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進化とスライム

 気絶したペルを抱え、全速力で小屋まで来た俺は、ドアが壊れそうな勢いで飛び込んだ。

 小屋まで来て安心したためか、溜まった疲労感と強い眠気が襲ってきた。


「元気になってくれよペル」


 そう言うと、ペルと一緒にベッドに入る。

 ペルの無事を祈り、眠りに着いた。




 目が覚めると、腕の中で動く二つの気配を感じた。


「ペル! 無事か!?」


 飛び起きた俺は、ペルの安否を確認する。そして、ペル達を目にして固まる。


「あれ? ペル? あれ?」


 ペルは、いつもと変わらない様子で大丈夫だと、ぷるぷるしている。

 それはいい。それはいいのだが。

 ペルの横で、ペルより一回り小さいスライムも大丈夫だと、ぷるぷるしている。


「・・・・・・どちら様で?」


 敵意は感じない。それどころか親しみすら感じる。

 恐らくペル関連なのは分かるが、意味が分からない。誰でもいいから、現状の説明をして欲しい。

 とりあえず、ペルも心配だから二人とも鑑定してみる。



ペル(ハイスライム) LV1


HP 300/300

MP 300/300


攻撃力 30

守備力 30

素早さ 30

賢さ  30



ペルベビー(ハイスライム) LV1


HP 250/250

MP 250/250


攻撃力 25

守備力 25

素早さ 25

賢さ  25



 あー・・・・・・うん。

 もう何か、どうでも良くなったよ。

 言葉が思い付かず、そっとペルとベビーを抱き締める。

 嬉しそうにぷるぷるふるえる、二つの球体。

 ペルどころか、ベビーにもステータスを抜かれたが、このつるぷにボディの前にはそんな事どうでもよくなる。

 気が付くと、太陽が真上にきていた。


「あれ? さっきまで夜明け位じゃなかった?」


 ペルとベビーは呆れていた。


「そう言えば、ベビーとかステータスとかで忘れてたけど、ペル進化おめでとう」


 ペルは得意気にふるえている。

 すっかり忘れていたが、ペルがスライムからハイスライムになっていた。

 そしてステータス値もだいぶ上昇していた。

 もうペルに勝てる気がしない。

 しょんぼりしていると、ペルとベビーに慰められる。

 もともと無かった威厳が、マイナスになっている気がする。


「強くなって、仲間も増えたことだし、ゴブリン狩りにで行きますか」


 そう言って、いつものようにペルを頭に乗せ、固まる。


「ベビー、どうしようか」


 頭の上はペルの特等席になっている。ペルも退く気は無いらしい。

 仕方ないので抱き抱える。戦闘になったら下ろせばいいだけだ。

 今日も北に向かい歩き出す。ホブゴブリンはまだ怖いので、奥まで行く予定はない。

 ちなみに、小屋を出ようとしたとき、ベビーが触手を伸ばして開閉してくれた。可愛い。

 小屋を出て約20分、ペルがふるえだした。さっそく魔物が居たようだ。

 居たのは予想通りゴブリン。


「本当にゴブリン以外見ないな」


 ペルがスライムであることを忘れ、そう愚痴る。

 ゴブリンに近付く。今の俺たちなら真正面から戦っても余裕で勝てる。

 そのため、以前のように背後からこっそり近付くのではなく、一直線に向かって行く。

 ある程度距離を詰めると、ゴブリンもこっちに気付く。

 ゴブリンが戦闘体制に入るよりも速く、ペルが触手を伸ばした。

 ペルの触手が、ゴブリンに当たる直前、触手の先端がぶれる。

 次の瞬間、ゴブリンの頭が宙を舞う。

 俺はその光景が理解できず、立ちすくんでいた。


「Oh......」


 数秒固まった俺から出た第一声は、日本語ですらなかった。


「グギャッグギャッ」


 その時耳に届いたのは、間違いなくゴブリンの鳴き声。

 俺は素早く声のした方を向いた。

 そこに居たのは、怒りの形相でこちらを睨み、近くまで走り寄っていた二匹のゴブリンだった。


「くそっ!」


 気の抜けていた俺は反応が遅れる。攻撃を覚悟した俺は、腕を顔の前で交差させ、体に力を入れる。

 しかし、痛みは襲ってこなかった。

 腕を下げ目にした光景は、首の無いゴブリン二匹の死体と、触手を伸ばした、ペルとベビーの姿だった。


「Oh......」



《レベルアップしました》



 うるさいよ!

読んでいただき、有り難うございます


主人公にチートはありませんが、スライムはだいぶチートの予定です。

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