この世界は一体何と闘っているんだ?
1人暮らしで住んでいる安アパートから出てきた彼は、明らかに昨日とは
何かが違う光景を見て困惑する。
――――だが、それが何が原因なのかはわからない。
朝食を買いにコンビニに向かう途中、ようやくその原因が彼にも否応なしに認識した。
「・・・・一体これはなんだ?」
その原因を見て、困惑した表情を浮かべながら寝癖のついている髪の毛を掻く。
「何か近所で、仮装パーティでもあるのか?」
彼はそう呟く。
その原因は、すれ違う幾人もの通行人の服装姿だった。
すれ違った通行人全員が、軍事用の迷彩服を着込み戦闘用ヘルメットを着用していたためだ。
さらに手には、自動小銃らしき銃器を持ち歩いていた。
「何か近所で、仮装パーティでもあるのか?」
彼は頸を傾げながらそう呟く。
それが本物ではなくて恐らく外観や機構を模したモデルガンだろうと彼は思った。
彼のその反応は至って普通な事だろう。
日本で本物の銃器を持ち歩いていたら、銃刀法違反で逮捕されることは間違いないからだ。
また、すれ違った通行人全員の身体が、皆筋肉が盛り上がっていて、まるでアスリートの様に鍛え上げられている様に良かった。
彼は、その事にも疑問に思いながらも目的のコンビニへと向かう。
「((何か本物っぽい気がするんだが、気のせいかな)」
彼は、そんな馬鹿な事を思いながらコンビニがある大通りに出ると、さらに思考回避が麻痺しそうになった。
大勢の通行人が、やはり先ほどすれ違った通行人の様な軍事用の迷彩服を着込み戦闘用ヘルメット、または銃弾や爆発による破片などから身を守るために使用されるベスト状の身体防護服を着用していた。
その大勢の通行人の体格も、鍛え上げられている様に良かった。
「(俺の知らない間に、何かこの国で何かあったのか?、それとも俺は幻覚でもみているのか?)」
その光景を視界に捉えながら、彼はそう思った。
また、自宅から出てから気になる臭いを嗅いでいた。
―――それはオイルが焼けるような臭いだ。
その原因は一体何なのかは、彼にはまったく判断できなかった。
彼は、それぞれの通行人達が持ち歩いている自動小銃や、コンビニの前の道路を明らかに普通は絶対に見かけない・・・見かけたとしても映画やテレビゲームしか見ない戦闘用装甲車を見て、物凄く嫌な予感を感じる。
普通自動車の姿ももちろんあるが、運転手も軍事用の迷彩服を着込んでいる。
走行している闘用装甲車が自衛隊の車両なのか、それとも何処かの 国の軍隊のものなのかは、彼には判断できなかった。
ただ言える事は、戦闘用装甲車の至る所に大きな動物の爪で引っ掛かられた様な傷があるのが見える。
「(何だよ、あの傷は・・・・)」
戦闘用装甲車の傷を見ながら、茫然と立ち竦んでいた彼の耳に、学生らしい四人組の会話が聴こえてきた。
「俺、前期の模擬「鬼獣」戦闘の成績、校内で成績が七番だったんだけど、どうよ、凄いだろ?」
得意げな表情を浮かべながら、戦闘用ヘルメットにトランプのジョーカーを張り付けていた学生に話しかけていた。
「あ、こいつ校内で二番目だったぞ」
欠伸をしていた学生を指さしながら応えた。
校内で七番と言っていた学生は、眼を丸くして若干貌を引きつらせた。
「お前・・・・凄いな」
「(なんの会話だ?、それ・・・)」
彼は、その聴こえてきた方向に視線を向けると何か楽しそうに会話している三人組が見えた。
「(「鬼獣」ってなんだ?、いわゆる中二病って奴か?)」
彼はそんなことを思ったが、自宅から出てからの異様な光景を目の当たりしては、どうも馬鹿には出来なかった。
その三人組も迷彩服と戦闘用ヘルメットを着用をしており、やはり身体も良かった。
「なあ、たしか隣の組の佐藤ちゃんとこ、「鬼獣」対策のために
パキスタンに研修だって?」
欠伸をしていた学生が尋ねた。
「でも、佐藤ちゃん、「鬼獣」模擬訓練で赤点だったからお隣の半島の・・・「鬼獣」境界線で年明けまで研修とか言ってた」
戦闘用ヘルメットにトランプのジョーカーを張り付けていた学生が応えた。
