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挑むのはゴブリンを超えてトロールです。

一年ぶりぐらい笑


 影釣りってのがなんなのか全くわかりはしないが、とにかく僕のレベルが上がったのは明白。なんだか、体が軽くなった感覚もあるし、そろそろ次のステップに行っていいのではないかと思う。

 そう、ゴブリンを超えた敵を倒すのだ。その名もトロール。いや、名前なんてものは表示されないので見た目的な判断で名前付けを行なっているけども、たしかにトロールっぽいのがいたのだ。

 そいつは一匹で、なんとゴブリン五体を瞬殺させたのだ。遠目だけれど、僕は見据えていた。その力は圧倒的である。けれど、今の僕はレベルも上がり、素早さもなかなかなものだ。見た感じトロールの動きはそこそこ遅いし、避けては切る、避けては切るを繰り返せばなんとか倒せるのではないかと踏んでいる。

 そうと決まれば、まずは装備を探さないといけない。この前死んで全ての装備が消えたからな。

 まずはゴブリンを倒して、武器を手にいる。たまにだが、ゴブリンを倒すと短剣がドロップするのだ。どんな原理かは知らないけど。家から持参する包丁よりかはマシである。

 というわけで、包丁を一本持って、森の中にあるいつもの洞窟へと赴く。

 奥へ行くと、いつもの扉。さぁ、冒険の始まりだ。


 さて、森の中をさまようと早速ゴブリンを見つけた。数は三匹で何か雑談している。

 僕は臆することなく、その三匹のところへ俊敏に行き、的確に一匹の首を切った。ここで一匹目は倒せたのか煙のように消えるが、アイテムは落ちてなかった。残念と思いながらも、前方にあるゴブリンは自前の石器ナイフみたいな物を僕に投げつけるが、それをすぐに避け、その心臓を突き刺した。ドロンと消えるが、アイテムは落ちない。僕はすぐに最後の標的に包丁を投げつけ、脳天を刺し倒すけれど、やはりアイテムは手に入らなかった。

 というか、ここ最近本当に成長したと思う。こんなに綺麗な手際で戦うことができるんだ。成長を感じ、僕はほくほくする。

 というわけで、この調子で目的の短剣を貰えるまでに十数匹目を倒した時のこと。

 レベルが1上がるともに、ようやくゴブリンが短剣を落としたのだ。スンゲー嬉しい。欲を言えば防具も欲しかったが、あの時見つけたような宝箱もなく、ドロップする気配はないので、防具はなしで挑まないといけないのは少々心残りだ。

 しかし、僕も男。あの少女たちにみじめな姿を晒したけれど腐っても男なのだ。東雲が女だってことはいまだに衝撃だが、(あの異能っぽいのも衝撃だが)あの時みたいに何をされるのかわかった物ではないので、関わることは避けようと思っている。怖いし。

 まぁ、よい。準備は整った。あとは戦うだけだ。

 僕はこの前トロールを発見した場所へと向かった。そいつは、何か城跡みたいなところを根城にしていて、いつも寝ているか、なんか肉を焼いてくっている。人間のように防具も着ているので、生肌をさらけ出しているところを狙うしかない。まぁ、まずは先制攻撃として奴が寝ている時を見計らう。

 僕は身をかがめ、様子を見る。外にはいないので狩りに出ているか、いつもの寝床で寝ているはずだ。物音を立てずに、そこをうかがうと、大きないびきをならし、藁の上に横たわっているトロールを発見した。

 やりー、と思いながらも僕はことさら慎重に奴の首筋に向かう。できれば即死をめざして喉をかっきりたい。

 僕はその一心で、奴の首筋を切った。


「ぎゅうんyが!?!?」


 そんな声を上げるが、即死までとはいかずその痛みにいきなり暴れ出す。僕は瞬時にその場を離れ、剣を構える。見境もなく暴れるトロールのせいで、壁がいくらか破壊されている。

 僕はこの混乱時を狙い、露出している脇腹を刺し、険を引き抜く。この世界ではモンスターの血は出ない。そのおかげで戦うのを否定感なしにできるが、そのせいで一体どれくらいのダメージが入っているのかはよくわからない。

 すかさずもう一度刺そうと思ったが、僕の存在を認知したトロールはその大きい拳で殴ろうとする。これに当たればひとたまりもない。この攻撃をよけるため、僕は体制を崩しながらも後方へ飛んだ。


「あ、やべ」


 奴は突進する気なのかこちらへ走り出した。


「ギュウガああああああああああああああ!!!」

 

