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П1И
-聖域-
大きな影が複数存在する。
「早起きだな、クウン」
クウンと呼ばれた者は、ゆっくりと振り向く。
「待ちきれんのでな、お前さんこそどうしたのだグオル」
二人のドラゴンは会話をしている。
「追放されたレッドドラゴンの内の一体が人族によって敗れたようだぞ」
やはりかと頷くクウン
「このクウン・レットは来たるべき時に備えて魔力を蓄えなくてならんな」
おいおいと言い放つグオル。
「聖光竜であるならば、蓄えなくても十分な魔力があるのではないか?」
まだまだ足りないと答えたクウン。
何のためにクウンは魔力を蓄えるのか。そして来たるべき時とは。
「不穏な空気がやがて訪れようとしている」
もう一体の声が届く。
「暴雪竜ジア・レッヘル」
ジア・レッヘルと呼ばれたドラゴンはグオルを睨みつける。
三体の竜は談義を続けるのであった。
「いつか、来る時が…ね」とクウンは言った。