ペルとスライム
更新遅くなって申し訳ございません。
SteamでGTAがセールしてたから購入したところ完全にハマりました。
今後は遅れないように頑張ります。
アリシアと話していると、森の方からペルが帰ってくる気配を感じた。
「お、ペル達が帰ってきたみたいだ」
「分かるんですか?」
「ああ、何となくな。これが愛ってやつかな」
「・・・・・・いいなぁ」
「ん? なんか言った?」
「いえ、特に」
「そう?」
そしてペル達が小屋の目の前に来たので、俺は扉を開けた。
「おかえりペル。それとべ、ビー?」
扉を開けて目にしたのは、いつもと変わらないペルと五人のベビー達だった。
「めっちゃ増えてるー!」
「本当ですね。とても可愛いです」
俺が、増えたベビー達に驚いていると、ペルを含め全員が俺に飛びかかって来た。
勢いに負け倒れたが、ペルが触手でクッションを作ってくれ、痛みは無かった。
「みんな心配掛けてごめんな」
ペル達は嬉しそうに俺に張り付いてくる。
考えてみて欲しい。バスケットボール位の大きさのスライムが六人、体にくっ付いているのだ。そう、体のほぼ全てスライムに覆われている。控えめに言って天国だろう。
「ここが天国だったか。ありがとう」
「帰ってきて下さい」
「アリシア、何故俺の幸せを奪おうとするのか。俺はこのまま死んでもいい!」
「馬鹿なこと言ってないで、目を覚ましてください」
「目なら覚めている」
「はぁ、どうしてペルさん絡みだとこんな馬鹿になるんですか」
アリシアが何か言っているが聞こえない。今の俺の脳はスライムでいっぱいなのだ。
「ほらペルさん達も、そのままだとシュウさんが一生馬鹿になるので離れて下さい」
アリシアの言葉で離れていくペル達。
「な、なぜ。くっ、これが絶望か。おお、ディストピアよ」
「・・・・・・」
アリシアの目がすごく冷たい。そんな見つめるなよ、照れちゃうだろ。アリシアの目からハイライトが消えたので、これ以上は辞めておこう。
「アリシア、気になってたことがあるんだが、この世界のステータスの数値の差は絶対なのか?」
「どういう事ですか?」
「いや、フォレストウルフの時にさ、そんな差は無かったのに攻撃は当たらないし、ベビーは一撃で殺されたし、おかしいと思って」
「確かにおかしいですね。相性の有利不利はありますが、ベビーさんがたった一発で倒されたのは納得出来ません。何かあるのかも知れませんね」
「これは魔王の陰謀か?」
「・・・・・・何言ってるんですか」
「そこはスルーしといて」
しかし、本当になんなのだろうか、今後も続くかもしれないとなると、軽率な行動が出来ない。
無理にでも街に行くか、それともしばらくここにいるか。
「何を悩んでいるんですか?」
「ああ、これからの事を少しね。街に行くか、留まるか」
「街に行くんじゃ無いんですか?」
「今回みたいな事が無いとも限らないし」
「そうかも知れませんが、大丈夫だと思いますよ」
「その自信はどこから来るのか」
「ペルさん達がいますから」
「うっ、考えないようにしてたのに」
ペル達が帰ってきてから、ずっと感じていた。ペル達の存在感が圧倒的になっている。フォレストウルフの時にすら感じなかったものだ。
「ステータス見るのが怖いんだよね」
「まあ、分かります。味方じゃ無かったら即逃げてます。確実に逃げ切れませんが」
「確認しない事には始まらないよなぁ」
ペル(エンシェントスライム) LV3
HP 1100/1100
MP 1100/1100
攻撃力 110
守備力 110
素早さ 110
賢さ 110
ペルベビー(エンシェントスライム)×5 LV3
HP 1050/1050
MP 1050/1050
攻撃力 105
守備力 105
素早さ 105
賢さ 105
「おぉぅ」
赤色でも無いのに、俺の三倍強い。
この三日でどれだけ魔物を倒したのか。いつの間にかエンシェントスライムに進化している。
確認したステータスをアリシアに伝える。
「うわぁ、中層でも余裕で勝てる強さですね」
「中層?」
「魔物の領域ですが、大まかに表層、中層、深層に分かれているんです。目に見える境界は有りませんが、一定のラインを超えると急に魔物が強くなるんです」
「それで、その中層で余裕の強さか。ちなみにフォレストウルフは?」
「ギリギリ中層です。中層に入った冒険者が初めに戦う魔物と言われている位ですから」
「なるほど、確かにこのステータスなら余裕だな。しかし、ここで問題が出てきた」
「問題ですか?」
「このステータスとこの数で素直に街に入れてもらえるか」
「・・・・・・」
「黙らないでくれよ・・・・・・」
「すみません」
アリシアと初めて会った時、テイマーを知らないと言った。つまり魔物を連れてる俺を見て、敵と判断される事もあるだろう。
どうしたものかと悩んでいると、視界の端でベビー達五人が集まって何かをしているのが見えた。
ベビー達はそのまま合体して、ペルより少し大きいスライムになった。そして今度は細長く体を伸ばして、数秒後には一振の水色の剣になっていた。
「マジかよ・・・・・・」
驚きすぎて言葉を失っていると、今度はペルが縦に伸びたかと思うと人型になった。
人型と言うより、水色の髪に水色の瞳をした小さいアリシアだった。年齢的には5、6歳といったところだろう。
ペルが人になった事で驚いている俺は、ひとつのミスを犯す。
「見ちゃダメですーーーっ!!」
「目がーー!」
そう、ペルは服を着ていなかったのだ。
裸の幼いアリシアを見ている状態だった俺に、アリシアの水平チョップが襲う。
目にクリーンヒットをくらい悶絶している俺をよそに、ペルに服も作るよう説得するアリシア。
目が回復した頃には、水色のワンピースを着たペルがいた。
「似合ってるぞペル」
俺がそう言うと、ペルは嬉しそうに抱きついてきた。
言葉にすれば普通だが、見た目は幼女を抱きしめる24の男。完全にヤバいやつである。逮捕間近だろう。
「シュウさん、今の姿」
「何も言うな」
「完全に変質者ですよ」
「えっ? 今言うなって言ったよね?」
「衛兵に突き出すレベルです」
「アリシア? どうした?」
「何でもありません」
アリシアの目が人を殺せるレベルになる。
何故そこまで睨まれるのか分からない。
どうすればいいか分からない俺と、嬉しそうに俺に抱き着くペル。それを殺人者の目で見るアリシア。
なんだこのカオス。
読んでいただき、有難うございます。
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