 その雄叫びと迫力に僕の体の中にある生存本能に駆り立てされ、僕は不格好ながらもこの寝床を出た。

 トロールはそんなことお構いなしに突進し、炸裂音を出しながらも寝床を半壊させた。


「ギュRRRRRRRRRRRアア!!!!!!」


 非常に怒っているのか、そんな怒号を腹一杯吐き出す

 奴が走ってこちらに来る。まずは右手で大ぶり。次いで前に飛んで僕を踏み潰そうとする。僕はそれらをすべてよけ、とんだ後のトロールの隙をみて刹那その脇腹に険を振るう。今度は反対の脇腹だ。苦悶の表情になるトロール。連撃としてそのぶっとい腕を切り裂こうとするが。贅肉ぜいにくだらけの腹とは違い、筋肉のある腕は切り裂くことはおろか五分の一も剣は進まなかった。さすが攻撃力26の僕だ。


「!?」


 ここで非常事態発生だ。剣が抜けない。どんだけ非力なんだよ僕。

 ここでぞっとする。トロールが仰向けに倒れていながらも僕を見据えていた。そして剣の刺さった腕を思いっきり振った。一瞬何が起きたのか理解できなかった。視界が空を見ていたのだ。先ほどまでトロールを見ていたのに。

 次に来たのは息もできないほどの衝撃だった。

 地面を何度も転がり、ようやく吹き飛ばされたのだと理解した。すんげーいてー。七、八メートルくらい吹き飛んだ。

 けれど、痛みに嘆くばかりもいられない。剣が突き刺さりながらも立ち上がったいた。僕も立ち上がる。


 これは撤退した方がいいか? いや、トロールもなかなかのダメージなのかよろめいていた。撃破するなら、今だ。

 そのためには先ず剣を取り戻さないといけない。僕はすぐに頭の中でどう取り戻すかイメージをする。

 奴の攻撃は至ってシンプルで、しかも大ぶりだ。さっきのように隙も生まれる。左腕に剣は刺さっているので、左拳の攻撃を誘う。そのために左腕側よりに奴に近づく。だが残念。奴は右腕で殴りかかった。チャウやろと思いながらも避ける。そして奴はすかさず左拳の大ぶりで僕に殴りかかったきた。それは地面に激突して、砂煙を立ちこめていた。

 今だ!

 僕は剣にめがけ勢いよく飛んだ。柄をにぎり、自重を乗せ思いっきり引っこ抜く。すると剣はずるりと抜ける。


「うっしゃッ!」


 が、喜ぶのもつかの間。右拳が僕の眼前に迫ろうとしていた。いやにスローに見える。これが走馬灯なのか。いやにゆっくりだ。死ぬのか? 

 いやいや、ここまで来たんだから、なんとか倒したいだろ。

 それは本当に、感覚だった。なぜかできると確信した。

 僕はそれをつぶやく。


「影釣り」


 視界を奴の拳から、足下に変え言う。

 と、奴の影が足首に伸び、絡みつき引っ張る。

 すると奴は仰向けに転けだし、拳の起動ががずれたのか頬にかすれ当たる。よほどの勢いなのか、切り傷ができてしまったがたいした傷は負わずにすんだ。

 そしてこの隙を逃すわけがない。僕はその隙だらけの横腹を切り裂く。


 こつをつかんでしまえば影釣りをするのは楽勝だった。


 この影釣りと剣撃(w)を駆使して、数十分の死闘を繰り広げようやく、


「倒せた」


 息はキレキレになりながらも、動かなくなったトロールを目前にする。その動かなくなったトロールがボフンと消えると、ようやくだけど達成感が湧き出した。


「よっしっ...!」


 と、ここで頭の中で声が響きだした。


『レベルアップ』『レベルが10になりました《影スキル、影針》取得』


 うおお、ここにきて新技ゲット。大敵を倒した後の入手だから喜びが大きい。ちょっとステータスを確認してみよう。


「ステータス」



《二色 色》レベル10 職業、影二段。




体力26


魔力45


攻撃力15


防御力22


知力57《注、知能ではない。魔法効率の高低である》


速さ52


精神力13+2




《影釣り》影を使い対象を引っ張ることができる。



《影針》影を使い対象を幾重もの長針で串刺すことができる。



《死への干渉》効果、精神力が2上がる。




《不屈の魂》効果、精神異常を低い確率で回避。




《主の狩人》効果、よわい魔物が寄らなくなる。


 いや攻撃力上がってないんかい。伸びしろゼロ。なんか悔しいが注目すべきは影針だ。なかなか使えそうで、気分が高揚する。スキルの使い方のコツも覚えたし、少し試してみるか。

 僕はすぐ近くのでかい岩を発見した。いい感じに影も伸びている。


「陰針」


 刹那、影から無数の細い針みたいなのが岩をくしさし、破壊させた。


「つんよ」


 あまりの強力さに語彙力を失った。



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