波に揺られて世界を制す
拙い文章ではありますが、何卒ご一読頂きますようお願い致します!
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よろしくお願い致します!!
「うーん。なかなかいないわね。せっかくの異世界ライフだって言うのに勇気のない人ばかりね。」
コンコン、コンコン。
「アーシャ様、今週天に召される方々のリストの追加をお持ちいたしました。」
「ありがとう。早速見るわ。」
「……東山海人、18歳。3日後に交通事故で死亡。両親は小学生の頃に他界、その後は両親の親友のもとで育てられる、か。剣道部で気骨もありそうだし、頭も悪くない。親代わりの人や影響で会社経営や商売に興味があり、来年春から商学部の有名な大学に進学予定か。
悪くないわね。この子に掛け合ってみましょうか。さて、3日後か。……おめかししなきゃだわ!」
「海人くーん!久しぶり。会えなくて寂しかったんだからー!」
私立海南高校3年1組に登校した東山海人は週明けの恒例とも言っていい、熱烈な歓迎をうけている。
男からのハグという歓迎を。
「や、やめろ!誤解されるだろ!達郎、お前のことは嫌いじゃないが俺にそっちの趣味はない。」
海人は周囲の冷ややかな目線を感じながら抱きついてきた友人、井出達郎を振りほどく。
「ははっ。冗談だよ。毎週月曜日の恒例行事だろ。怒るなよ。俺は知ってるぞ、海人が無類の女好きってことは。」
「まぁな。当たり前だろ。女は好きに決まってる。ってその言い方もちょっと語弊があるだろ。」
慌てて訂正する海人だが、クラスの半分を占める女子たちの目線は冷たい。
「朝からいいもの見させてもらったよ。あたしは!もう続きはないの?」
口元をニヤつかせながら海人と達郎の間に女生徒、浜崎沙耶が入る。
身長は海人より頭2つ分は低く、150センチ程度と思われる。
「おいおい、さやまで何言ってるんだ。勘弁してくれよ。」
「ところで、明日は祝日で休みだけど海人はなにするんだ?」
未だ始業のチャイムは鳴らず時間を持て余している3人は海人の席に集まり、会話をする。
「明日はおじさんの会社の手伝いしようかと思ってるよ」
「会社の手伝い?もうサラリーマンみたいなことしてんのかよ。海人真面目すぎ、たまにはさやとデートでもしてこいよ。」
「ちょ、ちょっとなんで私が出てくるのよっ。でも、海人この前も手伝いしてなかった?色々あるのは分かるけどそんなに気を使わなくてもいいんじゃない?……か、買い物とか私でよかったらいつでも付き合うよ?」
達郎の冗談に顔を赤らめつつ、さやが呟く。
「ありがとう。でも、本当に好きで手伝ってるんだよ。おじさんの会社って凄いんだぜ、大きな世界地図が貼ってあって会社の拠点が赤く塗られてるんだけどそれが世界中にあって、世界と日本を繋げてるって感じがして!」
海人は興奮しつつ、まるで知らないおとぎ話の世界にはしゃぐ子どものように話をする。
「真面目だなぁ。でもいいんじゃないか?それでいいなら。また明日のことは明後日学校で聞かせてくれよ。俺も明日は家の手伝いで忙しいから。ごめんな、さや、遊んでやれなくて。」
「そっか、なら楽しんでね!私達ももうすぐ卒業するし、そのための進路も決めなきゃだもんね。……あと、誰も達郎と遊ぼうなんて思ってないから大丈夫。」
「さや冷たい!!」
3人はここまで話すとお互いの顔を見て笑い出し、それと同時に始業を知らせるチャイムが学校に鳴り響いた。