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叙事詩世界イデアノテ  作者: 乃木口ひとか
3章 感じるな、考えろ!?
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3-5



 あー……やる気でねぇ。千香華が隣でなんか言ってるが、お前はオカンか! また昼間っからゴロゴロしてあんたはもーってか? いいよもう。解ってるんだから放っておいてくれ。


 なんでこんな状態に、またなっているかというと設定ノート(イデアノテ)から神力吸われて、足りずに生命力まで無くなり、理力まで消耗してギリギリ生き延びたのはいいが、鬱状態に逆戻りって訳だ。しかも今回は頭痛にも耐えている。痛みって頭痛かよ……元々偏頭痛もってたから、このくらいは耐えられるけどさ。前回と違って、死にたいとは思わないから、少しましなのか?



 結局復帰まで三十分は必要になった。千香華は頭痛が出るまで使ってみるねと言って、理術を使い続けていた。今は水芸のように水を細く放出して遊んでいる。おかしいな……千香華はどれだけ理力多いんだ? 全く影響なしで俺だけ頭痛と倦怠感に苛まれるのは、理不尽だと思わないか?

 自分を【看破】で見たら理力は……極小? そんな気はしていたんだが、実際見るとへこむなぁ。俺の能力で極小は精神力だけになっていたので、ソースは精神力で間違いないだろう。

 千香華に許可をとって【看破】で能力を見せてもらう事にした。



 名 前:服部千香華

 種 族:猫女神

 職 業:イデアノテ創造神

     叙事詩世界神(派遣)

     技巧神

     狡知神

     ロキの弟子

     冒険者ギルドマスター

 生命力:小

 理 力:極大

 腕 力:極小

 脚 力:大

 耐久力:小

 持久力:小

 敏捷性:極大

 瞬発力:大

 器用度:極大

 知 力:大

 精神力:極大

 技 能:完全模倣

     完全隠蔽

     危険察知

     技術習得向上“模倣+最適化+効率化”

     嘘と欺瞞の衣

     精神異常耐性(極大)

     回避能力向上(極大)

     潜伏

     理術

     看破

     偽装

     その他多数

 状 態:良好



 はははっ。乾いた笑いしか出てこねぇ。取り敢えず突っ込んでおこうかね? お前は何処の魔法系最強主人公だよ!

 職業が増えてるな、ギルドマスターはまあ事実だな。ロキの弟子? これ職業? 基準が解らんよ……。

 能力値も多少成長しているな。理力と精神力の極大に、嫉妬の心が燃え上がる。嫉妬の心は父心! 嫉妬マ○ク参上! 疲れてるんだよ……精神的に。

 技能については最早何も言うまい。

 ……!? あれだけ使い続けて状態が良好だと! 奴は化け物か! 俺、疲れてるな本当に……。


 まあ、これで千香華にも攻撃手段が出来た訳だ。今まで基本戦闘中は逃げ回るだけだったもんな。遊び人から賢者になったようなものだな。



 今日は本当に色々あったから疲れた。帰るとしますかね? ……と思っていたら嫌な予感がした。虚空から声が聞こえてくる。


「やあやあ。面白そうな事してるねぇ! ぼくも混ぜてよっ」


 この声は……ロキか? 面倒臭いって思うのは、理力が減ってるからって事にしておこう。


「もう今日はイベント要らない。お腹いっぱいだから……帰れ!」


 胡散臭い顔をした青年が突然現れ、泣き真似をしながら言った。


「酷い挨拶だね! 泣くよ? ぼくそんな事言われたら泣いちゃうよぉ」


「ロキだー。お久しぶりだね」


「千香華ちゃん! お久しぶりぶりぃ。元気してた?」


「うんうん。元気だよー。でも、今日は本当にイベント要らない。帰って良いよ?」


 千香華がニヤニヤしながら、俺の真似をしてロキを弄る。俺は結構、本気だけどな?


「まぁ! この子は! 師匠に向って何て口を利くのっ! もっと真剣み出さないと人は騙せないぞぉ?」


 このまま弄り続けると、何時までも話が進みそうに無いので用件を聞く事にしよう。


「もういいから用件を言えよ」


「酷い!? まあいいや。これ以上はあっちが不機嫌になりそうだしね。今日来たのは、ゲストを連れてきたんだよ。おーい! 降りてきてー」



 突如落雷のような轟音が鳴り響き、腕を組んで直立不動の体勢のまま、筋骨隆々の男が降って来た。


「ふははははっ! 聞いてた通り面白い奴等だ! 我は雷神トール! 我が友ロキの誘いによりこの世界に参った! 新しき神、ムラセケイゴにハットリチカゲよ。以後宜しく頼むぞ」


 おおぅ! 吃驚した! 流石有名な雷神だ。落雷のように現れやがった。


「トールちゃんね。セトさんからこの世界に入る許可が中々貰えなくてねぇ。ミュルニルもメギンギョルズもヤールングレイプルも神器は全部置いていくことで、やっと許可が下りたんだよっ。それで長い事挨拶も出来なかったから、一緒に来ていたのにぃ、登場に凝りたいって、上空で待機してたんだよ」


 ミョルニルは“打ち砕くもの”って意味を持つトールの武器だな。トールハンマーて名前の方が有名か? メギンギョルズは力を倍化させる帯だろ。ヤールングレイプルはミュルニルを振るう為に必要な籠手だったよな? 複数の神器を預けてまで来たがるとは、物好きな奴だな。


「ロキよ。余計な事は言わなくて良い」


 トールは照れ隠しなのか、ロキを殴ろうとするが、ロキはひょいと避ける。トールは「むぅ」と不満そうな声をあげた。


「へ? 上空で半裸待機してたの?」


「ぶっ! 馬鹿! 変な事言うな」


 トールが地球の某掲示板で「はよはよ」と言っている所を想像して、つい噴出してしまった。誤魔化す為に千香華の頭を小突いたら、千香華は頭を摩りながらニヤリと笑った。


「うむ! 良く解らんが確かに待機していた」


 肯定すんなし! 笑いを堪えるのが辛くなってきた。


「半裸って言えば……ケイも近い格好してるよね?」


「そうだねっ。どちらもムキムキだしね。もしかしたら気が合うかもねっ!」


 やめろ! 蒸し返すな! 俺も一緒に“はよはよ”してる光景が頭に浮かび、とうとう笑ってしまった。


「うむ! なんか解らんが楽しいな!」


 一頻ひとしきり笑った後、俺はトールに手を出して言った。


「俺は圭吾だ。若輩者だが、イデアノテの神をしている。よろしく頼むよ」


「私は千香華。ケイと一緒に神をやってるよー。よろしくね」


 トールは俺の手を握り返し笑顔を浮かべた。


「うむ! ロキの友は我の友だ。宜しく頼むぞ」


 “お前の物は俺の物”みたいな言い方するなよ。ジャ○アンか! 「心の友よ」とか言い出すなよ?

 トールはセトとは違う意味で親近感を覚えるな……神話では激昂しやすい神だけど、実際はそこまでじゃないみたいだし、友としてやっていけそうだ。




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