第1話 A
ユーリは成人の儀を終え、自宅へと戻ると家族が抱きついてきた。
Sランクを果たし家族は貴族入りとなるのだ。それ以前に自分の子がA以上のランクに到達した事に対して凄く嬉しい気持ちだろうと。
ユーリは自宅へ帰る前に、エルフの里の長にブローチを手渡していた。
"覚えていますか"という言葉だけを伝えて。
祝杯が掲げられ、賑やかに過ごし
早朝、ユーリは身支度をし学園都市デュランダルを目指す事を家族に打ち明けた。
ポストに長から推薦状が届いていたのだ。
Aランク以上の者は受ける資格があるのだから、行くべきだと。
家族は反対していた、これは忌むべき存在だと思われてるのではないか。
長が幼き頃に叩き出したSランク以来の二人目の到達者。
それを恐れての学園都市への推薦状なのではと家族は疑っていた。
ユーリは憧れを抱いていたと打ち明け、学園都市デュランダルへ行く決心を伝えた。
昼頃、里の近くを通りかかった商人の荷馬車に付いていき向かう事となった。
家族からは少しばかりZelを受け取っていた。
【Zel】これはこの世界の通貨。
荷馬車には護衛を務めるディーク・ブロッセンも乗っていた。
道中モンスターが出るといけないからという事らしい。
そこに、大きな影が近づいて…。