「また大変な所に研修に行くんだな。大陸の半分は「鬼獣」で溢れ返っていると言うのに・・・。たしか今年の夏休みも特別研修を受ける羽目になったーとか言ってなかったけ?」
ヘルメットに「グランド・ゼロ世代」と書き込んだヘルメットを
被っている学生が尋ねる。
「先生に「お前・・・やる気ないだろ?、ちょっとロシアの特殊部隊でさ、「鬼獣」実戦研修を受けて根性入れ直して来いッ!!」って言われて、物凄く喜んで研修に行ってた」
欠伸をしていた学生が応えた。
「しかもその研修先に、佐藤ちゃんが憧れていた特殊部隊の人がいたから、サインしてもらって狂喜乱舞してたな」
トランプのジョーカーを張り付けていた学生が尋ねる。
「佐藤ちゃん自慢してたけど、その人の事は俺は知らないから
てきとーに応えてたけど・・・そんなに有名な人なのか」
「グランド・ゼロ世代」と書き込んだヘルメットを被っている学生が苦笑いを浮かべながら応えた。
「(駄目だ、俺には理解できないし、服装についても尋ねてみたいけど、怖くて聞けない)」
彼は、表情を引きつりながら 急ぎ足でコンビニ向かう。
まもなくして、彼の視界にコンビニの建物が見えてきた。
駐車場には普通自動車の姿はなく、数台の装輪装甲車の姿があった。
駐車場に停まっている装輪装甲車の車体にも、大きな動物の爪で引っ掛かられた様な傷が随所にあるのが見えた。
装輪装甲車の辺りにも、迷彩服と戦闘ヘルメットを被った通行人が三人ほどいた。
手には、やはり自動小銃らしきものを持っており、身体もアスリートの様に鍛え上げられている様な体格だ。
「選挙権を放棄したのかよ?」
ガムを噛んでいる男性が、片方の耳にイヤホンを付けている男性に尋ねる。
「おう、どうせどちらの政党に決まっても、義勇兵という名目の日本決死隊の隊員を国民から強制的に募って、海外の「鬼獣」が蔓延っている戦域に送られるだけだろ?」
イヤホンを付けている男性が応えた。
「・・・選挙権を行使してから文句言うべきだぜ、戦友」
ペットボトルの水を飲んでいた男性が呆れた表情を浮かべて応える。
「何言ってやがる、棄権して文句言うのは国民の特権だぜ?」
イヤホンを付けている男性が応える。
「やる気はあるけど、戦術的発想が乏しい政治屋が聞いたら卒倒するな」
ガムを噛んでいる男性が何とも言えない表情を浮かべながら応える。
「こんなのがいるから、日本国内で大量発生した「鬼獣」との大規模交戦で大敗した責任を取らされる形で、
総理大臣の貌がコロコロ変わるんだよ」
ペットボトルの水を飲んでいた男性が溜息混じり応える。
「それで、いつも苦労するのは俺達国民なんだぞ、わかっているのか」
ガムを噛んでいる男性が告げる。
「だったら、次の選挙あるときは俺の代わりに二表いれてこい」
イヤホンを付けている男性が応える。
「・・・そん時は、すでに日本国内が半分も「鬼獣」に侵略されている時だな」
ペットボトルの水を飲んでいた男性が何とも言えない表情を浮かべて応える。
彼の耳にそのような会話が聴こえてきたが、まったく意味がわからなかった。
選挙の意味はわかってはいるが・・・。
「(テレビニュースとか、戦争映画なんかに登場している物体が停まっているんだが・・・それにやはりあの傷はなんだ?!、あの学生らが言っていた「鬼獣」と関係あるのか?、それと選挙がどうたらこうたらと聞こえたが)」
彼はとりあえずコンビニの中に入りながら、「鬼獣」という名が気になった。
その事に付いて考えようとして、何か違和感を感じた。
食品、日用雑貨など多数の品種を販売している所には、違和感を
感じなかった。
そう、彼が゜一つだけ違和感を感じたのは――――――――銃器を販売している事だ。
その銃器類が置かれている棚には、「対「鬼獣」用銃器」と書かれている。
彼が先ほどから気になっている「鬼獣」という呼称がここでも使われている。
「(昨日来たときは、銃なんて置いてなかったぞっ!?、いや、その前に、「鬼獣」ってなんだよっ!!、「鬼獣」って!!」
