愕した。
俺が少女の所まで行き、移動するため担ぐその10秒足らずで、ペル達はゴブリン共を全滅させていた。
「おいおいまじかよ、あの数瞬殺かよ・・・・・・」
ペル達がどんどん強くなる。
強くて可愛い。つまり最強という事だな。
うちの子達は最強である。ありがとうございます。
「問題は、この子だよな。やっぱ小屋に連れていくしかないのか?」
いくら考えても、最善は小屋に連れていく事。見ず知らずの人間を連れていくのは気が引けるが、ここに放置なんて出来ない。
死んだ二人の形見として落ちていた剣と短剣二本、少女の物であろう杖を拾う。
そして、周囲の安全を確認しながら、俺達は小屋に戻った。
読んでいただき、有り難うございます。
メインヒロインの登場です。(盛大なネタバレ!)