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【番外編】 オ オ カ ミ 少 年 3

 目が覚めると、ベッドの横の椅子には母さんが座っていた。背もたれに全体重を預けて、腕を組んだまま寝てしまっている。母さん、そんなとこで寝ていたら風邪ひいちゃうよ。

 リクライニングを起こすと、頭が軽くなったのを感じた。熱も下がったみたいだ。ピークは過ぎた。


 …夢じゃなかったんだ。俺は置時計の下に敷かれた八折りのルーズリーフを見つけた。デスクスタンドにスイッチを入れて、母さんが起きない程度の弱い明かりをつけ、ゆっくりひらく。


「何が、『ごめん、嘘。』よ。弟だの何だの、あの時は誤魔化してくれちゃって、全然平気じゃないんじゃない!次に私に嘘を言ったら、ごんべーの頭殴って一思いに殺すから!」


 殺気溢れる殴り書きで、ルーズリーフいっぱいに書かれてあった。きっとこれはつぐみの文字。つぐみの言葉。つぐみの不器用な心配の気持ち。

 俺はいつからこのハチャメチャな子にハマってしまっていたんだろう。可愛い。ホント、可愛い後輩だよ。


 あぁ、俺は何て馬鹿だったんだろう――。僕は探していたのかもしれないなぁ。「ごめん、嘘だよ?(笑)」って言って、ちゃんと怒ってくれる人を。俺を真っ向から疑って、『本当』を見てくれる人を。あれも嘘、これも嘘、それも嘘。嘘でガードされている俺の本体を無理矢理壊して暴いてくれる人を。本当は臆病でとっても弱い。そんな人間なんだろ?俺って。嘘に嘘をついて、脆くなったガードから、君は救いの手を差し伸べてよ。…そしたら俺、もう嘘はつけないなぁ。きっと、やっと、本心を話せるんだ。



 ――本当は怖いよ


 ――不安だよ


 ――とても寂しいんだよ



って。




 ――俺には、君が必要だ。




って。



【番外編】 オ オ カ ミ 少 年 ― 終


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