驚きのあまりに立ち尽くしていた彼の耳に、店内にいた二人組の男性客が、ホットコーヒーを数本籠に入れながら喋っている会話が聴こえてきた。
「今日、H&K社の新型の「鬼獣」用の銃を買うとか言ってなかったけ?」
ふっと思い出したかのように、1人の男性が弁当も買おうとしていた男性に尋ねた。
その2人の男性も迷彩服と戦闘用ヘルメットを着用をしており、身体も鍛え上げられた様な体格だ。
「それか無反動砲を買おうと思っているけど・・・・、H&K社の新型は「鬼獣」に効果あると思う?、前に知り合いが一年前に販売した
H&K社の「鬼獣」用を購入して使ってみたら、まったく傷一つ与えられなかったとか叫んでたし」
尋ねられた男性は、困惑した表情を浮かべる。
「そんなの買うのだったら、RPG-7を購入したらいいんじゃね?、あれなら、量販店とかに行ったら大量に売ってるし」
尋ねた男性が応える。
「一本百五十円の?、あれを大量に購入するのを見られるのは、俺個人的にはちょっとなぁ。それなら三百円でM72を買った方が良いだろうし」
尋ねられた男性が応える。
「なんだ、お前、あれか、RPG-7を大量に購入するのは、エロ本を買うより勇気いるのか?」
尋ねた男性が呆れた表情を浮かべる。
「まあな」
尋ねられた男性が応える。
「よくまぁ、それで今まで生き残れてきたな」
尋ねた男性は、若干呆れ気味に告げる。
「(この会話も普通じゃないな・・・RPG-7って映画とかで
見た事はあるけど、そんな値段じゃ買えないというか、なんで量販店で販売している?)」
彼は何とも言えない表情を浮かべながら、何となく銃器類が置いてある棚へ向かう。
そこには彼が映画やテレビ、ゲームでしか見た事がない実物の銃器類が展示されていた。
ここまで来る途中に通航人が持っていた銃器類もあった。
どう見ても、モデルガンっぽくには見えない。
その展示されている銃器の中で、映画やテレビゲームで良く見かける銃が彼の視界に入った。
「(えーと・・・たしかこれ、ベレッタっていう銃だったっけ?。
モデルガンにしては、何か違う様な気がするが)」
値札も付いていたため、彼はそれを見る。
「(えーと、値段は・・・・・120円?、自動販売機のジュースと
同じ値段かよ!!)」
余りにも手頃な値段なため、彼は驚いた。
やはりモデルガンか・・・と彼は思ったが、見てみた感じではモデルガンっぽくはない。
さらに、彼は他のはどんなのが置いてあるのか見渡すと、これも良くテレビニュースで流れている紛争関連の出来事で見かける自動小銃が置かれていた。
「(ああ、これも映画とかニュースで見る銃だよなぁ・・・、たしかAKなんとかって名前の)」
彼はそう思いながら、その銃に付いている値札を見た。
50円と書かれている。
「(・・・・今、俺の持っている所持金で十分買えるけど、なんだこの値段は?)」
彼はそう思った。
しかし、購入しようと思っても身分証明書とか必要ではないのだろうかとも思う。
さすがに、状況がわからないまま衝動的に購入しようとする気は彼にはない。
また銃器類の展示の他に、爆薬らしきものも展示されているのが視界に飛び込んできた。
値札には3円と表示されている。
彼は、頸を横に振りながらレジの方に視線を向けると、そこでは偶然、銃を購入している女性の姿が見えた。
その女性も、彩服と戦闘用ヘルメットを着用をしており、鍛えられた身体だ。
「合計で、450円になります」
どんな銃を購入したのかまではわからないが、特に身分証明書を提示している様子はない。
「(うーん…、とりあえず飯だけ買って状況を考えるか。まさか
ネット小説の様に何処か別世界に飛ばされたとかじゃないだろうな。それなら、魔法やらなんやらの異世界だし・・・)」
彼は、頭を掻きながら、弁当などが置かれている棚に向かおうとした時――――外の方から激しい発砲音が聴こえてきた。
彼はぎょっとして、コンビニの出入り口に視線を向ける。
外から薄汚れた迷彩服と戦闘用ヘルメットを着用をした男性が入ってきた。
恐怖のためか、貌は蒼白だ。
