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これはとある闇の神秘を掴んだものの戯れ

初めて出るキャラの視点です。

混乱なさらないように。



 そいつは闇の魔導の神秘を目指していた。家柄が、闇の魔導を主柱としていたこともあるが、そいつはそれを誇りにしながら、目的の神秘を求めるため幾つもの試行や錯誤を積み重ねた。


 その道中、師と好敵手とも言える二人の存在と出会う。

 そいつと、そいつの好敵手ともいえる二人は師に習いながら、闇の覇道へと続いていた。


 しかし、その時は訪れる。


 師の死。


 それは唐突にも、残酷にも、殺したのはそいつの好敵手であった。


 いったい何を思って殺したのか、いったい何を考えその手をとったのか。若かりしそいつは、そんなことなぞ分からないまま黒く、また怨念にも似た感情をそいつの好敵手に向けたのだ。

 恨みはそいつの闇を一層と光らせた。


 そいつの好敵手を殺す。そいつはそれだけを考え生きるようになったのだ。


 だが、それは茨の道であった。


 そいつの好敵手は–––––いや、師の仇は一国の王であった。


 近づくことも困難。しかし師の仇は着々と王として、闇の魔道士としてより多くの力を得る。

 領土は地平線を描き、家臣は百戦錬磨となりて、王はまさに覇道に足をつけ始めるのだ。


 そいつは幾多の血を流しながら、確実に強さを求めた。魔導だけではない、剣の頂をも目指したのだ。


 それも全て、やつを殺すため。


 復讐とは私欲であり、私怨を多分に含んだ増教剤として、そいつを苛み続けるのだ。


 そして、好機は訪れた。  

 戦争が始まったのだ。王は、その戦争の地へと足を運ばなければならない。


 王は家臣や兵を前に並べ、堂々と本陣に居座るのだ。


 それはまさに総力戦となるはずだったのだろう。どちらの国も、兵を携え睨み合う。


 そんな真っ只中。


 そいつは真ん中に来たのだ。二国の兵の間に。


 そして、咆哮を上げ仇の元へ駆け抜けるのだ。剣を抜き、邪魔なものは切り捨てた。


 切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て 切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て 切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て 切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て 切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、切り捨て、


 切り捨てたのだ。


 慟哭を上げるかのように叫びながらも。

 

 そいつは真っ直ぐと進んだ。途中、強者もいたがそいつの闇の前では関係がなかった。

 

 返り血で、全身を染め、ようやくそいつは仇と対面した。

 双方何も言わずに剣を取る。





 首が飛んだのはそいつの仇であった。


 本当はこんな事をせずとも、静かに殺す事も出来たのだ。こんな多くの兵を殺さずにも。


 しかし、そいつの復讐心ではそれは治らないのだ。


 お前の用意したものは、全て無駄だったのだと。兵も、家臣も、国も、お前の闇の魔道や剣も。全て無駄だったのだと、奴に叩き付けたかったのだ。


 だからこの場を借りて殺した。

 

 やつは切られる直前笑っていたような気がした。


 そいつはその時に闇の神秘を少し見たのだ。




 そいつは殺すと同時に闇へと消えた。兵や家臣どもはただ呆然とするだけで、王を殺した不敬者を捕まえることは出来なかった。


 そいつはそれから、俗世に逃げるかのように山にこもった。


 もう一度、師が愛した、自分が愛した、そしてあいつも愛した闇の魔導を一人で淡々と突き詰めたのだ。


 何年。何十年。いや何百年。そいつは求めたのだろう。


 神秘を。


 そして、ようやっと神秘を掴めた時そいつは、あぁこんなものなのかと諦めるように、愛おしそうに、安堵したように、溜息をついたのだ。


 そうしてそれからそいつは、三全世界廻り、幾世紀をも超え、概念となって全てを彷徨った。


 辿り着いたのは、地球であった。それも極小の島国である日本の、また狭いどこかの森。


 そこには一人の彷徨う少年がいた。


 どこかその彷徨い方は自分と似ていて、微笑を漏らした事を覚えている。


 暇な時を幾らも過ごした。


 たまには、教えるのも面白いものなのかもしれないとかつての、もう顔さえも覚えていない師匠の顔を思い出しながら、そう思ったのだ。


 自分の全てを教えてやろう。


 そう思い、少年の心を見ると一つのゲーム、RPGの記憶があったのだ。


 あぁ、自分がこれと似た世界をオリジナルで作り出し、少年に彷徨わせよう。

 少年を導きながら、闇を教えながら、自ずと強くさせていこう。


 間違った方向に進むのならば、それもよし。その時は、自分が少年の前に出て直々に教えてやろう。


 年甲斐もなく、そいつはワクワクしていた。


 


 

   

   

   

 

 

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