第2話 A
-道中-
ユーリと商人とディークは休憩がてらキャンプ地を作りテントを張っている。
夜真っ只中。
他愛もない話で盛り上がり、床に就く。
寝袋を借りてユーリは眠りにつく。
騒音で目を覚ましたユーリ。
朝だ。
そして、静かすぎる平野。
ユーリは商人とディークを起こし異変を伝える。
そして束の間、そこに巨大な影が訪れた。
「ドラゴンだ」
商人は呟いた。ディークは剣を抜き、ユーリは小杖を取り出した。
木で作られた杖だが、これでも魔力を込めれば立派な魔法の杖。
ユーリは援護に周り、ディークが前衛を務める。
追い払うだけで良いのだが、果たして追い払えるのか。
ディークは呪文を唱えながら接近し、発動と同時に斬撃を飛ばす。
ディークはどうやら魔法剣士のようだ。
下級魔法を唱えながら剣士と同じ事をする。
ユーリは中級の闇魔法を唱えて、ドラゴンを上空から地上へと縛り付けるように放つ。
「バインド!」
発声と同時に闇魔法"束縛"効果を発揮し、ドラゴンを縛り地上へと落とす。
ディークは急接近し、攻撃を繰り出す。
ドラゴンの鱗は硬く、とても斬撃では倒せない様子。
ユーリはディークの剣に対して魔法を唱え始める。
「エンチャント:リマインド・ブラスター」
エンチャント魔法の中でも多重により特性効果を倍以上に発揮させる魔法。
ディークは再び、ドラゴンに斬撃を繰り出す。
ユーリはエンチャント魔法に全力を注いだ結果、ディークの斬撃によりドラゴンは真っ二つに。
斬った本人は驚いている様子。これほどの火力を出させるユーリは一体何者なのか。
ディークはアイテム袋を取り出し、ドラゴンの亡骸を吸い込んだ。
いわゆる"アイテムボックス"の類だ。
ギルドで冒険者登録をしてシルバープレート以上にならないと入手できないとディークは言った。
アイテムボックスと言えど無尽蔵ではなく、ドラゴンの亡骸を入れただけで項目が全て埋まる。
【レッドドラゴンの鱗×99】【レッドドラゴンの牙×4】【レッドドラゴンの爪×12】
【レッドドラゴンの尾×1】【レッドドラゴンの心臓×1】【レッドドラゴンの眼×2】
これらをディークが読み上げたが、なんか生々しい。
他にもあるようだが、読み上げなくて良いと伝えた。
整理を整え学園都市デュランダルに向けて出発した。