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街とスライム

更新が遅れて申し訳ありませんでした。


仕事が忙しく、休みの日は基本寝てしまって、執筆時間がとれませんでした。


更新が遅れても完結までは書きますので、今後もよろしくお願いします。

 街に向かうと言ってから、早五日経過していた。

 しかし、俺達は未だに森の中の小屋にいた。街に行くのが嫌になったという訳では無い。

 ベビーの武器化による実験と実践を行っていたからである。

 そう、ベビーは剣だけでなく、いろいろな武器になることが出来たのだ。

 その結果選んだ武器は、スリングショットだった。

 使っているのが石なため、本来であれば何の役にもたたなかっただろう。しかし、そこはベビー武器。発射時にベビーが微調整してくれるため、乱射時に八割、精密射撃時は十割つまり必中という、驚異的な結果を叩き出した。

 さらに、射撃時にベビーも力を入れてくれるため、通常ではありえない速度と威力を発揮した。ゴブリン程度なら胴体ですら貫通する程である。

 今も出会い頭に二匹のゴブリンを倒していた。


「相変わらずその武器はすごいですね」

「本来はこんな当たらないけどね。ベビーが調整してくれるからの命中率だな」

「それでもです。そもそも私はそんな武器があることすら知りませんでした」

「まあ、俺の世界の武器だからね」


 そんな話をしながら、いい時間ということで小屋への帰路につく。

 いろいろな調整も終わり明日こそ街に行くと決めている。

 ちなみにベビー達は、二人がスリングショット、二人は二本の短剣になり俺とアリシアがそれぞれ持ち、最後の一人はスリングショットの弾になっている。

 現状石で間に合っているのに、なぜ一人が弾になっているのか。それは、強敵とあった場合のためである。ベビー弾を撃って、当たればよし、仮に外しても敵の後ろにベビーを一人送り込む事ができるという戦法である。

 これを思い付いたとき自分を天才だと思った。

 それをアリシアに言ったら「たしかにすごい戦法だと思いますけど、自分で天才とか言うのはどうなんですか?」と言われた。後でこっそり泣いたのは秘密だ。




 朝が来た。今日は街に行く。そう言ってなんどこの小屋に帰ってきただろうか。

 今日は、今日こそは街に行く。なんとしても行く。


「さすがにテンションおかしくないですか?」

「いやぁ、今までが今までだからね。このくらい言っとかないと、また何かあるかもしれないし」


 俺の発言にアリシアは苦笑いで答える。今までのことを思い出しているのだろう。

 これ以上はフラグになりそうなので、ゼリーを食べ小屋を出る。

 ベビー装備を身に付け、人化したペルを先頭に街に向け歩き出す。

 ちなみに、普段小屋のなかではペル達は全員スライムになっている。人化や武器化は街に行くための行為であり、俺もスライムの方が好きなためこのようになっている。

 アリシアは幼女化したペルが好きなため、残念がっているがペルが俺を基準に行動しているため仕方ない。それに、幼女形態のペルを愛でると、アリシアが不機嫌になるのでスライムの方が気が楽なのである。

 小屋を出て約三十分、すでにゴブリンを五匹は倒している。


「なんだかゴブリン多くないですか?」

「やめて、声に出すと絶対フラグになるから」

「もう遅いと思いますけど、前方に三匹来ました」


 アリシアがそう言うと同時に、スリングショットを構え石を放つ。

 何事も無かったように魔石を回収して歩き出す。ペルはアリシアと手を繋いで歩いている。髪と瞳の色こそ違うもの、見た目は似ているのでパッと見仲の良い姉妹にしか見えない。