「「鬼獣」だっ!!、「鬼獣」が出現したっ!!」
その言葉と同時に、店内の空気が一瞬にして緊迫した空気に変わった。
「「鬼獣」出現予報では、この地区には現れないとかいってなかったけ!?、19地区だろ?!」
RPG-7がどうたらこうたらと言っていた男性二人組の1人が驚いた声を上げる。
「そんなの天気予報並に当てにならない!!、ほれ、さっさと交戦
しねぇと、仕事に遅れるだろ!」
もう一人の男性が呆れた声を言いながら、手に持っていた小口径自動小銃の安全装置を外して外に出ていく。
「あー、くそッ!、遅刻したら上司の雷が落ちるじゃねえか!!」
そう叫びながら、その男性も小口径自動小銃の安全装置を外して 外に飛び出していく。
いや、それだけではない。
店内にいた従業員も客も手に持っていた銃器の安全装置を外して、外に飛び出していく。
その動きは、まるでアクション映画やテレビニュースで流れる軍隊の様な機敏な動きだ。
彼は突然外から聞こえてきた発砲音で、恐怖が頭を突き抜けた。
一つ二つだけではなく、数十丁以上の発砲音だ。
その発砲音に混じって、怒声と絶叫も聞こえてくる。
彼の全身が総毛立った。
「(いったい・・・何が・・・)」
彼は本能的に屈みこみながら、恐る恐る外に出た。
外に出て、まず視界に飛び込んできたのは、彩服と戦闘用ヘルメットを着用した大勢の通行人が、一定の方向に向けて銃の引き金を引いていた。
どれもこれもモデルガンなどではなく、実際の鉛の弾丸を吐き出している。
引き金を引いている通行人の表情は、恐怖で引きつっているもの、
鬼の様な形相を浮かべているもの・・と多様だ。
銃を向けて発砲している方向に視線を向けると、奇妙なものの集団が見えた。
少なくとも、彼は現実では今まで見た事はまったくないものだ――――――。
あまりにも怖くて良く観察は出来なかったが、一つだけ見覚えのある生物を思い浮かべた。
それは、有名な映画だけにしか存在しない架空の生物だ。
「( 「鬼獣」って言ってたのは・・あれかっ!!、アレなのかっ!!)」
通行人が発砲しているのは、身長200cmのその生物に良く似た物に
向けて発砲している。
その生物は、金切り声を発して凄まじい速さで向かって来ようとしているが、何匹かは銃弾を浴び、黄色い液体を撒き散らして耳障りな金切声を発して転げまわっている。
また、「鬼獣」と表現されている未確認生物の攻撃を受けて傷を負い、激痛のため叫び声を上げている通行人の姿もある。
それらの通行人は、別の通行人達に何処かに運ばれていく。
「(ちょっと待ってくれよっ、何なんだよこれはっ!?、朝起きたら、地球外生命体と戦争している世界へ移動してましたって・・・、こんなのネット小説でも見かけない分類だぞっ!)」
彼は、これが夢なら早く覚めてくれっと祈った。
その時、眼の前の駐車場に停まっていた戦闘用装甲車にいた男性客が声を掛けてきた。
「おいっ、そこのあんたっ!!」
彼は、その方向に視線を向けた。
視線の向こうには、先ほどRPG-7をどうたらこうたらと言っていた男性客の1人がいた。
「ちょっと援護してくれっ!!、向こうに負傷して動けないのがいるんだっ!!」
彼は愕然とした。
「ちょっと、ちょっと待ってください!!、援護って!?」
彼は尋ねた。
「銃を携帯しているだろ!?、それで援護してくれって言っているんだっ!!」
男性客の1人が呆れた声で言い返してくる。
「そんなの携帯を――――」
さらに彼は言おうとしたが・・・。
「援護を頼むぞっ!!」
そう告げてくると、その男性は飛び出して行った。
「(俺はどうしたらいいんだ?、銃なんて触った事もないぞ・・・。第一・・、この世界は一体何と闘っているんだ?)」
彼は、これが夢なら早く覚めてほしいと、本気で神に祈った。
とりあえず、なんとなく思い付きで書きました。
書いてみて、後悔はしています。
もっと、軍事兵器とか詳しかったら良かったのですが(汗)
しかし、コメディにしようとして、何処でどう間違えたんだろうか?




