地図を発見
昨日の出来事からおよそ1日が経っただろうか。あの事件は、表向きにはガス漏れが原因の爆発事故として新聞やニュースに取り上げられていた。
実際は、人外の力で普通っぽい人が暴れていたのが原因なのだが、これが協会の処理というものなのだろうか。
そうだとするならば、すごい。
あんなに大きな出来事だったのに、目撃者もいたろうに、完全に隠蔽している。
まぁ、触らぬ神に祟りなし。藪蛇だ。僕はそこまで深く探究しないことに心を決めた。
と、やはり勉強は家でするものだよな。家から出て勉強をすれば、昨日のようになるかもしれない。そうなってしまえば勉強などできない。やはり家でする勉強こそ至高なのだ。宿に題って書いて宿題だしな。
ということで今日は午前中いっぱいを宿題に費やした。中々の進みだ。これならばあと二、三回集中すれば終わるな。と、目処を立てていた。
さて、午後になるがもうやることは決まっている。
ダンジョン探索だ。
僕はすぐに母さんが用意してくれたご飯を書き込み、準備をして外に出る。
外はあいも変わらずかんかん照りで、セミの声は煩わしいが軽快な足取りでダンジョンに向かうのだった。
さて、ダンジョンに到着したのだが、一つだけ前までとは違うものがあった。それを洞窟を越える前に発見したのだ。正方形の古い紙でできているような地図。
こんなものが前にあったかと思い出してみるも、こんなものはなかったはずだ。
おそらくこの地図はダンジョンの地図なのだろう。だけれど、なんというかこの地図は未完成って感じだ。
空白が多すぎるのだ。まずは森の絵が下方に広がり、少し右に行けば砂漠が少々広がっている。その先はほとんど空白で、左側なんてほとんど空白だ、あと右上も。
まぁ持っておくか。
そう考え、僕はその地図を丸め腰に巻いているポーチに入れた。
今日やることは決まっている。あの砂漠へともう一度行くのだ。そして、もう少し奥を探検したいと思っている。
そいうわけで、僕はこの前に記していた印をたどり、砂漠へと赴くのだった。
出発してから、四時間ぐらい経っただろうか。僕はくたくたになりながらも、ダンジョン入り口まで戻ってきていた。
森を往復するのに二時間。砂漠の探索に二時間だ。はっきり言って、これと言った発見は砂漠ではなかった。倒したのは大さそり五体と、この前の恐竜みたいなやつ一匹だった。
恐竜は楽だった。あいつは凶暴性が高く、見つかれば即襲ってくるから、カウンターで闇霧を出せばすぐに倒せる。が、大さそりは違った。
あいつは結構ビビリな性分なのかもしれない。襲ってきそうだったから、闇霧を出したけれど警戒して下がったのだ。しかも、今回で気づいたのだが闇霧の霧は動かすことができるのだが、すこぶる遅いのだ。しかも動かすには結構神経も使う。
その合間にさそりは闇霧をくぐり抜けて、僕を襲ってくるのだ。だから、さそり相手には闇霧ではなくなんとか前みたいにして倒した。
しかも、これも発見なのだが大さそりって、危険と感知すると叫んで仲間を呼ぶなのだ。今回、三匹と同時相手することになり、えらい目にあってしまった。なんとか倒したけれど。ギリギリだった。
とまぁ、今回の成果はこれぐらいか。
それとレベルが一つ上がったので、確認してみようと思った。いつもはレベルが上がれば何か大体スキルをゲットできていたので、即ステータスを調べていたが、今回は何も得れなかったので、即調べることはしなかった。
今確認しておこう。
「ステータス」
例の如く、表がでる。
《二色 色》レベル16 職業、闇三段(中二病)。
体力42
魔力58
攻撃力19
防御力34
知力70《注、知能ではない。魔法効率の高低である》
速さ62
精神力14+2
《影釣り》影を使い対象を引っ張ることができる。
《影針》影を使い対象を幾重もの長針で串刺すことができる。
《闇霧》小規模の闇の霧を作り出し、対象へとその霧を当てることによってその霧内にある物を限界まで圧縮することができる。
《影渡り》影の中に入り移動することができる。影中にいるといえど自分のあるところの影を攻撃されればその攻撃は当たる。
《死への干渉》効果、精神力が2上がる。
《不屈の魂》効果、精神異常を低い確率で回避。
《主の狩人》効果、よわい魔物が寄らなくなる。
おお、諸々のステータスが上がっている。しかも攻撃力が2も上がってるではないか。
「驚いた...」
もう上がんないだと思ってたけど、嬉しすぎて声が自然と出てしまった。
まぁ、今日のダンジョン探検はこんなものかな、と帰ろうとした時、ふとあの地図のことを思い出した。
あんまり役立ちそうになかったな、と思いを馳せつつもポーチから取り出した。
「?」
地図を見て気づく。
異変、というか。追加、といえばいいのか。
砂漠のエリアが少し広がっていたのだ。
まさか、この地図は僕が行ったところが表示されるのか?
不思議ばかりのダンジョンだ。そういう地図があってもおかしくはない。
僕は追加されていた砂漠のところをなぞる。
その瞬間だった。辺りが発光し始めて、その発光が終わると思うと、景色が洞窟ではなくて、砂漠になっていた。
「は? え? んぅ?」
突然の出来事で少しうろたえる。どいうことなのか未だに理解できない。
僕は再度地図を見て、洞窟らへんをなぞった。
また、あたりは発光し始める。そして、発光が終わるかと思えば洞窟の前に来ていたのだ。
「....はは、まじか」
震える手で地図を持ちながら、僕は理解した。この地図はいわゆるポータルの役割を持っているのだ。ポータルというよりかはテレポートか。
いや、でも、これはまじで便利だ。
先程、空白ばかりであんまり使えないと思っていたけど前言撤回。
相当使えるアイテムを僕は手に入れてしまったのだ。
僕はその地図をマジマジ見ながら、静かに感動するのだった。
もう印要らずじゃん。
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