 訓練も兼ねて戦闘はすべて俺がしているため、ペルとは手を繋いでいない。ペルは少し寂しそうにしていたが、アリシアが構い倒しているので、今は嬉しそうに笑っている。

 ペルは話そうとしないので、発声することが出来ないのかと思ったがそうではないらしい。覚えれば話せるみたいだが、何故かそうしない。未だに謎に包まれている。


「さて、そろそろフォレストウルフが出てきた所に着くな」

「そうですね。でも、今回は何が来ようとも大丈夫だと思います。その武器もペルちゃんもいますから」

「だな」


 そうは言いつつやはり不安はぬぐえない。

 しかし、いくらたってもなにも出てこない。


「やっぱり前回が異常だっただけですよ」

「そうみたいだな」


 気が抜けたその瞬間。今までに感じたことない程の悪寒を感じた。

 という事もなく、そのまま歩き出す一同。

 それから二十分程して森の切れ目が見えてきた。


「ついに森を抜けますよ!」

「やっとか!」


 森を抜けて最初に目に入ったものは、立派な壁だった。


「あの壁の中が街?」

「そうですよ。あの壁が森から出てくる魔物の進行を防いでくれるんです。まぁ、今ままで壁まで来た魔物はいないそうですが」

「そうなんだ。もっと森に近いのかと思ってた。結構距離あるんだね」


 詳しくは分からないが森から徒歩二、三十分といったところだろう。


「なあ、アリシア。今さらだけど、身分証みたいな物は必要ないのか?」

「あ」

「・・・・・・アリシア」

「すいません。でも仮の身分証を発行してもらえるので大丈夫ですよ」

「それってお金取られるんじゃないの?」

「そのくらい出します」

「ありがとう。すぐ返すから」

「別に大丈夫ですけど、そういえばスライムゼリー売ればいいだけでしたね」


 そんなこんなで街の門に着く。門の前には一台の馬車が留まっていた。その御者と思われる人物が門番になにかカードのようなものを見せている。


「あれが身分証?」

「そうですね。ただあれは貴族の方のようですね」

「なんで分かるの?」

「身分等で身分証の形も変わるんですよ。ちなみに私達冒険者は、冒険者プレートと呼ばれる鉄製のプレートをつけています」


 そう言って首に掛けているプレートを見せてくるアリシア。普段は服の中に入れているらしく、取り出す動作にドキッとしたのは内緒だ。


「なるほど、その冒険者プレートに種類はあるの?」

「いえ、ありません。プレートはこの一種類のみです」

「ランクとかないの?」

「話を聞くに、昔はあったらしいですけど今はありません。何十年も前に廃止されたそうです」

「そんなもんなのかね」


 アリシアと話をしていると、前の貴族が入っていったらしくついに自分達の番になった。


「? 身分証をお願いします」


 門番は俺の格好を見て一瞬不思議そうな顔をしたが、そこはプロ。すぐに切り替えて本来の仕事に取り掛かった。

 門番は兜こそ着けていないが、金属の鎧を着て、腰には剣を装備している。金髪のイケメンである。


「すいません。私は持っているんですが、この二人は無くしてしまったみたいなので、仮の身分証の発行をお願いできますか?」

「そうなんですか、分かりました。その前に一度検査にご協力お願いします」


 そう言い門番は両手に収まる位の大きさの水晶を取り出した。


(犯罪歴などを調べるだけです。水晶に手をかざしてください)


 アリシアに耳打ちをされ、言う通りに手をかざした。特に反応はなく。門番からOKがでた。

 次はペルの番だ。もしなにかあれば最悪逃げるために、軽く身構える。しかし、ペルも特になにもなくOKがでた。


「ありがとうございます。これが仮の身分証です。二枚で銀貨二枚になります。一週間以内に正式な身分証を持ってきていただければ、この銀貨は返却させていただきます」

「分かりました。ありがとうございます」


 そう言い残して門の中に入る。

 想像以上に立派な街並み。通路も石で舗装されている。道の脇にはいろいろな店が並んでいて活気に満ちている。


「これが街か」


 アリシアは街を見て感動している俺を、微笑ましそうに見ていた。

お読みいただき、ありがとうございました。


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