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親友とスライム

長くなったので少し中途半端なところで終わります

「ここはこの街の中でも一番活気のある所ですから」


 街を見て感動している俺の後ろから、アリシアが声をかけてきた。


「そうなんだ。他にも店はあるの?」

「ありますよ。でも、この辺りの方が安いですけど。他の店は儲かっている人用みたいな感じです」

「なるほど、通行の多い門付近に安くて活気のいい店を置き、街の中に行けば高級指向の落ち付いた店があると」

「・・・・・・」

「どしたの?」

「一瞬でそこまで分かるんですね」

「あ、いや、適当に言っただけだから正解かどうか分からないし」

「それでも、ちゃんと理にかなっているのですごいと思います」

「ありがとう。それより、冒険者ギルドに行こうか」

「はい。ギルドはこのまま真っ直ぐ進めばありますよ」


 アリシアの先導でギルドに向かう。

 数分歩くと、二階建ての役所のような建物が見えた。


「あれがギルドです」

「思っていたよりも綺麗なんだな」

「どんな想像していたんですか?」

「よくあるのは酒場が併設されてて、荒くれ者達が集まってるイメージかな」

「食堂はありますが、お酒は夜しか出ないですし、もし誰かが暴れればギルドからキツいお仕置きがあるのでそういうこともありませんね」

「そんなもんか」


 くだらない事をいいながら冒険者ギルドの前まで来た。そして、俺は少し緊張しながら、アリシアはなれた様子でギルドに入る。ペルは俺の手を握って天使の様な笑顔をしている。

 昼頃だからか、五十人は座れるだろう席の八割は埋まっていた。

 建物の中に入るとかなりの人がこちらを見てきた。ほとんどは誰か来たから見ただけだろうが、さすがにこの量の視線を集めると居心地が悪くなる。

 すると、配膳をしていたウエイトレスが一人こちらに走って来た。


「アリシア!」

「エミ!」

「アリシア! 無事で良かった!」


 エミと呼ばれた少女は、肩にかかる金髪のポニーテールで、アリシアより頭一つ分背が高い。アリシアには及ばないものの十分可愛い。

 少女は泣きながらアリシアを抱き締めていた。

 アリシアが森に入ってから結構経つため、最悪を想定していたのだろう。


「心配掛けてごめんね、エミ」

「ううん。アリシアが無事ならそれでいいのよ」


 落ち着くまでそっとしておこうと、二人の視界に入らないよう移動する。

 ペルは、ずっと俺の手をにぎにぎしている。何この子、可愛すぎるんだけど。天使かよ。スライムだけど。

 それから少しして、エミと呼ばれた少女がこちらを軽く睨みながら話し掛けてきた。


「あなたは誰ですか? この子と一緒にいた二人はどうしました?」

「エミ、私から説明するよ」


 俺が何か言う前にアリシアがそう言い、これまでの経緯と、お互いの紹介をしてもらった。

 アリシアの紹介で分かったことは、エミと言う少女、本名はエミリー、アリシアの一つ年上の19歳、同じ孤児院で育ったとのことだ。

 アリシアと一緒に冒険者になる約束をしていたが、剣も魔法も才能が無かったため、せめてと言うことでギルドの受付として働いているらしい。

 ウエイトレスの仕事をしているのは、昼はギルドとしてよりも、食堂としての方が忙しいから手伝っているとのこと。


「あの、さっきは睨んでごめんなさい」

「気にしてないよ」

「ありがとう。改めて、私はエミリー。皆エミって呼ぶからエミでいいよ、私もシュウって呼ぶね」

「お、おう、よろしくエミ」


 太陽のように明るく笑うエミに、ドキッとする俺。

 エミは俺に近付くと、アリシアに聞こえないよう声をかける。


(私のアリシアに手を出したら許さないから)


 先程とは違う意味でドキッとした。

 この子そっち系か!!


「それより、さっきから気になってたんだけど、ペルちゃんアリシアに似すぎじゃない? どういうこと?」

「エミごめんさい。いつか話します。でも今は聞かないでもらえると助かります」


 エミの疑問に、アリシアが申し訳なさそうに答える。


「わかった、今は聞かないであげる。でもいつか教えてね。それよりもシュウ」

「なんだ?」

「ペルちゃん頂戴」

「あげる訳無いだろっ!!」

「チッ」


 舌打ちされた。冗談かと思ったが、多分本気だ。


「エミ、忙しいとこ悪いんだけど、シュウさんとペルちゃんの冒険者登録してもらっていい?」

「あ、うんオッケー・・・・・・ってペルちゃんも!? 大丈夫なの?」

「大丈夫、私達三人の中で一番強いから」

「ペルちゃんが・・・・・・? まあ、アリシアの言うことだし本当だとは思うんだけど」

「本当にごめん。でも、エミにしかこんなこと頼めないの」

「たしかに、私以外なら却下されるか、根掘り葉掘り事情を聞かれるだろうね。わかった、着替えてくるから先に受付に行っといて」

「ありがとう、エミ」

「いいの、いいの」


 エミは、そう言い残して走っていった。


「いい子だな」

「はい。昔からすごく優しくて、自慢の親友ですっ!」


 俺が呟いた言葉に、笑顔で答えるアリシア。

 エミが消えていった扉を見ながら、俺達は受付に向かった。

お読みいただき、ありがとうございました。


今日はなんと、クリスマスイブです。長いこと彼女なんていませんが、寂しくなんてありません。


なんたって、俺にはペルとアリシアがいるからね!


面白いと思えば、評価と感想おねがいします。

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