《1》〜始まりの物語〜
〜1章〜 第1,《消滅》
この村が襲われたのは突然のことだった。
ある日の夜のこと、たくさんの″竜″が村に現れ、火を吹き、家や人、全てを燃やし尽くし、村を無に変えた。
村人たちが魔法や異能を使い戦った。だが力の差がありすぎていた。所詮は村人。″竜″には敵わない。
そして人は燃え、塵と化し、僕の両親も死んでしまった。
11歳の僕は村人達に地下に閉じ込められ、運良く見つからずに助かった。
だが閉じ込められる直前、僕はこの目ではっきりと見た。″竜″が全てじゃない。″竜″には騎士がいた。
今でもはっきりと覚えている。黒色の鎧、黒色の両手剣。少し紫色も交えた黒の兜。
僕は今でも恨んでいる。その″竜騎士″に。
両親がいなくなり、僕は親の知り合いと暮らすことになった。
突然起きたこの悲劇。
僕は必ず、復讐する。
第2,《12歳》
ある日の朝。
リク「ねぇねぇ、ムーおじさん!!」
僕はわくわくした気持ちでムーおじさんに話しかける。
ムー「どうしたんだいリク?」
リク「今日は僕の12歳の誕生日だよね!!?」
そう。僕の12歳の誕生日。
僕はこの日が待ち遠しくてうきうきしていた。
この世界には変わった力がある。
それは魔法と異能である。
魔法は魔力を使い、特殊な力を使うこと。
異能とは突然自分に与えられる能力のこと。
しかし魔力は12歳にならないと与えられず蓄積がされない。つまり魔法が使えない。
そして異能は12歳になってから20歳になるまでの期間、いつくるかわからない能力である。そしてどんな能力かも全てわからない。人は神に与えられし力、通称、神与特性
ムー「そうか、リクは魔力が楽しみなんじゃな?」
リク「うん!魔法を使って最強になるんだ!」
ムー「でも修行しないと魔法は使えぬ。そして魔力も 溜まらず魔法と少ししか使えんからなぁ」
リク「だいじょーぶ!僕は強くなるんだ!」
そう、強くなる、。強くならないとダメなんだ。
ムー「そうかそうか、お前さんが強くなるのをわしも楽しみに待っておるぞ!」
リク「うん!」
魔力。それは誰もが認める生物にとっての最高峰の力。
異能。それは憧れ、希望、覚醒。夢の力。
ムー「さっそくじゃがリクよ、体の力を抜き、集中してみなさい」
リク「あ、うん!こう、かな?」
僕は大体こんな感じと身振り手振り、ムーおじさんの真似をした。
ムー「それでもって体の奥底からエネルギーが出てくるイメージを持つのじゃ」
リク「こ、こう、??」
ムー「そしてそれを外へ出すようにイメージして一気に体から出す!」
リク「こう、、!!」
僕は全てを放つイメージで力を入れた。
・・・・・
何も起こらず静まった。
リク「なにも起こらないじゃん!!」
ムー「まだ魔力が体から出てないってことじゃ」
リク「これで本当に魔法使えるの!!?」
ムー「うむ。これで出てきた魔法によって、お主の主力の魔法が決まるんじゃ、火や氷や風やら。たくさんあるのじゃ。」
リク「じゃあムーおじさん!見てて!僕頑張るから!」
ムー「うむ、頑張りなさい。」
~2時間後~
リク「やっぱりなにもでない!!」
ムー「そんなことはない、練習あるのみじゃ。」
リク「よーし!いくぞ、、!体からエネルギーを出すイメージで、、。はぁぁ!!!」
.....ビリッ...
ムー「見えた、、!」
リク「え、なにが?」
僕は急に見えたと言われ戸惑った。
ムー「リクには見えんかったかな?」
リク「何も見えなかったよ?」
ムー「お前さんの手から今、黒色の電気が見えたぞ、、。?」
リク「黒い電気、、?それが僕の力、!」
ムー「そうじゃよ、もっとたくさん練習してみるといい。」
リク「うん!これから頑張るよ!!!!」
ムー「(黒い電気じゃと、??わしですら始めて見おったわ、。)」
ここから僕の魔法修行が始まった。
全ては復讐のため、″竜騎士″を討つため。
突然目覚めた魔力と共に。
第3,《出会い》
リク「はぁぁ、疲れたぁ!魔力の修行は一旦やめよう、、。」
僕はあれから、ずっと魔力を自由に扱えるようになるため、日々練習をしていた。
そんなある日のことだった。
???「少年、君は12歳を超えた若者か。魔法使いにでもなりたいのか、、?」
突然見知らぬおじさんが話しかけてきた。
リク「おじさんは誰?」
少し汚れたローブ。フードでよく顔見えない。
???「私はミルマ、君は魔力を使って何を目指している?」
リク「強くなりたいんだ。」
ミルマ「それはなぜだ?」
僕は威圧をかけながら問われた。
リク「復讐、、。両親を殺された恨みを。」
ミルマ「少年、私と共に来ないか?」
リク「え、、、。?」
ミルマ「こんな格好をしているから分かると思うが、実は旅人をやっている。私でよければ魔力を教えようぞ、」
リク「どうして僕を?」
当然ながら思う疑問だ。
ミルマ「復讐、か。少年、君は若い。分からないことが多すぎる。この世界のことを。」
リク「わからないこと、?」
ミルマ「うむ。そして復讐、私もこの旅をしている意味は復讐にある。だから共に来い。」
突然の誘いに戸惑った。
この人は何に復讐を?
どうしてそこまでして僕を?
この世界のわからないこと?
リク「とりあえずミルマさん!僕の家にきてお話をしよう!!」
ミルマ「ふむ。分かった。」
~家~
リク「ムーおじさーん!!」
ムー「ん、リクか、。そちらさんは?」
リク「旅人のミルマさんだよ!」
ミルマ「どうも、はじめまして。旅人のミルマというものです。この少年の魔力についてなのですが、私と一緒に旅に来てもらいたいのですが、」
ムー「旅、、ですか」
リク「旅と一緒に魔力の修行もしてくれるんだって!」
ミルマ「聞きました。復讐のための力がほしい。強くなりたいと。」
ムー「ふむ。わしからは何も言わんとも。リクの歩む道は自分で決めなさい。ただミルマさん、あんたに一つ頼むぞ。」
ミルマ「はいなんでしょうか。」
ムー「リクをよろしく頼むぞ。」
ミルマ「分かってます。」
リク「やったぁ!ミルマさん、よろしくお願いします!」
そうして旅に出ることになった
魔力の修行の長い旅がこれから始まるのだ。
ミルマ「早速だが、もう旅に出たい。夕方までにある程度、都市に向かいたい。」
リク「うん、わかった!都市って都市ゼルセトのことだよね?」
ミルマ「あぁ、そうだとも。そこに馴染みの人物がいる。そいつに会う予定だ。」
リク「わかった!じゃあ、ムーおじさん!行ってくるね!!」
ムー「うむ。強くなって帰ってくるのじゃよ。」
荷物をまとめ、出発の準備をした後、
僕は笑顔で手を振り、家を後にした。
これから12歳の僕と旅人ミルマの長い長い物語が始まろうとしていた。