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【その00 ~電子メールのメリーさん~】

メリーさん。


それは、古くなって捨てられた人形「メリーさん」が、


「私、メリーさん。今、捨てられたゴミ捨て場にいるの。」


「私、メリーさん。今、スーパーの横にいるの。」


といった具合に、メリーさんから電話がかかってくるものであり、


最後は、


「私、メリーさん。今……あ・な・た・の・う・し・ろ・に・い・る・の。」


振り向いたそのとき、刃物を持ったメリーさんが襲ってきたのであった――


……というものである。




ある女性が、携帯電話のメールボックスを眺めていると、ふと、見知らぬアドレスからメールが届いていたことに気がついた。


「誰からだろう……。アド変でもしたのかな?」


そう思った女性は、何気なしに送られてきたメールを開いた。


そこには、こう書かれていた。


「私、メリーさん。ねぇ、私のこと、覚えてる? 今から、あなたに会いに行くから。」


「……いったい何なの?」


「メリー」という名前の友人や知り合いに心当たりがなかった彼女は、


そのメールを削除した。


その日の深夜、彼女の携帯電話に一通のメールが送られてきた。


眠っていた女性は、眠い眼を擦りながら携帯電話を開いた。


「無題」となったそのメールの発信先は、昼間削除したメールの送り主、「メリー」さんだった。


女性がメールを開いてみると、


「私、メリーさん。今、あなたがよく使う〇〇駅の前にいるの。」


〇〇駅、それは、女性が通勤でよく使う駅であり、自宅から2~3kmほど離れた場所にあった。


女性は少し不気味に思い、昼間同様そのメールを削除した。


「気味が悪いわね……」


そう思いながらも、女性は携帯電話を閉じて、再び眠りについた。


しばらくすると、再び携帯電話に着信が。


彼女がメールを開くと、そこには、


「私、メリーさん。メール削除しないでよ。今、角のスーパーマーケットのところにいるから。もうすぐ到着するよ。」


「な、なんでメール削除したのがわかったの??」


女性は気味が悪くなり、メールを削除するのも忘れ、自宅を飛び出し、夜の街を駆け出した。


彼女は友達に電話をかけ、「気味が悪いので家に逃げても構わないか」と訊いた。


友達が了解したので、友達の家までダッシュで走った。


走っている最中、携帯電話に着信が入った。


走っていた彼女はその場で立ち止まり、恐る恐る携帯電話を開き、メールを見た。


そこには、


「私、メリーさん。家にいなかったね。友達の家にでも向かってるのかな? 〇子ちゃんの家だよね。私もそっちに行くよ。」


「な、なんで……どうして……!?」


再び携帯電話に着信。


メールを開くと、


「私、メリーさん。今、交差点を渡ってそっちに向かってるよ。」


女性は携帯電話を閉じ、友達の家へと駆け出した!!


「家に逃げ込みさえすれば……!!」


再び着信を告げる携帯電話。


メールには、


「私、メリーさん。早くあなたも来てよ。〇子ちゃんの家の前にいるから。」


「……!?」


先回りされてる!? 女性はそう思い、その場で立ち止まってしまった。


またしても着信。


彼女は震える手で携帯電話を開き、メールを見た。そこには、


「私、メリーさん。今、あなたの近くにいるの。そんなところに立ってないで、こっちに来なよ。ジャージ姿だと風邪引くよ?」


「!?」


自分の今の格好は……ジャージ。


見える位置に、「メリー」が!?


女性は、あたりを見回した。しかし、誰もいない。


そして、再び着信が……。


「キャッ!?」


女性は思わず携帯電話を落としてしまった。


落とした拍子に、携帯電話が開いてしまったようだ。


その画面には、


「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」


女性は、その場にへたりこんでしまった。


恐る恐る、震えながら、ゆっくりと後ろを振り向く。


……そこには誰もいなかった。


「……ホッ。」


女性は安心して一息つき、前へと向きなおした……


しかし、そこには……


血まみれで、長い髪がぐちゃぐちゃになり、顔が半分焼け焦げたようになった女が、


目の前に立っていた。


「ヒィ……!!」


 ・

 ・

 ・

 ・

 ・


翌日、女性は全身を滅多刺しにされ、血まみれという無残な姿で倒れているところを発見された。


近くに落ちて、開きっぱなしだった携帯電話の画面には、こう書かれていたという。


「私、メリーさん。やっと……会えたね。」


後日、最後に電話で話をした友達が、女性の葬儀のときに彼女の家族から聞いた話によると、


女性は子どもの頃、「メリー」という名前のフランス人形を持っていたのだが、遊んでいるときに誤ってコンロの火に人形の顔が当たってしまい、顔が半分焼け焦げてしまった。


それが原因で、彼女は「メリー」を捨ててしまい、彼女達家族はそのまま今住んでいるところへと引越ししたのであった。


メリーさんは、自分を捨てた彼女に会って、いったい何をしたかったのか。


彼女に復讐したかったのか、それとも、ただ彼女に会いたかっただけなのか、


すべては闇の中である……


黒埜須夜鷹「黒埜須夜鷹の都市伝説シリーズ」13 ~電子メールのメリーさん~ より。

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