表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

ゲームみたい

 

「きりーつ れい ちゃくせきー」


  やる気のないクラス委員の号令とともにホームルームは始まった。

  今日は夏休みの途中にあるあの忌まわしき平和授業だ。まぁ、過去の悲劇を学ぶということがまぁまぁ大切だということはわかるが、夏休みの途中にあるのはなかなか荷やっかいなものである。

 

  やがて朝のホームルームは終わりを迎え、少しの時間の休み時間へと入った。

  僕はおもむろに机に突っ伏す。これ以外やる事ないからな。誰と話すでもないし、まず話す人いないし。

  早く終わらないか。学校にいるとき常に思うことである。

  ふと、その時突っ伏した時の隙間から見えるもう一人のボッチがいた。

  まぁ、彼は少し特殊なぼっちだ。イケメンでありながら、なぜか周りに向ける気性が荒く、口も悪いことが相まって近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

  まぁ、一番の彼をぼっちたらしめる理由はその金髪にあるのだろう。なんでもハーフらしい。モンゴロイドとコーカソイドの間の子だと。だから目鼻がくっきりとしているのだろう。

  クラス内のボッチは彼を含めこの僕とで二人。

  まぁ、彼はイケメンだ。ボッチという同族ではあるが、その本質がまるで違うし、まじリアルクソゲーである。あいつは影では女子にめっちゃ人気ある。対して僕は殆どの人に名前を覚えられてない。まじ、リアルクソゲー。





「きりーつ れい」


  委員長が言うと、一気にクラス内が忙しくなった。今からどこ行くー? とか、どこ遊び行くー? とか、カラオケいこーぜ! とか、プール行こうぜ! とか。まるで僕に関係ない話である。まぁ、いい。僕のこれからの予定は決まっている。ダンジョンの探索である。別に寂しくないもんね! と心の中で独りごちるが、自分でもキモいと思ったので今後一切こんなこと思わないようにしようと誓った。


  そそくさとこのクラスを後にし、目指すはダンジョン。そのための準備をしに家に行くのだった。




  が、その道中に、かのクラス内ぼっちが一人であるイケメンが高校生ぐらいの怖い系のにいちゃん達と取っ組み合いの喧嘩をしていた。イケメン一人に対して、3人である。はは、まじイケメンざまぁ。

  と、心中思うが、流石に看過はできない事案である。

  僕は息を大きく吸うと、頑張って大きな声で「おまんありサァーン!! こっちです!!」 と、喉がはち切れんばかり叫んだ。すると、その声にあたふたした高校生3人組は周りを見ずに「やべ」とか言って脱兎の如く逃げ出した。に対して、イケメンは嫌に冷静沈着である。周りに警察などいないと言う事を察知し、僕と目があった。

  うん。怖かったので、僕はすぐにダンジョンへと足を進めた。

  だって彼、めっちゃ睨むもん。目つき悪いもん。顔整ってるせいでなんかバイ怖いもん。チキンとおもわば笑え。その通りだから。


  と、一悶着あったが、額に汗しながらいつものダンジョンの祠である。

  家から持ってきた水筒。そして、祠には僕の装備を置いているので、それらを装着する。なんとこのいかにも冒険者ですよ感を出している防具は、ダンジョンの宝箱に入っていたものだ。一式入ってるとは思わなかった。お陰で冒険の進み具合の進展に役立っている。

 

  さて、冒険の始まりだ———————。





 

  やべぇ、本当にまじでミスった。はらわたから感じられる灼熱のような痛みに苛まれながらも、後悔が一入である。

  血がどばどばと出ている。

  本当にミスった。

  まさか、ドラゴンと出会うとはおもわないじゃん? 最悪だよ。火ふくとか聞いてねえよ。てかあいつらの爪鋭すぎんだろ。それにでかいし速い。どうやったらあんな巨躯な体であれぐらいの速度が出るんだ。

  もう、諦めも漂わせる。

 

「ゴッホっ…!」


  吐血をする。とにかく流血が酷すぎる。だと言うのに、真っ赤に反して空はとても青に澄んでいた。


 


  『ゲーム、オーバー。貴方の装備はここにドロップしてしまいました!』


『称号会得《死への干渉》を得ました。精神力が2上がります』


『チュートリアル。初めての死により、貴方に経験値15が入ります』


 《レベルアップ》


  最後に脳内でそんな声を聞いた気がした——————




 






 

 







  目を開けば、ダンジョンの入り口。扉の前だった。むくりと上半身をあげ、周りを確かめる。次いで自身の傷を確かめる。が、傷なんてものはサラサラなかった。

  嫌にリアルだった、あの感触は今となっても忘れられない。

  まさか、ダンジョンで死んだら、リスポーンアリなのか。と言う事を考えた。

  が、流石に無償のリスポーンではないらしい。着ていた装備が全部なくなっていた。


  というか、死の間際に聞いた、あの脳内に響く声はなんだったのだろうか。死の干渉とか、初めての死とか、レベルアップとかとか、

  まさか、ステータスとか叫べば、ステータスが表示されるのかもな、とふと脳裏にそんな考えがよぎる。


「ステータス」


  ぼそりと呟いてみた。

  すると、目の前にプレートみたいなのが出てきた。それは多種の項目が列挙されていた。




 《二色 色》レベル2 無職


 体力15

 魔力30

 攻撃力10

 防御力12

 知力30《注、知能ではない。魔法効率の高低である》

 速さ20

 精神力10+2



 《不屈の魂》効果、精神異常を低い確率で回避。


 《死への干渉》効果、精神力が2上がる。



  なんなんだこれは。




 











 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