ダンジョンを見つけた。
それはある日の、うだるような暑さが僕を憂鬱にさせる夏休みの昼の事であった。
猛暑日、僕はそれから逃げるために人知れず森の中へと涼しいところを探索しに行った。まぁ、いわゆるぼっちというやつなので、中学二年生の夏休みといえど例外なく一人だったのだ。
まぁ、そんな事をしていた日のことである。
僕はその日、ダンジョンを見つけた。いや、そもそもその場所をダンジョンと定義するのかよくは理解していないが、現実とはかけ離れたそのゲームじみたところをダンジョンと定義するしかない。
そこは洞窟につながっていて、重厚そうな扉の先にある世界だった。
そう、世界なのだ。青空が広がり、広大な広さの。
はじめ、ただ洞窟を抜けただけかと思っていた。だが、それは全くの見当違いだった。
重厚そうな扉をこえ、みる森はなぜか違和感があった。なんだか、吹く風の感覚が、日の光の感覚が、どこかおかしいと思ったのだ。
その感覚は勘違いなどではなかった。
戸惑いながらも進めた足。
その先にいたのは、スライム状の何かであった。プルンプルンとしていて、木漏れ日によってその半透明の体を貫かれていた。しかもそれがひとりでに動いている。
それが、この、ここに立っている世界が、僕がいる世界とは違うものだと言う事を如実に表していた。
その世界と出会った日から、僕の夏休みの過ごし方は決まったと言っても過言ではない。
この世界の探検である。
それに最近になって気づいた事なのだが、どうやらこのダンジョン? は現実世界とは時間の流れが違う。そもそも、このダンジョンの流れる時間は現実世界では止まっているも同然ということに気付いたのだ。
そんな事に気付いてから日がたち、僕はゴブリンを倒せる所まで来ていた。