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う そを愛した男の子とあ いに飢えた女の子の話  作者: 海和
【番外編】 小林ひなみ
6/14

【番外編】 隣 の 青 春 記 3

 それから、あたしはステージ上のマイク前に、無名の男子生徒の幻影を見ていた。このあたりでは珍しいブレザーとネクタイ。中学生にそれを着こなすのは割と難しいのに。

 校長先生のお話も、それから解散して教室に戻ってからも、あたしはまだフワフワとしていた。きっとこれは初恋なんだ。って、少し思ってみたらなんだか気恥かしくて。でも、叶うことのない恋なんだって思うと涙が溢れそうになるくらい寂しくなって。あたしは自分の不安定さに驚いた。


 友達は、彼氏に会いに行った。あたしは一人でバスに乗って帰らなきゃ。あたしも…友達と一緒に先輩たちの集まっているところに行きたい。でもそこで彼と話せるって確証はなくて。帰宅部だからお別れを言いに行く先輩もいない。あたしは…一人でバスに乗った。


 人って、こんなに簡単に泣くことができるんだ、って思った。バスの中で一人、涙が止まらなかった。みんな、在校生も先輩にお別れを言いに行くんで学校に残っていて、バスに乗っているのはあたしを含めて数人ちらほら。もちろん、泣いている人なんてあたしくらいだ。あたしの口から飛び出さなかった行き場のない気持ちが、目から涙として溢れ出て、それは止まることを知らなかった。初めての恋。初めての失恋。…あたしは明日からも、恋愛に興味のないオシャレ好きな女の子としてやっていくの。


 明日、目は腫れるかな。何で泣いたの、って言われるのかな。泣ける映画見たんだって誤魔化そうかな。…明日から、制服ちゃんと着よう。

 今日のあの人の隣にふさわしい姿をしていよう。












―― 私たちに関わってくれたすべての人に、感謝の言葉を述べ、答辞とさせていただきます。ありがとうございました。


―― 平成23年 3月11日

―― 卒業生代表 水本新




【番外編】 隣 の 青 春 記 ― 終

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