伝承とスライム
アリシアと話していて、ふと気になった事を聞いてみた。
「そういえば、あのフォレストウルフはどうやって倒したんだ?」
「覚えていないんですか?」
「うん」
「ちなみに、どこまで覚えていますか?」
「フォレストウルフに殺されそうになったところかな」
「・・・・・・ベビーさんが一人殺されたのは?」
「ベビーが? ・・・・・・あぁ、思い出したよ」
「あの後、シュウさんが叫んだと思ったら、次の瞬間には少し離れた場所で、気絶して倒れているシュウさんと、切り刻まれたフォレストウルフの死体がありました」
「まじかよ」
「恐らくスキルによるものだと思いますけど、心当たりは有りませんか?」
「めっちゃある」
もしかしなくても、例の文字化けスキルだろう。ここにきて出てくるとは、思ってもみなかった。
「どんなスキル何ですか?」
「それが、名前読めなくて分からないんだよね」
「名前が読めない!? 本当ですか!?」
「本当だけど、どうしたの急に」
「あ、いえすみません。名前が読めないスキルと聞いて驚いてしまいました」
「なんかあるの?」
「物語で有るんですよ。・・・・・・100年前魔王が生まれた。それと同時期に伝説の勇者が現れる。勇者は名前の読むことが叶わぬスキルを複数持ち、その力で始まりの魔王を討ち英雄となった。・・・・・・短いですが、有名な話です」
「なるほど、だから俺がそのスキルを持っていて驚いたと」
まさかあのスキルが、そんな有名なものだとは思わなかった。
無理やり取らされた覚えしか無いから、何も感じないけど。
むしろ、ありがた迷惑でしかない。
「あまり嬉しそうではないですね」
「実際嬉しくないからね」
「どうしてですか? 勇者になれるかも知れませんよ?」
「俺はペル達と静かに暮らせればそれでいいから」
「あぁ、その光景が目に浮かびます」
少し遠い目をしてこちらを見てくる。
気まづい、話題を逸らそう。
「そういえば、アリシアのステータスはどんなんだ?」
「シュウさんも見せてくれるなら見せますよ」
「ステータスって他人に見せれるの?」
「はい。見せたいと思えば相手に見れるようになります」
「なるほど、やってみるか」
名前 シュウ LV9
職業 テイマー
HP 420/420
MP 210/210
攻撃力 34
守備力 36
素早さ 36
賢さ 34
スキル
鑑定LV4 言語理解LV- 守備力上昇LV1 素早さ上昇LV1 体術LV2 ⬛⬛LV3 生活魔法LV3
SP 1
名前 アリシア LV15
職業 魔法使い
HP 350/350
MP 660/660
攻撃力 24
守備力 24
素早さ 38
賢さ 66
スキル
回復魔法LV5 氷魔法LV3 集中LV2 生活魔法LV6
SP 0
「これが伝説のスキルなんですね。本当に何も読めません」
「だろ、意味わからないんだよ。気絶してる間に勝手にレベル上がってるし」
「そうなんですか?」
「ああ、元々はレベル1だったんだけど、今見たらレベル3になってた」
「スキル自体も特別なんですね」
「勝手に成長するスキルとか恐怖なんだけど」
「まあ、いいじゃないですか。おかげで生き残れた訳ですし」
「まあ、そうだな一応感謝しとくか」
ありがとーございました!
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