第4話 A
-寮内-
何か物音が聞こえた気がして目を覚めるユーリ
起きるまでに夢を見ていた気がする
こことは別の世界であるかのようなリアリティが溢れている世界
そこで自分はユウタと呼ばれていた
家族4人でただ暮らし、退屈と思っていた日々
それでも必死に病気と闘い過ごす毎日
この世界へ飛ばされて病と向き合い散った生命
ユウタの遺体は向こうの世界で弔いを受け、魂となって彷徨っていた気がする
この世界へ導かれて、この世界でユーリ・ズィルアとして生を受けた。
それが"僕"であり"ユウタ"としての記憶も持ち合わせている
そして"何か"を忘れている気がする。
"何か"それは"誰か"なのかもしれない。一体誰を、忘れているのだろうか
鐘の音が3回鳴り響く。昼の刻を知らせる音だ。
「やべっ」と声を発し、急いで着替え学園へと向かった。
-学園-
授業が始まる前に教室へと入り、席に着く。
そして3科目の授業を終えて、実習するべく競技場へと移動した。
魔法の基礎はエルフの里で修練を積んで身にしみているが、今からやる実習は本格的な戦闘。
適当に2人1組へと分かれ、訓練を開始した。
数十分が経過した頃、ようやく実習訓練が終了を迎え生徒それぞれは帰宅した。
ユーリはまだ武器を馴染む事が出来ず、単独訓練を多少行い寮へと帰宅。
-寮内-
夜の刻を迎え、食事を済ませて自室へと戻ったのだが
共通部屋にユキの姿がない。まだ帰ってないのか。
ユキとは別のクラスなため、授業内容を把握していない。
それとも冒険者ギルドのカードを持っていると言っていたので、冒険でもしているのか。
20の刻が来ても帰る気配がないので
心配だが自分の身体を壊すわけにもいかないので先に就寝した。